スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

カブ吉くん 月まで走れ!

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 20万キロ通過! 次なる目標は30万キロ!

★2022年9月19日 30万キロを通過しました。

★2025年8月28日 35万キロを通過しました。

 

 このブログは、伝説にもなっている『スーパーカブの耐久性』に関して、「でも、本当のところはどうなんだろう?」という素朴な疑問に答えるべく、実際に検証チャレンジをしているものです。

 

 本来ならば、『スーパーカブ』の原点である50ccや70ccモデルを使う事が正統なのかもしれませんが、今回このチャレンジに使用しているマシンは、2007年で製造が中止されてしまった『スーパーカブ90』の後継モデルである、2010年式JA07型スーパーカブ110です。

 

 このマシンは純日本製だった今までの『スーパーカブ』とは違って、タイで製造されたエンジン部品等を使って、ホンダ熊本工場で組み上げられたものです。

 外装も樹脂部品が多用されており、昔からスーパーカブに乗り続けている人々からは、「今度のカブは、一体どのくらい走れるんだろう? 外装部品の寿命は『鉄カブ』と比べたら、きっと短いんだろうな~」などという辛口の意見も数多く聞かれ、その車体寿命に関しては販売当初からかなり心配をされていた車種でございます。

 しかし、そのJA07型スーパーカブは、走り始めてから4年目の2014年8月に10万キロを走破。そして約8年経過した2018年6月には、大きく調子を落とすこともなく無事20万キロを通過致しました。

  当然、それまでにエンジンのオーバーホール等の大きな整備(※1)は一切なく、クラッチ関係についても、現在まで調整は一度も行われておりません。

 エンジンオイルは、推奨純正オイルのウルトラG1(鉱物油10W-30)及びウルトラG2(部分化学合成油10W-40)の二種類のみを使用し、季節及び使用状況等に応じて使い分けています。

――2019年3月以降は、エンジンにオイル下がりの症状が出て来た為、ウルトラG2(部分化学合成油10W-40)のみを使用しています――

 

 オイル交換に関しては、メーカー指示は3,000キロ毎ですが、乗り手が比較的高回転を多用する使用状況を考慮して、これだけは2,000キロ毎で実施しています。

 ドライブチェーン及び前後スプロケットも、定期的な給油は行っていますが、新車装着の物をそのまま使用しております。

――2020年2月に実施した『24万キロ整備』にて、ドライブチェーン及び前後スプロケットが初めての交換となりました――

 

 それ以外の交換部品類も、原則的にはメーカー等の指示に従って交換するような使用方法で現在に至っています。

 

 2014年に二輪自動車では初となる立体商標に登録され、2017年には世界累計生産台数が1億台を突破。そして2018年はスーパーカブ発売から60周年となり、この『スーパーカブ』という世界中で走り続けるマシンに、今後も更に多くの方々が興味をお持ちになるのではないかと思います。

 現在スーパーカブに乗られている方々はもちろんの事、これから『ちょっと乗ってみようかな』と考えている方々も含めて、少しでも皆様のお役に立てればと考えてこのブログを立ち上げました。

 しかし『耐久チャレンジ』や『月まで走れ!』などというタイトルを付けてブログを始めたものの、5万キロくらいで壊れてしまってはどうしようもありません。

 最低でも月まで半分強の距離である20万キロを越える事が出来たらという理由から、このタイミングでのブログ開設となりました。

 

 このブログの次の当面の目標は30万キロとなりますが、サブタイトルにもある通り、地球から月までの距離である38万4千4百キロを一応の最終目標に設定してチャレンジを続けて参ります。

 今後はJA07型スーパーカブの使用状況が分かる走行データやメンテナンス記事、近況報告やセミドキュメンタリー形式の小説などを随時掲載していく予定です。

  そして、その小説の中に登場する『カブ吉くん』の描写部分は、ノンフィクションとなります。実際に、『カブ吉くん』がどのように乗られてきたのかが、分かるように書いています。

 それらをお読み頂き、少しでも皆様のお役に立てるところがあるならば、とても嬉しく思います。

 また、『カブ吉くん』の走行シーンや走行データ以外の部分については、『読み物』としても楽しんで頂けたらという思いから、若干の脚色が含まれている事をご了承いただければと思います。

