スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

カブ吉くん メンテナンス(駆動系編)その一

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 今回は、カブ吉くんの駆動系のメンテナンスについてお話しをさせて頂きたいと思います。

 しかし、本題に入る前に、カブ吉くんのエンジンで発生した力がどのように後輪に伝わって、カブ吉くんが走る事が出来るのかをおさらいしてみたいと思います。

 

 レシプロエンジンでは、ピストンがシリンダー内で起こった爆発の力を受けて上下運動を始めます。当然、そのピストンはコンロッドを介してクランクシャフトに取り付けられているので、その上下運動は同時に回転運動へと変換されます。

 そして、そのクランクシャフトの回転力は、クラッチを介して次にメインシャフトへと伝わっていきます。この時の力の伝達は、クランクシャフト側のギヤ(17T)と、メインシャフト側のギヤ(69T)が噛み合う事によって行われます。

 皆さんも、一度は耳にした事があるのではないかと思いますが、ここが一次減速と呼ばれる部分になります。上記の記載から、カブ吉くん(JA07型)の一次減速比は、4.058(69/17)であることが分かります。

 次にメインシャフトに入った力は、やはりそのシャフトに取り付けられたギヤ(カブ吉くんは4速なので、4個あります)によって、カウンタシャフト(このシャフトにも同じように4個のギヤが付いています)に伝わります。このギヤの取り付けられた2本のシャフトと、変速を担当するシフトドラムが組み合わさって、一般的にトランスミッションと呼ばれています。

 そして、このカウンタシャフトの先端には、ドライブスプロケット(14T)が取り付けられていて、エンジンの力はここからドライブチェーンを介して、リヤハブに嵌め込まれたドリブンスプロケット(34T)へと伝わっていきます。このスプロケット比が、二次減速比(JA07型では、最終減速)と言われるもので、カブ吉くんの場合は2.428(34/14)となります。

 

 このような流れで、最終的に伝わった力が後輪を回転させ、カブ吉くんはスピードを自在に上げたり下げたりしながら、ようやく楽しく走れるという事になります。

 

 それでは、一般的にはほとんどメンテナンスをする事のないトランスミッションなども含まれますが、一応駆動系のお話しとして、クラッチトランスミッション、前後スプロケット、ドライブチェーン、そしてダンパラバーという項目について順にお話しを進めていきたいと思いますので、よろしければお付き合いをお願いいたします。

 

 

クラッチ

 クラッチに関しては、2020年11月の『カブ吉くん メンテナンス エンジン廻り編 その一』で、結構詳しく一度お話しをさせて頂いておりますが(興味のある方はそちらもご覧頂ければ幸いでございます)、その記事を作成した時点での、カブ吉くんの走行距離は約25万キロでした。

 現在のカブ吉くんの走行距離は約31万キロですから、あれから約6万キロを走行している事になりますが、あいかわらずクラッチに関しては2000km毎のエンジンオイルの交換だけで、それ以外のメンテナンス等は一切行われていません。

 一般的に30万キロ以上の耐久力を持つクラッチというものは、カブ吉くんより大きな排気量を持つオートバイではまず考えられない事です。通常では、まず10万キロも持たない事が多いのではないでしょうか。

 ジョニーさんが、カブ吉くんの前に大切(優しくとか、そうっと乗っていたという意味ではありません)に乗っていたセロー225でも7万キロくらいで交換になりましたし、その昔に乗っていたマッハⅢでは、『ウイリーばっかりして遊んでいたせいで、確か1万キロ台でクラッチはダメになってしまった』と、ジョニーさんは言っていました。

 これは『ダメになってしまった』のではなくて、『ダメにしてしまった』という言い方が管理人は正しいと思いますが、皆さんはどう思われるでしょうか?

 まあ、それはかなり特殊な使用例ですが、それにしてもエンジンオイルを定期的に交換しているだけで、30万キロクラッチが持ってしまう『スーパーカブ』というオートバイは、出力が低いという事もありますが、それを差し引いてもやっぱりとてつもなく凄いオートバイである事に、どなたも疑問を挟む余地はないように思います。

 

 しかしながら、そんなカブ吉くんに対して、ジョニーさんは最近こんな事を言いようになって来ました。

 

「近頃のカブ吉はさあ、、若干シフトアップする時にクラッチが滑る事が増えてきたような気がするんだよな……。それって、もしかしてシリンダーとピストン替えて、パワーアップとかしっちゃったりしてるからかなぁ?」

 

 誠に残念ではありますが、カブ吉くんとしては新品部品への交換で往年の力を取り戻す事はあったとしても、パワーアップをする事は絶対にありません。

 相変わらず脳天気なジョニーさんの発言ではありますが、さすがに30万キロ使用されて来たクラッチなので、このような兆候が今後も続くようならば、ひょっとするとどこかのタイミングでメンテナンスが実施される可能性があるかもしれません。

 しかし、もしそのようなメンテナンスが実施されるとすれば、それは今後に予定されている『日本一周ツーリング』等のロングツーリングの前に、クラッチによほど酷い症状が出て来た場合に限りそうです。あくまで、その為の予防整備という形で実施する事は、吉村さんもジョニーさんも現時点ではまったく考えていないようです。

 

 最後に、クラッチの寿命を左右するエンジンオイルの話しを少しだけします。

 カブ吉くんは2019年3月から、排気バルブのステムシール不良による、マフラーからの排煙問題が始まった影響で、その時点(走行距離は21万9千キロ頃)からエンジンオイルはG2(部分合成油10W-40)しか使わなくなっています。

 そうやって考えてみると、かれこれG2だけで夏も冬も関係なく約9万キロを走って来た事になります。

 それまでは、大雑把に言うと気温の下がる10月から4月はG1(鉱物油10W-30。現在のG1とは違うエンジンオイルです)を使用し、ツーリング等が多くなる5月から9月まではG2という感じで、ちゃんと使い分けられていました。

 実は、ジョニーさんは多少メカニカルノイズは増えるのですが、フルスロットルで加速したりする時に、がっちりとクラッチが繋がるG1が本当は好きだったのです。

 G2で同じようにフルスロットルで走ろうとすると、シフトアップの時に意識してきちんとスロットルを戻してやらないと、ギヤが変わるタイミングで一瞬クラッチが滑ったりする事がままあるのです。

 まあ、『変速の際にはきちんとスロットルを戻す』という、基本通りのライディングをしていれば何の問題もない話しなのですが、ジョニーさん的には相変わらずあまり納得がいっていないようです。

 

 『エンジンの耐久性という面で考えてみると、部分合成油で40番のG2の方が良いのではないか?』という実施検証に入っている現在のカブ吉くんではありますが、もしホンダに『鉱物油の10W-40』というエンジンオイルがあったら、ジョニーさんは間違いなくそれを選択しそうな気が管理人はいたします。

 

 最近はあまり言わなくなりましたが、ジョニーさんの口癖でこんなのがありました。

 

「俺的には、オイルに添加剤はあまりいらないんだよね……。定食屋だって、肉野菜炒めを頼むときに『おばちゃん、ピーマン抜いてくれる?』って頼めば、おばちゃんはちゃんと抜いてくれるんだからさぁ……」

 

本田技研工業株式会社さま、大変申し訳ございません。定食屋の肉野菜炒めのピーマンと同じに考えているこの男を、どうかお許しくださいませ。

                                    管理人

※その二に続く

次回は、トランスミッションの予定です。