スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

2020年2月 カブ吉くん 近況報告

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 1月末にバッテリーの突然死に見舞われたカブ吉くんですが、ジョニーさんと吉村さんの見事な対応によって、1日も休むことなく走り続ける事が出来ました。

 吉村さんのお店から数日間借りていた4アンペアのバッテリーは、容量こそJA07型スーパーカブの6アンペアに劣りますが、そんな事は一切関係ないようなとびっきりの元気さで、カブ吉くんに電気を供給してくれていました。

 その4アンペアのバッテリーは、いつもの国道246号線のアップダウンが続く区間でも、今まで以上にグイグイとカブ吉くんを上り坂で押し上げてくれます。

 

「……吉村さん、絶対このバッテリーに何か入れてんな……」

 

 ジョニーさんが、何やらまた訳の分からない事を言っていますが、バッテリーが元気だと、車やオートバイは本当に気持ちよく走ってくれる事を思い出させてくれます。

 従来からあった開放式のバッテリーと比較して、最後まで性能の低下が少ないと言われているVRLA(制御弁式)バッテリーですが、やはり長く使用しているとじわりじわりと性能低下は起こっているものなのですね~。

 

 その小さいながらも力持ちな4アンペアバッテリーの走りを数日楽しんでいたところに、ようやくカブ吉くんに搭載する新しいバッテリーが到着しました。

 

黄緑色の箱がカッコイイ 《 FTZ7S 》 です。

 

 あれ? 何だか微妙に違う気がしませんか? 以前に掲載した記事の中でジョニーさんは、

『最近何だかバッテリーが弱くなってきたような気がするが、次も純正の《YTZ7S》にする予定だ』

くらいの事を言っていたと思うのですが、気のせいでしょうか?

 

吉村さんがすかさず突っ込みます。

「ジョニーはいつも、『耐久性の確認の為には基本的には純正部品を使用する』って言ってたよなぁ~? それなのに、今回はどういう風の吹き回しでそうなっちまったんだ?」

 

「う~ん、別にそんな大層な理由がある訳じゃないんだけどね~。まぁ《YTZ7S》も2個使ってみて、それぞれ10万2千キロと13万6千キロ走ったからねぇ、今度はちょっとタイ製もいいかな~? なんて、ふと思ってさ~」歳の割には、相変わらず軽いノリのジョニーさんです。

 

「ほう~、古河電池の《FTZ7S》はタイ製なんだ~、まぁ最近は本当に海外生産の部品が増えたからなぁ。でも、カブ吉に純正で付いているGSユアサの《YTZ7S》は、いまでは結構珍しくなった日本製なんだよな。しかし、いろいろあり過ぎて、とても覚えてらんねぇな……。ちなみに、現行のJA44型スーパーカブについている純正バッテリーは、ベトナム製のGSユアサ《GTZ4V》だけど、ジョニー知ってたか?」吉村さんがニコリとしながら、ジョニーさんに伝えます。

 

「えぇ~、現行の4アンペアのバッテリーは、同じユアサでもベトナム製なんだ~? もう、何が何だか訳が分からないね~。でもさぁ、《FTZ7S》の話しに戻すけどさぁ、適当に選んでるみたいに見えるけど、俺は今回、カブ吉とバッテリーとの相性を真剣に考えた上で、あえて古河電池製のバッテリーを選択しているっていうのもあるんだよ」 ジョニーさんは、若干ドヤ顔気味で吉村さんに話します。

 

「そんな事言ってるけど、どうせジョニーの事だから、『カブ吉のエンジンはタイ製だからさ~、バッテリーも同じタイ製の方がしっくりいくかも~』くらいの事で決めたんじゃねぇのか~?」さらりと吉村さんは切り返します。

 

「・・・」 ジョニーさんは、何も言い返しません……。

 

 

 そんな二人のやりとりはおいといて、バッテリーが新しくなったカブ吉くんは、2月としてはとても暖かだった東京都心から多摩地域をはじめ、神奈川県の県央地域を含めて快調に走り回っておりました。 

 ちょうど距離が24万キロになったのもあり、それに合わせてエアクリーナエレメント、スパークプラグ、エンジンオイルの交換が行われ、1万キロ整備も同じタイミングで実施されました。

 通常であればスイングアーム関係の清掃と給脂に、ドライブスプロケット廻りの清掃が加わるくらいの感じなのですが、今回は何となく雰囲気が違います。と言うのも、カブ吉くんのバッテリートラブルが発生するタイミングと前後して、ジョニーさんが、

 

「吉村さ~ん、カブ吉のドライブチェーンがジャラジャラとうるさくって、もう我慢出来なくなってきた~」などと、結構ひんぱんに騒いでいたのです。

 