 

それでは、どうぞ宜しくお願い致します。                    

                                    

                                   管理人

 

(※1)

2019年3月から発生していたマフラーからの排煙と、エンジンオイルの消費量増加に対する根本的なメンテナンスとして、2022年1月(その時点での走行距離28万4千キロ)に初めてシリンダー、ピストン、ピストンリング等が交換されました。

 

 

2026年6・7月 カブ吉くん 近況報告

令和8年8月熊本地震により被災された皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

7月28日16時27分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1(暫定値)の地震が発生し、熊本県宇城市、氷川町では最大震度7を観測。それ以外でも、熊本県熊本市、八代市、宇土市、美里町、益城町、嘉島町で震度6強を観測するなど、熊本県を中心とする各地に大きな被害をもたらしました。

2016年熊本地震から10年、昨年8月の九州豪雨から約1年、被災された皆さまの心中を察すると言葉もございません。

当ブログ関係者一同、この地震により被災された方々の日常生活が、1日でも早く戻る事を心よりお祈りしております。

 

 

 皆さんこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 今月は6月と7月をまとめた2ヶ月分の報告となります。それでは始めましょう。

 

 この二月(ふたつき)の間も、ジョニーさんとカブ吉くんは相変わらず夜間パトロールにせっせと出動しておりました。

 ちょうどタイミング良い事に、FIFAワールドカップ2026が6月11日から7月19日(日本時間ではそれぞれ1日ずれます)までの39日間の日程で開催されていたので、ジョニーさんは今年の二月に開催されていたミラノ・コルティナ2026の時と同様に、夜間パトロールから帰って来てはテレビの前に座り込むという生活を続けていたそうです。

 そんな訳で、完全に夜型の生活になってしまったジョニーさんですが、決勝戦の2日後にカブ吉くんのオイルとプラグ交換に立ち寄った吉村さんのお店で、寝不足をぼやきながらも今回のワールドカップの感想を二人で話していました。

 

「まず最初に、6月11日の開幕戦のメキシコ対南アフリカ共和国の試合が、アステカ・スタジアム(開催中の名称は、エスタディオ・シウダ・デ・メヒコ)だったっていうのがちょっと感動的だったな……」

 

「さすがにジョニーだな。伊達に50年以上もワールドカップを見てる訳じゃねえのがよく分かるな」

 

「そりゃあそうだよ。70年のペレがいたブラジルがイタリアを破ってジュール・リメ杯を永久保持した場所だし、その2年前のメキシコ・オリンピックでは、三位決定戦で釜本の二発で開催国のメキシコを破って銅メダルを取った場所だからね」

 

「本当にそうだよな~、昔からずっと見ているファン達は、やっぱりジョニーみたいに感動してたかもしれねえな~」

 

吉村さんとジョニーさんのサッカー談議は、この後も延々と続くのですが、カブ吉くんの近況報告とは全く関係がないのでこれ以上は書きません。

 ワールドカップ2026については、皆さまの方がよくご存じだと思いますが、ルール上(レッドカードを受けた後の試合出場の可否。原則は次の試合は出場出来ない)の問題や、審判から見えない所での反則行為、大会全体から感じる商業主義等々、様々な問題を提起する事になった大会ではなかったかと思います。

最終的にはスペインがアルゼンチンを1対0で下し大会は終了しましたが、試合内容は点差以上にスペインサッカーの緻密なパスワークや卓越した個人技が見られ、メッシのいるアルゼンチンと比較しても、プレーの素晴らしさが際立つものとなりました。

 この世界中で愛されるスポーツは、次の四年後の大会では一体どのような景色を見せてくれるのでしょうか? サッカーの面白さや創造性が際立つ大会になる事を期待して待ちたいと思います。

 

 さて、カブ吉くんの話しに戻りましょう。

 

 6月から7月というのは、ジョニーさんとカブ吉くんのいる関東地方では梅雨の真っ盛りの時期となります。特に今年は6月7日の梅雨入りから7月20日の梅雨明けまでの34日間のうち、24日間が雨という実に梅雨らしい梅雨でございました。

