スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

2021年1月 カブ吉くん 近況報告

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 昨年末からの新型コロナウイルスの急速な感染拡大に伴い、2021年1月7日に緊急事態宣言が発出され、翌日の8日より埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の1都3県に緊急事態措置が実施される事となりました。

 そして、更に6日後の1月14日からは、栃木県、岐阜県、愛知県、京都府大阪府兵庫県、福岡県の2府5県が追加され、併せると11都府県がこの緊急事態措置の対象区域になりました。

 措置の期間は、当初2月7日までという事でしたが、この記事を書いている1月末現在のニュース報道等によると、どうやら3月7日までの期間延長が検討されているようです。しかし、感染状況の改善がみられる栃木県については、解除が検討されているようなので、対象地域にお住いの皆さまは正確な情報を確認して頂くようにお願い致します。

 今回の緊急事態宣言は、昨年とは異なり、『社会経済活動を幅広く止めるのではなく、感染リスクの高い場面に絞って、効果的・重点的な対策を徹底する』という考え方だそうです。具体的には、飲食につながる人の流れを制限する為の『飲食店に対する営業時間短縮要請』や、『外出自粛』、『テレワークの推進』などになります。

 ジョニーさんも吉村さんも、顔を会わせれば新型コロナウイルスの話しをしていますが、二人とも『確かに微妙に人も車も減っているような気もするけど、なんか対策が今一つピントが合ってないような気がして、こんなんで大丈夫なのかな~って心配になっちゃうよな~』などと話しておりました。

 昨日(1月30日時点)の全国の感染データを見ても、新規感染者がおられなかった区域は、山梨県鳥取県のみとなっています。その他の都道府県は、都市部はもとより

その周りの区域でも、概ね昨年末と同様レベルの数値となっているようです。決して、感染拡大が衰えてきた印象はありません。

 皆さまにおかれましては、不自由な日々が続いておりますが、くれぐれもストレスを溜めず、お身体をご自愛くださいますようお願い申し上げます。

 

 さて、そんな状況の中ではありますが、ジョニーさんとカブ吉くんは今月も行動範囲はそれ程広くはありませんでしたが、仕事で東京から神奈川県を中心に元気に走りまわっておりました。

 しかし、プライベートでの走行となると、ジョニーさんも出来るだけ他県への乗り入れは控えようという思いもあり、休みの日になると『環七通り一周ツーリング』や、『明治通り一周ツーリング』ばっかりやりながらお茶を濁しておりました。

 果たして、こういうのを『ツーリング』と言っていいのかよく分かりませんが、本当だったら、1月の月間最高燃費を記録した2014年のように、『伊豆半島一周ツーリング』などに出掛ける事が出来れば、ぐっと燃費も向上させる事が出来そうなのですが、現在の状況を考えるとなかなかそうもいきません。

 過去のデータを確認してみると、この月間最高燃費を記録した2014年1月は、上記の『伊豆半島一周ツーリング』以外に、ジョニーさんとカブ吉くんは二回ほど別のツーリングに行っています。

 ジョニーさんは、ちょうどその頃に『関東近辺で、まだ走った事のない国道を走る』という企画を自分で立てて、それを実行していました。

 そして、この時の1月も『国道123号線ツーリング』と、『国道465号線ツーリング』というのを実行しておりました。

 その時のデータを見てみると、『国道123号線ツーリング』は、国道4号線で宇都宮まで行き、そこから国道123号線を水戸まで走って、国道6号線で東京に戻るツーリングです。走行距離は280kmで、燃費データは60.54km/ℓ を記録していました。

 『国道465号線ツーリング』は、国道357号線と16号線を使って千葉、市原と経由し、茂原街道で茂原を目指します。そこからは国道128号線(重複区間)でいすみ市まで走り、国道465号線へと入って行きます。あとは、いすみ鉄道に沿って千葉県を横断するように、途中国道297号線や国道410号線との重複区間を通りながら富津市に至るまでが国道465号線です。そこからは、国道16号線を走って東京に戻るツーリングです。この時の走行距離は約380kmで、燃費データは、63.32km/ℓ でした。