「そうしたらジョニー、とうとう前後スプロケットとチェーン一式交換だな~。いや~、長かったな~。でも、純正の420Dで良くここまで持ったもんだな、本当にびっくりしちゃうよ」吉村さんは、感心しきりです。

 

「ドライブチェーンはそんなに伸びてる訳じゃないから、使おうと思うんだったら、まだまだ使えると思うよ。たぶん、30万キロもいけるんじゃないかな……。でもさぁ、とにかくここのところジャラジャラと本当にうるさいんだ。加減速の時は気にならないんだけど、速度が一定になると、もうダメ~、我慢出来ない」ジョニーさんは、続けます。

「前後スプロケットは、まだまだ大丈夫なんだけど、どうせチェーン変えるなら、当たりの問題もあるから交換だね。それに、チェーンも今回は強化タイプに変更するしね」

 

 ジョニーさんは、何やらいろいろと考えていたようです。それを聞いた吉村さんが、今度は口を開きます。

 

「おっ、なんだ純正の420Dじゃないんだ。ジョニー、これで24万キロまで走って来たんだから、月まであと14万キロくらいなら純正でいいんじゃねぇのか~」

 

 吉村さんは、純正420Dを推してきます。しかし、ここでジョニーさんは、またとんでもない事を言い始めます。

 

「なに言ってるのよ吉村さ~ん。月まで行ったら、今度は地球に戻らなきゃだめでしょう? 38万4千キロの倍だから、約77万キロだとすると、強化タイプに今回替えたにしても、あともう一回どっかで替えないと地球には戻れないんだからね……」

 

吉村さんは、あんぐりと口を開けてジョニーさんを見つめていました。そんな吉村さんを見たジョニーさんは、更に言葉を続けます。

 

「そんな驚かなくたって大丈夫だよ、吉村さん。それが出来るとすれば、それは俺らの子供たちの世代だからさ~。とか……何とか……、まぁ、そんなふうに言ってはいるけど、本当に子供たちが親のやってる事に興味を持って『いいよ、やってみるよ』なんて簡単に言うかどうかも分からないしねぇ……、それにカブ吉にしたって、その時点で地球に戻るだけの力がはたして残っているのかどうか、こっちも分からないしなぁ……。いずれにしても、俺が出来る事は、目の前のカブ吉をしっかりとメンテナンスしてやって、毎日ちゃんと乗ってやる事だけしかないってことだわな~」

 

 ジョニーさんはそう言った後に、吉村さんに自分の考えていた部品の発注を始めました。

 そして、その新しく発注された部品たちは、数日後には吉村さんのお店経由でジョニーさんに届き、『24万キロ整備』の中で、今まで頑張って機能を続けてきた結果、消耗してしまった部品たちと交換されていきました。

 

 バッテリー、前後スプロケット、チェーン以外にも交換されたものは、三つあります。

 一つ目は、前から今一つ接触の悪かった『スタータスイッチ』です。バッテリーの不具合が出たタイミングで部品発注していたので、今回の『24万キロ整備』の中で交換となりました。

 ジョニーさんがカブ吉くんを始動する際のキックとスタータモータの割合は、大体半々くらいです。でも、普通のライダーだと、やはりセル始動が主流なのではないでしょうか?

 ジョニーさんは、走り始めてすぐに目的地に着いてしまう事が分かっている場合などは、ほとんどキックスタータを使ってエンジンを始動します。それ以外の30分以上の走行が可能な場合などは、比較的スタータスイッチを押してエンジンを始動している事が多いようです。

 何故、ジョニーさんはそんな風に始動方法を分けているのか考えてみると、『せっかくキックスタータが付いているのだから、少しでもそれを使って、カブ吉のバッテリーやスタータモータの負担を減らしてやろう』という、親心みたいなものなのかもしれません。

 しかし、それでも20万キロを超える距離を走って来ているので、スタータモータを使ってエンジン始動している回数は、相当な数になる筈です。そして、その回数と同じだけ間違いなくスタータスイッチも押されています。そのたびに、スタータリレーを働かせる為に微弱ではありますが接点に電流が流れます。

 新品のスイッチの接点は2mmくらいの高さがあるのですが、取り外された古いスタータスイッチの銀色の接点を見てみると、半分の1mmほどの高さしかありません。

 たまにジョニーさんがスイッチを押しても、うんともすんとも言わない時があったりしたので、当然、接触面も荒れているはずです。

 ジョニーさんは、そんなスタータスイッチを見つめながら、口では何も言いませんが、とても優しい眼差しで交換作業をしていきます。

 

 二つ目は、『ダンパラバー』になります。

 ジョニーさん的には、もう少し使えそうな気もしていたのですが、せっかく駆動系一式を交換するのですから、何だか切ない話しですが、これも変えておかないと、他を変えた効果が分からなくなると言う事での交換です。