 また、ここのところのお約束で、梅雨が明けると突然猛暑が始まるというパターンなので、ジョニーさんとカブ吉くんにとっては、現在一年で一番走る事が難しい時期でもあります。それに加えて、ジョニーさんが去年からこの時期の楽しみとして始めた五日市の『蛍狩り』も、ビビリのジョニーさんはクマに遭いたくないので、今年は早々に中止宣言を出しておりました。

 しかし、そんな状況の中ではございますが、どうした事かジョニーさんは6月に1,924km、そして7月には同月としては5年ぶりの2千キロ超えとなる2,279kmの距離を走ってくれました。それぞれ数日は途中で雨に降られて、カッパを着ながらの走行もあったようですが、それはそれでジョニーさんにとっては久しぶりの事で、逆に楽しみながらのライディングとなったようです。

 昨年の11月くらいからコンスタントに夜間パトロールに出掛けるようになったジョニーさんとカブ吉くんの走りは、今年7月末時点では昔のように年間2万4千キロペースに戻っています。

 このように走る距離が増えて来ると、当然日常メンテナンス等の頻度も多くなって来ます。この二月(ふたつき)のあいだでも、エンジンオイルの交換が2回とドライブチェーンへの給油を主にした日常メンテナンスが6回実施されています。

 その中でも、7月28日に37万キロを超えたタイミングで実施された通称『1万キロ整備(37万キロ整備)』の中で、突然ですがドライブチェーン、ドライブスプロケット、ドリブンスプロケット、リヤブレーキシューが交換となりました。ちなみに、『36万キロ整備』はジョニーさんが華麗にスルーしたのでやっていません。

 この整備は、ジョニーさんが事前に吉村さんのお店に部品を発注して、ジョニーさんの家で自家整備として実施されています。

 リヤブレーキシューに関しては、4月の前後タイヤ交換のタイミングで発注ミスにより交換が出来なかったので、今回の交換は理由が分かるのですが、それ以外の駆動系の部品に関しては、事前にあまり情報もなかったので、何故このタイミングで交換になったのかは実のところよく分からないのです。

 また、前後のスプロケットはいつものように前14T、後34Tの純正部品が使われています。しかし、ドライブチェーンは24万キロ、30万キロの交換でここのところ使われていた、『DID420DS』という強化タイプではなく、純正品の『DID420D』に戻っているのです。

 恐らくジョニーさんと吉村さんのあいだではこの件に関しての打ち合わせがされていたはずなので、来月の報告ではその辺りの詳しい事情の説明が出来るのではないかと思います。どうか楽しみにお待ちくださいませ。

 ひとまず分かる範囲の情報として、各部品の交換に至るまでの使用距離をお伝えしておきます。まず、ドライブスプロケットですが、前回32万3千キロで交換されているので、使用距離は約4万7千キロになります。次にドリブンスプロケットは、24万キロで交換したまま37万キロまで使われていたので、使用距離は13万キロとなります。そして、最後にドライブチェーンですが、これは30万キロからの『燃費検証』に入るためにそのタイミングで交換されているので、調度7万キロ使用した事になります。

 今までのカブ吉くんの駆動系部品の使用距離を考えてみると、そんなにひどい状態になっている部品はないような気がするのですが、強いて挙げるとすれば13万キロ使用しているドリブンスプロケットが一番消耗しているような気はいたします。

 しかし、そのような状況でも、カブ吉くんの調子自体に大きな陰りのようなものはありません。実際に、カブ吉くんが7月に記録した月間平均燃費64.31km/ℓ は、2010年7月から現在まで記録されている7月の最高燃費となります。

 それまでの最高記録は、ジョニーさんがまだ仕事も現役で走りまわっていた2021年7月の64.16km/ℓ でした。

 そして、今回の記録はその記録を大幅に更新している訳でもありませんし、走行条件も同様ではないという事を考えると、それ程大きく騒ぐほどの事ではありませんが、それでも『カブ吉くんが好調ではない』という具合に考える状況にはない事が分かると思います。

 

 8月の報告の中では詳細がお伝え出来ると考えていますので、楽しみにお待ち頂ければと思います。

 

 オートバイ乗りにとっては大変に厳しい季節となりました。どなた様も水分とミネラル補給を充分にして頂き、気を付けてオートバイをお楽しみ下さい。

 