 今月を向かえるまでの、過去10年間の1月の最高平均燃費は、この三つのツーリングを行った2014年1月の57.82km/ℓ です。寒い時期としては、かなりの好燃費になります。

 ここのところ、すごい燃費を毎月記録しているカブ吉くんですが、ジョニーさんとしては『いくら昨年7月から燃費が急に良くなったにしても、常時グリップヒーターを使用しているこの寒い時期に、ツーリングも行けずに環七ばっかりグルグル回ってるようじゃ、今月は絶対無理だろうな~』というのが、正直なところでした。

 

 しかし、予想というのはやっぱり覆されるものなのでしょうか? カブ吉くんは、今月もやってしまいました。

 走行距離は1,772kmとあまり多くはありませんでしたが、使用した燃料の量は30.18 ℓ で、月間平均燃費は58.71km/ℓ を記録しました。

 今までの記録を約0.9km/ℓ 更新して、1月の平均燃費としては初めての58km/ℓ 台を記録しました。

 

 一年で一番燃費の悪いこの時期に、こういう燃費が出て来ると言う事は、これはひょっとすると2021年の年間平均燃費は初めて6……。

 

 やめておきましょう……。まだ今年は1ヶ月しか経っていません。軽はずみな事を行ってしまうと、あとが大変になりますから……。

 

 しかしながら、幸先の良いスタートが切れた事には間違いありません。ジョニーさんとカブ吉くんには、今年も事故に気を付けて頑張って走って貰いましょう。

 

 皆さまも、凍結路面等にお気を付け頂き、ピンと張りつめた冷気の中のライディングをお楽しみ下さいませ。

 

 それでは、また来月お会いしましょう。

                                    管理人

 

 

2021年1月末現在 全走行距離 262,273km

(1月走行距離 1,772km 月間平均燃費 58.71km/ℓ )

月まであと 122,127km

 

 

2020年12月 カブ吉くん 近況報告

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 今月はカブ吉くんの『近況報告』の前に、まずこのお話しから始めさせて頂きたいと思います。皆さまもよくご存じの『はやぶさ2』のお話しです。

 

 2019年2月の『カブ吉くん近況報告』の中で、小惑星リュウグウ』へ見事に第1回タッチダウンを決めた『はやぶさ2』の事を書かせて頂きましたが、その『はやぶさ2』が『リュウグウ』での活動を終えて、2020年12月5日14時30分頃『リュウグウ』から採取した『物質試料』を格納した回収カプセルを『はやぶさ2』本体から無事に分離して、それを地球に送り届けるミッションを見事に完遂致しました。

 その後の『はやぶさ2』は、回収カプセル分離後、15時30分から16時30分にかけて30分おきに3回に分けて『地球圏離脱軌道変更』を実施し、地球を再び離れて別の小惑星『1998KY26』を目指す拡張ミッションに既に旅立っています。

 

 小惑星リュウグウ』からのサンプルリターンミッションの主役である『はやぶさ2』は、2014年12月3日13時22分04秒に鹿児島県の種子島宇宙センターから『H-ⅡAロケット』で打ち上げられました。

 そして、そのちょうど一年後の2015年12月3日に地球の引力等を利用した『地球スイングバイ』を実施した後、2018年6月27日に小惑星リュウグウ』の上空20kmの位置(ホームポジションと呼ぶそうです)に到着します。

 その後は、探査車『MINERVA-Ⅱ1』や『MASCOT小惑星着陸機』を『リュウグウ』に投下して様々な場所でデータを収集したり、2019年2月22日には自ら第1回目のタッチダウンに成功します。それらで得られたデータは随時地球に送信され、JAXAの臼田宇宙空間観測所に設置されている64m反射鏡パラボラアンテナやJAXA相模原、その他アメリカのNASA等の施設で受信されています。

 その『はやぶさ2』は、2019年8月26日にサンプル採集容器を耐熱シールドで覆われた再突入カプセルに収納した後、同年11月13日『リュウグウ』からの離脱を開始します。