 現在まで使っていた『ダンパラバー』は、11万3千キロ走行時に交換したものなので、12万7千キロを使用した事になります。

 新車から付いていた部品を上回る距離を走っている割には、シフトチェンジ時のショックも、まだまだうまく吸収してくれていたので、ジョニーさんは何か申し訳ない気持ちになってしまいます。

 

 そして、最後の三つ目は『リヤ・ブレーキカム』です。

 この部品は、前回リヤタイヤを交換した後に発注した部品なので、去年の5月にはもうジョニーさん手元にありました。

 カブ吉くんのリヤブレーキシューは、現在リヤに履いているG556の交換とほぼ同じタイミングで交換されます。距離数にすると、おそらく2万キロから2万5千キロの間です。

 そんな感じで考えてみると、もう10SETくらいのリヤ・ブレーキシューを交換して来ているのかもしれません。また、前からたまにお話ししていますが、ジョニーさんはカブ吉くんのコントローラブルなリヤブレーキが、大のお気に入りです。今まで乗って来た、どのマシンのリヤブレーキよりもカブ吉くんのリヤブレーキのフィーリングが気に入っています。そうなると、当然スロットルでは出来ないちょっとしたスピードコントロールは、ほとんどがリヤブレーキで行われます。『ブレーキカム』大活躍です。

 ブレーキペダルを踏み込むと、ブレーキロッドを経由してこの『ブレーキカム』が回転し、ドラム内にある左右のブレーキシューを押し広げて、リヤに制動力が発生します。

 ジョニーさんは、何回か前のブレーキシューの交換のあたりから、リヤブレーキが割合直ぐに遊びが大きくなってしまう事が多くなったように感じていました。また、ウエアインジケータの示すブレーキシューの残量位置も、交換を指示する△印に近づいて行くまでの時間が、短くなったように感じていたのです。

 そして、前回のリヤタイヤ交換の時に、吉村さんが残念そうに言ったのです。

 

『失敗したなぁ、ブレーキカムを頼んでおけばよかったなぁ~。ブレーキシューとの接触面が、こんなに減ってるとは思わなかったな~。ジョニー、次回は交換するからな』

 

すると、ジョニーさんは

『やっぱり、そんなに減ってたんだ……。吉村さん、そうしたらブレーキカムだけ頼んでおいてよ。どうせ、どっかでリヤタイヤ外して整備したりする事があれば、その時に一緒にやっちゃうからさ』と、吉村さんにジョニーさんは言ったのです。

 

 そして、ようやく8か月を経過して、今回の交換となりました。決してそんなに難しい整備ではないのですが、最後にブレーキシューをはめるのが、かなりの力技になるので、ここ数年右手首を痛めているジョニーさんとっては、結構辛い整備となりました。

 しかし、交換後の走行チェックでは、そんな痛みも忘れるほどのフィーリングを味わう事が出来ました。

 『ブレーキカム』1本の交換で、あの踏力に応じたジワリとしたブレーキタッチが戻ってきたのです。これだから、整備はやめられません。そして、いつもの一言、

 

『こんな事なら、もっと早く交換しておけば良かったな~』ジョニーさんは、呟きました。

 

 それ以外の部分も、みんな大成功です。特にドライブチェーンは、全く音がしなくなりました。逆に、今まで気にならなかった、エンジンのカムチェーンの音の方が気になるくらいです。

 

 今月の近況報告は、なんだかメンテナンス記事のようになってしまいましたが、こういう時も、たまにはあるのだと思います。

 多少お金はかかりましたが、しょうがありません。その分、カブ吉くんがとてもいい状態になってくれたので、それが一番うれしいジョニーさんでした。

 

 俄然、走る事が気持ちよくなったジョニーさんとカブ吉くんですが、来月はいよいよカブ吉くんがマフラーから煙りを噴き始めて一年目になります。

 そっちの方の症状は、この時期は少し治まってはいるのですが、暖かくなってくるとまた再発する恐れがあります。

 そこら辺の兼ね合いの部分はありますが、こんなに駆動系の状態のいいカブ吉くんも、大変久しぶりでございます。

 近所の庭に植えられた梅たちも満開になり、気候もだいぶ良くなってきたタイミングでもありますので、ひょっとすると来月辺りは3月にはめったに行く事のない『ツーリング』などに、ジョニーさんたちは出掛けて行く事があるかも知れません。

 

 それでは、皆さま本日も長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。

 

                                   管理人

 

2020年2月末現在 全走行距離 240,790km

(2月走行距離 2,098km 燃費 53.44km/ ℓ 

月まであと 143,610km