                                    管理人

 

2026年7月末現在 全走行距離 370,922km

(6月走行距離 1,924km 月間平均燃費 62.79km/ℓ )

(7月走行距離 2,279km 月間平均燃費 64.31km/ℓ )

月まであと 13,478km

 

2026年5月 カブ吉くん 近況報告

【 メインスタンド分解メンテナンス 】

【 スタッドボルト ヘリサート加工 】

 

 皆さんこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 5月の大型連休も終わった7日の日に、ジョニーさんはカブ吉くんのスパークプラグ交換の為に吉村さんのお店を訪れていました。

 

「ジョニー、それで5月の連休は結局何日仕事したんだ?」吉村さんが尋ねます。

 

「それがさあ、もっとあるかと思ってたんだけど、2日に丸の内で一日あっただけで、それ以外は全部休みになっちゃったんだよな~」ジョニーさんは少し不満げに返事をしています。

 

 現役時代は5月の大型連休を利用して、仕事の調整がうまくついた時にはロングツーリングを楽しんでいたジョニーさんですが、退職してからは『もう今は、何も無理して混む時期に走らなくてもいいんだよ。走るのは連休が終わってからさ』と言いながら、アルバイトがある時は現在はそちらを優先するようになっています。

 

「そうか……、でも一日だけじゃ小遣いもあんまり増えなかったなあ」

 

「本当だよ……、去年の連休は何だかんだ言っても3日くらいはあったからね……。これじゃ、今日のプラグ代も払えないかもしれないな……」

 

いつものジョニーさんと吉村さんの会話が続いていますが、前回の交換から約5千キロを走行しているカブ吉くんのスパークプラグは、その後きちんと交換されているのでご安心ください。但し、料金がきちんと支払われているかは分かりませんが……。

 

 吉村さんが他のお客さんの対応をしている間、ジョニーさんは何の気なしにカブ吉くんの交換されたプラグ周りを見ています。そして、ちょっとした異変に気付きます。

 

「あれ!? この前ちゃんと締めたはずなのに、スタッドボルトのフランジナット緩んでるじゃん……。何で?」

 

 確かにようく見てみると、マフラーのエキゾースト部分をシリンダーヘッドに固定しているフランジナット(正式にはエキゾーストパイプジョイントナットと言います)の締付面(座面)に微妙に隙間が出来ています。

 

 ジョニーさんは、カブ吉くんのビジネスボックスの中にある車載工具袋から12mmのスパナを取り出して、軽く締め直してみます。

 車体に対して左側のナットはすぐに手応えがある状態で締める事が出来たのですが、右側のナットは締め込んでいっても一向に手応えが出て来ない怪しい感じです。

 そこへ接客を終えた吉村さんが戻って来ます。ジョニーさんはすかさず吉村さんにスパナを手渡しながら、

 

「なんか変……、ちょっと締めてみて……」と、吉村さんに声を掛けます。

 

 吉村さんは慎重にフランジナットを締め始めましたが、その顔がすぐに曇ります。そして、吉村さんは一度フランジナットを緩めて外し、スタッドボルト単体をシリンダーヘッドから取外しに掛かります。

 吉村さんは、予想外に簡単に外れたスタッドボルトを手に載せながら、そのネジ部分のピッチの間に残る薄い金属片をつまんで、ジョニーさんの手のひらにそれをそっと載せます。

 怪訝な顔をしているジョニーさんの手のひらに、吉村さんはピックアップツールの磁石部分を近づけていきます。

 

「……、くっつかない……。っていう事は、アルミだ……」ジョニーさんが呟きます。

 

そうです。スタッドボルトを埋め込んでいるシリンダーヘッド側の雌ねじの山がダメになって、その破片が出て来たのです。 

 

 カブ吉くんのこのダメになったスタッドボルトは、2015年10月に動きの悪くなったメインスタンドを分解整備しようとしていたジョニーさんが、マフラーを取り外す為に固着していたフランジナットを緩めようとして折損してしまい、その時に一度修理交換をしているスタッドボルトです。

 その後も、いつの時期からなのかはっきりとしないのですが、再びフランジナットが固着し、ジョニーさんは頻繁にCRC5ー56等を吹き付けたりしていたのですが改善はせず、一時期からは固着したフランジナットとスタッドボルトが一緒に共回りをするようになっていました。

 それが正常な事ではないのは充分に分かっているのですが、マフラーを脱着しなければならないような作業頻度はそれほど多くはないので、ついついそのままになってしまっていたのです。

 しかし、それが不思議な事に、先月最終の日常メンテナンスを実施している際に、ジョニーさんがいつものようにCRCを吹き付けた後、12mmのメガネレンチを掛けて軽く緩めてみると、なんとフランジナットがすんなりと緩むではないですか! 