 そして、その一週間後にはイオンエンジンの試運転を実施した後、地球へ向けての第1期、第2期のイオンエンジン巡航運転(各期とも、2ヶ月から3ヶ月の運転)等を2020年8月下旬まで続けます。

 その後、イオンエンジンを停止して、地球へ帰還する為の精密な軌道測定を開始し、その結果に基づいて地球距離(高度)約3600万kmに迫ったところで、再びイオンエンジンによる軌道修正を実施します。 この作業は、2020年9月15日から17日のあいだに、約30時間をかけて行われました。この軌道修正を以って、地球帰還時のイオンエンジンの使用は全て終了となります(この時点でも、イオンエンジンの燃料はまだ55%ほど残っているそうです)。

 2020年10月以降は最終誘導フェーズとなり、あとは化学推進系エンジンでガスを「シュッ、シュッ」っと吹きながら軌道微調整や軌道変更を4回程実施して、本ミッションの最終的な目的である12月5日14時30分の回収カプセルの分離へと進んで行きます。

 

 総飛行時間:2194日13時間32分、総飛行距離:52億4000万km。

約6年間に渡り、日本だけにとどまらない世界に広がる技術者の力を集めた、実に壮大なミッションの完了です。

 

 『はやぶさ2』のミッションに関しては、詳細に書き始めるとこの『近況報告』の中でお伝えするのは全く不可能な事になってしまいます。

 しかし、皆さまに少しでもこの偉業を知って頂きたくて、大事なところは最低限記載をしながら、お伝え出来るように書いたつもりなのですが、よく分からない部分がありましたら、それは私の力不足でございます。申し訳ございません。

 もし、興味があればご自身で詳しく調べて頂ければ幸いでございます。きっと、このプロジェクトに参加した多くの人々の努力や行動に心が躍り、『人間の英知を集めると、こんな凄い事も出来るんだ!』という、思いに至るのではないでしょうか?

 それでは、このお話しの最後に『はやぶさ2』のミッションのプロジェクト・マネージャーである津田雄一氏の著書にある一節をここに記載させて頂きます。

 

「大人はすごい事をやっている。とんでもない事に挑戦し、面白い未来を創っている。未来に希望は確かにあり、大人になる事は楽しい事だ」そう子供たちに感じて欲しい。

 

 2020年は、世界中が新型コロナウイルスの感染拡大で振り回された大変な一年となりました。

 そこで様々な大人たちが見せた背中は、本当に子供たちに見せて良い背中だったのでしょうか? この事については、管理人もきちんと考えてみたいと思います。

 

 

 さあ、今年最後のカブ吉くん近況報告です。

 

 今月のジョニーさんとカブ吉くんの行動範囲は、ジョニーさんの年末の挨拶回りがあるので、東京都内から埼玉県南部、神奈川県県央部から川崎・横浜という地域を中心とした移動となりました。

 一ヶ月の走行距離の合計は、ちょうど2000kmとなりました。7月からとても良い数値を連続で記録している平均燃費の方は、59.65km/ℓ となりました。これは、2015年12月に記録した58.62km/ℓ という、これまでの12月の平均最高燃費を約1km/ℓ ほども上回る記録となりました。

 この半年間を振り返ってみても、10月だけは過去の記録に0.3km/ℓ ほど及びませんでしたが(それでも、過去二番目の数値となる62.64km/ℓ を記録しています)、7月から今月まで記録した燃費の向上は、もはや計測ミスであるとか、計算ミス等ではない事は明白です。カブ吉くんの燃費は、ここにきて明らかに向上しているのです。

 先月も少し書きましたが、恐らくこの好燃費の要因として考えられる事は、24万キロ整備で交換されたドライブチェーン(DID420DS強化タイプ)、ドライブスプロケット(純正)、ドリブンスプロケット(純正)である事は間違いないと思われます。

 しかし、そうは思いながらも、現時点ではまだ若干の疑問も残しているのです。それは、この駆動系の交換が実施された24万キロ整備は、2020年2月20日であるという事です。

 まぁ、2月は交換してから10日間くらいしか走行出来ないので、燃費への貢献もほとんどないと思われますが、3月から6月の期間としては、それなりの数値が出て来てもいいはずなのですが、実際にはあまり大きな変化は見られませんでした。

 決して悪い燃費ではないのですが、良くもありません。過去と比較してもほぼ普通の燃費なのです。

 参考の為に、下記に2011年から2020年にかけての3月から6月の平均燃費データ表を貼り付けてみました。

f:id:cub-taikyu:20210102185559j:plain

 表を見て頂けるとよく分かると思いますが、本当に大きな変化はなかったのです。

 ジョニーさん自身も、駆動系を交換してからしばらくの間はこのようなデータしか出てこなかったので、燃費が向上しない事についてはそれほど気にしていなかったのです。とりあえず、ドライブチェーンのジャラジャラとうるさかった音が消えたので、『まぁ、それでよし!』ぐらいに考えていました。

 同時に交換した前後のスプロケットにしても、まだ使い続ける事も可能なくらいにしか磨耗していなかったので、新品と交換してもそれほどのメリットは出ないのではないかとこちらも考えていました。

  しかし、7月になるとこの月間平均燃費が突然過去最高の数値を記録します。そして、8月以降も現在に至るまでその傾向は続いています。

 恐らく、ドライブチェーンと前後のスプロケットが馴染んだ結果が反映されたものと考えられますが、それにしても馴染むまで少し時間が掛かり過ぎているのではないかという気がしないでもありません。概ね、四か月間も掛かっているのですから……。

 とりあえず、引き続き燃費に関しては様子を見ていきたいと思います。一年間の平均燃費も、7月以降に好燃費が続いたおかげで、59.71km/ℓ という過去二番目の数値を記録して終わる事が出来ました。

 ちなみに、年間平均燃費の最高記録は、2015年に記録した59.97km/ℓ です。この年は、ゴールデンウイークに全走行距離約3800kmに及ぶ九州ツーリングを実施した年でもあります。ツーリング中の平均燃費も63.1km/ℓ を記録し、月間平均燃費のみならず年間平均燃費の向上に一役かった事は想像に難しくありません。

 しかし、今年記録した59.71km/ℓ という数値は、そういう好燃費を記録するようなロングツーリング等のない条件で出された数値です。これはある意味、結構価値のある数値なのかもしれません。

 カブ吉くんは2010年7月から走りはじめていますが、今までに一度も年間平均燃費60km/ℓ 以上というのを記録した事がありません。

 過去で一番可能性のあった、その九州へのロングツーリングを含む2015年でさえも、最終的に0.03km/ ℓ 足らずに終わっています。ジョニーさんとしては、この好条件がそろった2015年でも年間平均燃費が60km/ ℓ を超えないのであれば、今後も東京を起点とした走行が中心となる中では、その達成はもう難しいのではないかと考えていたのです。

 ところが、今年の7月から好燃費が連続した結果として出て来た数値は、ジョニーさんに再び年間平均燃費60km/ ℓ 超えを意識させるのに充分なものとなりました。

 

 スーパーカブ耐久チャレンジの2021年は、走行距離を淡々と積み重ねるだけではなく、年間平均燃費を意識しながらの一年となりそうです。とは言いながらも、ジョニーさんにはいつも通りに燃費を特に意識することなく、普通に一年間走行してもらいます。

 また、先月の近況報告の中にも書きましたが、今月のカブ吉くんは予定通り26万キロを通過する事が出来たので、エアクリーナエレメント(純正)とスパークプラグ(純正デンソー製)が交換されております。これで、新年はきれいな空気に元気に着火しながらスタートが切れる事となりました。

 

 今年最後の近況報告は、宇宙から東京、埼玉、神奈川までの壮大なスケール? のお話しで幕を閉じる事となります。一年間ありがとうございました。

 2021年もこのブログをご覧になって頂いている皆さまに、少しでもお役に立てるようにやっていく予定でございますので、どうかよろしくお願いいたします。

 

                                   管理人

 