 もう、ジョニーさんは大喜びです。『これで、ここの所また動きが悪くなって来ているメインスタンドの分解整備がやっと出来るな~』などと言いながら、その為に随分前からストックしていた新品のピボットシャフトなどの部品達を引っ張り出す事をウキウキしながら考えていたのです。

 それが、まさかまさかこんな事になろうとは……。ジョニーさんは目の前が真っ暗になっておりました。

 

「まあ、ジョニーそんなに落ち込むな……。ちゃんと手はあるから……」吉村さんが優しく声を掛けます。

 

「でも、カブ吉のスタッドボルトって一度修理してるし、またヘッド外さなきゃなんないじゃん……」

 

「ヘリサートすれば大丈夫だから心配するな。ただ、今うちにはM8のヘリサートキットはないから、ジョニー自分でネットで探して、値段はバラバラだけどM8のヘリサートキットとかリコイルキットっていうのが一杯あるから、ピッチ1.25のやつで、タップはパイロットタップじゃないやつを選んで買って持ってこい。止まり穴だからパイロットタップは使えないからな。安いやつで十分使えるって言ってたから、そんなんでいいだろう……、手伝ってやるから心配するな」吉村さんがいろいろと要点を教えてくれます。

 

その後、ジョニーさんと吉村さんはお店のパソコンで修理動画を確認したり、売っているキットを選んだりしながら、カブ吉くんのスタッドボルト修理の日程を調整します。

 そして、キットを頼んでから来るまでに時間も少し掛かるので、修理をするタイミングはお店の混まない週明け11日、月曜日の午前中に決定します。

 

 家に戻ったジョニーさんは、マフラーがいつでも外せるこのタイミングで、メインスタンドの分解メンテナンスを先にやってしまおうと考えて、それに使用する部品のチエックとその手順や作戦を考える事にします。

 カブ吉くんのサイドスタンドは現在強化型のものが装着されていますが、その取付は純正サイドスタンドが固定されていたステップバーの穴と、スイングアームピボットボルトを利用した2箇所締めとなっています。

 通常はこのスイングアームピボットボルトは、車体左側からマフラーが固定されている右側に向けて差し込まれているのですが、カブ吉くん場合、ドライブスプロケットカバーを外したりするメンテナンス頻度が割と多いので、このスイングアームピボットボルトがマフラー側からの逆差しに変更されています。

 理由は、強化サイドスタンドの本体自体がドライブスプロケットカバーを上から押さえつけるような形で装着されているので、このカバーを外す為には強化サイドスタンドのスイングアームピボットボルトの取り付け部分を一度外してやり、サイドスタンド自体を少しずらしてやらないとドライブスプロケットカバーが外せないというのがその理由となります。

 しかし、11日のスタッドボルト修理の作業では最初にマフラーを外さなければならないので、ここでスイングアームピボットボルトが逆差しになっていたりすると全部抜かなければならず、いちいち手間が増えるだけです。

 そのような訳から、スイングアームピボットボルトは一度正規の車体左側方向からの差し込みに戻し、サイドスタンドもメインスタンド分解メンテナンスをする時には車体を支えなければならないので、このタイミングで一度純正に戻す事にします。

 

 8日の日は、カブ吉くんの日常メンテナンスを実施しながら、ジョニーさんは作戦通りにスイングアームピボットボルトの差し込む向きを変更し、サイドスタンドも強化型から純正に交換を済ませておきます。

 