2020年12月末現在 全走行距離 260,501km

(12月走行距離 2,000km 月間平均燃費 59.65km/ℓ )

月まであと 123,899km

カブ吉くん メンテナンス(エンジン廻り編)その二

(その二)

 

2.エアクリーナ(※エアクリーナエレメント:2万キロ毎の定期交換部品)

 

 昔からガソリンエンジンが調子よく回るためには、次の三つが大切であると言われています。

 

①良い混合気

②良い圧縮

③良い点火

 

 エアクリーナは、この①に表記した『良い混合気』をつくるのに欠かせない構成部品となります。

 カブ吉くんのステアリングステムのフレーム下に取り付けられたエアクリーナから吸入された空気は、次にスロットルボディに入り、そこでインジェクタから噴出された燃料と適切な割合で混ざり合い、『最適な混合気』として燃焼室に送り込まれます。

 もう少し詳しく説明させて頂くと、皆さんもよくご存じだと思いますが、このエアクリーナにはケース内に『エアクリーナエレメント』という部品が装着されております。この部品は、エアクリーナケース内の吸入された空気の通り道に取り付けられており、大気中の塵埃をここで除去して『清浄な空気』のみをスロットルボディに送り込む仕事をしています。そして、そこで出来た『清浄な空気』は、スロットルボディに取り込まれるタイミングで各種センサ(吸気圧力センサ、吸気温度センサ、スロットル開度センサ)によって測定され、そのデータに基づいてインジェクタから噴出された燃料と合わさった『最適な混合気』をつくる為のとても重要な部品の一つとなります。

  カブ吉くんの初代C100が走りはじめた昭和30年代と比べれば、現在の道路の舗装率は飛躍的に向上しており、土煙が舞い上がる中を走行する機会などは格段に減っている訳ですが、20,000kmを走行したカブ吉くんの交換された使用後のエアクリーナエレメントを見てみると、まだまだ結構な汚れが目につきます。しかし、大気中に存在する塵埃は、このように単純に目につくものばかりではありません。

 特に塵埃の『埃』の部分に関しては、目視するのはほぼ不可能かと思われます。恐らく、そういう目に見えないものも含めて、エアクリーナエレメントにはたくさんの塵埃がびっしりと吸着されているのだと思います。

 JA07型スーパーカブに装着されているエアクリーナエレメントのタイプは、ろ紙にオイルを浸透させたビスカスタイプのものが標準で装着されています。

 このビスカスタイプのエアクリーナエレメントは、ドライタイプと違い、清掃等のメンテナンスは出来ません。それなので、基本的に点検も不要となります。メーカーの交換指定距離の20,000kmに合せて交換をします。

 カブ吉くんは現在257,000kmを過ぎていますので、もう少しで13回目(260,000km)の交換となります。

 ジョニーさんは、このエアクリーナエレメントに関して、エンジンの耐久性や性能を維持する事に影響を及ぼす重要な部品として考えています。ですから、汚れ方を見た目で判断して、使用する距離を延ばすようなことはしません。きっちり、20,000kmを使用した時点で交換します。

 一部のマニアの方達は、性能向上を目指して?(ちがっていたら、ごめんなさい! )社外品の吸入抵抗の少ないものや、大容量の吸気が可能なエアクリーナエレメント(場合によってはエアファンネルのみで、エアクリーナエレメントはなし! )に交換をしたりする場合があるようですが、エンジンというのはエアクリーナの入口からマフラーの出口までが一つのものなので、一つの部品だけ変えてもバランスが崩れてしまうだけで、あまりいい結果につながらない事が多いものなのです。

 それは、エンジンだけにとどまらず、サスペンションやブレーキのセッティング、フレームやボディの剛性アップ等も含めたすべての部分に当てはまる事になります。

 そのマシンの、ノーマルの状態で持っているポテンシャルをきっちりと発揮させながら、尚且つ耐久性を損ねたくないのであれば、エレメント類(オイルエレメントを含む)は純正品を使用するのが一番いいとジョニーさんは考えています。

 古い話しで恐縮ですが、故石原裕次郎氏の主演映画の『栄光への5000キロ』のモデルとなった、四輪のラリー競技で国際的にも有名な『サファリラリー』というのがあります。(現在は世界ラリー選手権からは外れてしまっていますが……)

 その『サファリラリー』に何度も出場して、幾度となく総合優勝をしている日産ワークスの競技車のエレメント類は、すべて純正品が使用されていました。

 前走車の巻き上げる土煙の中を疾走する競技車にとっては、エアクリーナエレメントの集塵力はとてつもなく重要な性能となります。当然、競技車両ですから出力の向上は規定内で可能な限り追及をしていかなければならないのですが、最も優先される事は5000kmのラリーをエンジンを壊さずに完走する事となります。

 その頃、サーキットを走るレーシングカー達は、燃料を一杯食べる為には大量の空気を必要とする為に、エアクリーナエレメントの装着はしません。ソレックスやウェーバーのキャブレターに、本当に大きなゴミが入らなければいいとしか思えないような、粗い目の金網が付いただけのエアファンネルを装着しているマシン達が大多数でした。

 エンジンに求められる耐久性は、目の前のレース(3~400kmくらいが多いのでしょうか?)を走り切る事だけとなります。そういうマシン達のエンジンは、1レース毎に全部バラされて、一つひとつの部品がチェックされ、使えない部品は交換されて次のレースの前に再び組み上げられます(レギュレーションによっては、そういう事が出来ない場合もあります)。一般に市販される車両や、グラベル(非舗装路)等の走行が想定されるラリー競技車などとは根本的な耐久性への思想がまったく違うのです。

 いずれにしろ、定期交換部品をきちんと交換されて、ちゃんとメンテナンスを実施されているノーマル車は、全速度域でスムーズに走る事をジョニーさんは知っています。

 メーカーがその車両を開発している時に、社外品のエアクリーナエレメントを使用してセッティングする事はありません。全て純正品が使用されます。

 

3.スパークプラグ

 

 カブ吉くんのスパークプラグ(以下プラグ)は、5000km毎に交換されます。これはジョニーさんと吉村さんが、新車でカブ吉くんが走りはじめた時に、ジョニーさんのライディングスタイルを含めていろいろな状況を想定して決められています。

 カブ吉くん(JA07型スーパーカブ)の指定プラグは、NGK製のCPR6EA-9SとDENSO製のU20EPR9Sの二種類になります。JA10型スーパーカブも同様ですが、JA44型スーパーカブは、どういう訳かNGKのCPR6EAー9Sのみとなっているのでお気を付け下さい(理由は分かりません。ごめんなさい……)。

 プラグギャップは、いづれも0.8mm~0.9mmとなっています。

 余談ですが、カブ吉くん(JA07型)には、オプション(高速を主体とした走行時)として上記の標準プラグより高速型のCPR7EA-9S(NGK)と、U22EPR9S(DENSO)という記載もサービスマニュアルにはあるのです。

 この『高速を主体とした走行時』というのは、いったいメーカーはどこの場所を走る事を考えて設定しているのでしょうか? ジョニーさんも割合高回転を多用する乗り方をするので、もし標準の熱価でプラグが焼けすぎているようだったら高速型のプラグに変更をしようかと考えた時期もあるのですが、ジョニーさん程度の走り方では、いつも標準型で何の問題もなくきれいに焼けてしまうのです。ですから、本人は悔しがっていますが、高速型プラグに変更する事ができません。

 いったい、この高速型のプラグはというのは、何処をどうやって走る人達が使う想定でオプション設定されているのでしょうか? なんだか、考えているだけで楽しくなってきてしまいます。

 

 話しを戻します。

 プラグの電極の消耗は、一般的な四輪車(普通車)の場合で1万キロ走行すると約0.1mm~0.15mm消耗していくと言われています。そして、電極の消耗がすすむとプラグギャップが広がり、火花が飛びにくくなって失火や異常燃焼、燃費の低下、エンジン出力の低下などの症状につながっていくと考えられています。

 一般的な四輪車のドライバーが普通に運転する場合、実際に使用しているエンジンの回転域は何回転くらいを常用としているのでしょうか? 恐らく、現在の日本ではAT車が主流でしょうから、だいたい2000回転~3000回転の間にほぼ収まってしまうのではないかと予測されます。

 では、二輪車の場合は一体どうなのでしょうか? 110cc単気筒エンジンのカブ吉くんを例に挙げてお話しを進めていきます。

 乗り手であるジョニーさんは、スピードメータの表示誤差も考慮に入れて、だいたい指定速度(制限速度や法定速度を含みます)のプラス10km/hくらいを目安に走行する事が多いようです。運転歴の長いドライバーやライダー達は、その速度で走行している限り、まず取り締まりに遭わない事を経験則として知っています。

 ちょっと特別な国道2号線の『岡山バイパス』や国道8号線及び7号線の『新潟バイパス』等の指定速度が70km/h以上の道路を除くと、一般道での実際の走行速度としては、だいたい30km/hから70km/hくらいの範囲で走行している事になります。

 カブ吉くんの場合ですが、60km/hでは約5300回転、70km/hでは約6200回転くらいの回転数となります。それを、先ほどお話しした一般的な四輪車の常用回転域と比較してみると、ほぼ2倍くらいの高い回転数域でカブ吉くんは走行している事になります。

 四輪車の場合であれば、1万キロで0.1mm~0.15mmの消耗も、2倍の回転数を常用しながら走るカブ吉くんでは、半分の5000kmでそういう状態になるという事です。そうやってプラグギャップが広がり、火花が飛びにくくなって失火等が発生すると、当然ピストンヘッド等にカーボンの堆積などが増える事が予想されます。

 それらを踏まえた上で、エンジン性能の低下を抑えながら、長く安定して使用を続ける事を考えた結果が、カブ吉くんの『プラグは5000km交換』なのです。

 

 しかし、過去に一度だけジョニーさんが交換するのを忘れて、1万キロ走ってしまった事がありました。

 2015年の『九州ツーリング』の時です。この時のツーリング出発時のオドメータの表示は、『114,390km』でした。あと610km走行すると、本来はプラグ交換だったのです。

 ジョニーさんは、ツーリング前日の4月29日に吉村さんのところでちゃんとオイル交換をしています。でも、プラグの事は完全に忘れていたようです。

 この『九州ツーリング』は、9泊10日の行程で全走行距離3,835kmを記録する、カブ吉くんの過去最長ツーリングとなりました。

 ツーリングを終えたカブ吉くんの帰着メータ表示は、118,233kmにもなっていたので、ジョニーさんは吉村さんと相談して、『1回だけ、1万キロ使ってみる』という、実験をする事にしました。

 そして、いよいよ12万キロになるタイミングでエアクリーナエレメントと同時に交換されたプラグを見てみると、プラグギャップは1.1mm近くにまで広がり、中心電極と接地電極の両方とも丸くなってしまい、『これでは、火花を飛ばすのが結構大変だっただろうなぁ』と、想像するのに難しい事はありませんでした。

 

「やっぱり、1万キロは使っちゃダメだな」吉村さんは、誰に言うでもなく小さく呟きます。

 

ジョニーさんは、申し訳なさそうにカブ吉くんを見つめていました。

 

 最後に、指定プラグである『NGK』と『デンソー』の燃費データを掲載しておきますので、興味のある方はご覧になって下さい。

 ちなみに、現在のカブ吉くんのプラグは『デンソー』製が使用されています。これは、新車で装着されていたプラグが『デンソー』製であった事が理由です。

 乗り役のジョニーさんは、どちらのプラグを使用しても大きな違いなどは感じられないと言っておりました(逆に感じたら、大変です!)。

 

NGK : CPR6EA-9S(3本分のデータです)

走行 15,103km  燃料使用量 253.07 ℓ

燃費 59.68km/ℓ(時期1月~9月)

 

デンソー: U20EPR9S(3本分のデータです)

走行 14,893km  燃料使用量 249.70 ℓ

燃費 59.64km/ℓ(時期7月~1月)

 

                                   管理人 

(その三)に続く