 翌日の9日、朝食を済ませたジョニーさんは整備用のツナギに着替えて、カブ吉くんのメインスタンド分解メンテナンスを始めます。

 最初の方にも書きましたが、カブ吉くんのメインスタンド分解メンテナンスがきちんと行われるのは約11年ぶりの事となります。その時はスタッドボルト修理と一緒に吉村さんがやってくれていたので、ジョニーさん自身がこのメンテナンスを実施するのは初めての事です。その時の距離は12万9千キロだったので、実に23万6千キロぶりの分解メンテナンスとなります。

 まず最初にエキゾーストのフランジナットを外して後、スイングアームピボットボルトのナットも緩めて外し、マフラーを知恵の輪のようにして引き抜いていきます。

 次に、リヤブレーキ廻りのロッドの接続を外し、ブレーキライトスイッチスプリング、メインスタンドリターンスプリング、スプリングフックという順番で部品を取り外していきます。これでようやくピボットシャフトが抜けるようになりました。

 そして、ピボットシャフトを抜き取り、ブレーキペダル、ブレーキロッドAssy、メインスタンドを取り外していきます。

 抜き取られたピボットシャフトは錆だらけではありましたが、危惧していたスタンド自体の動きを悪くするような段差などは付いておらず、思っていたよりも状態は悪くありません。ジョニーさんはシャフトの錆を丁寧にヤスリを使って落した後、オイルの滲みこんだウエスを使って磨き上げ、全体にグリスを塗ってピボットシャフトを再使用する事にします。

 恐らく、今まで一度も分解整備がされていなかったとしたら、こんなに良い状態ではなかったと思われるので、途中で一度手を入れてくれた吉村さんに感謝です。

 ジョニーさんは次に、このピボットシャフトが入るフレーム側の穴の中の錆落しを始めます。CRCを吹いた後、ウエスを穴の中に突っ込み、何度も何度も丁寧に錆を落としていきます。そして、最後にこちらもしっかりグリスを塗布しておきます。それ以外にも、ブレーキペダルやブレーキロッド等も綺麗に磨き上げます。

 一連の作業を終えたジョニーさんは、カブ吉くんの脇にちょこんと座り、綺麗になった部品たちを見つめて実にいい顔をしています。こういう時間がジョニーさんにとって至福の時だというのがよく分かります。

 一息入れたジョニーさんは、メインスタンド、ブレーキ関係、マフラーという具合に一気に組み上げていきます。

 分解メンテナンスが実施されたメインスタンドは、今までになかったくらいの軽快な動きをしています。スタンドを解除した時はもちろんですが、スタンドを掛ける時も今までの半分くらいの力で掛けられるようになりました。これには、ジョニーさんもびっくりです。カブ吉くんに付いている部品たちが正常に動くと言う事は、こういう事なんだというのを思い知らされる瞬間です。

 

 週が明けた11日、ジョニーさんとカブ吉くんは朝から吉村さんのお店に登場です。

 

「吉村さん、とにかくメインスタンド凄いから、ちょっとやってみて!」

 

「なんだ、キットが来るまで時間があったからやったのか」

 

吉村さんはそう言いながら、カブ吉くんのメインスタンドを掛けたり降ろしたりしてみます。

 

「こりゃあ凄いな。ここまで動きが良くなるとはな……。ジョニー、いい仕事したな。これで今日スタッドボルトの修理が終われば、またカブ吉は完璧だな」

 

ジョニーさんがカブ吉くんのマフラーを外して、スタッドボルト修理(ヘリサート加工)が開始されます。

 最初にお断りをしておきますが、今回の修理のやり方はあまり参考にならないと思います。何故なら、シリンダーヘッドを取り外さない状態で、そのまま修理してしまおうというジョニーさんと吉村さんの考えによる修理だからです。

 普通の人がこの修理をオートバイ屋さんに頼んだら、お店の人はシリンダーヘッドを脱着して修理する事を前提に修理金額を提示すると思います。通常そのようにしなければ、修理への保証が持てないからです。この修理のスタートは、ドリルでスタッドボルトが入る穴にタップ下穴を開ける事から始まりますが、それがもし真っ直ぐに開かなければこの修理は失敗の可能性が一気に高まってしまいます。お店の人はそんなリスクは選択しないのが普通です。

 ですから、今回のスタッドボルト修理は、主の整備士はジョニーさん、副が吉村さんという体制となります。全ての作業責任はジョニーさんが取るのです。

 バイクリフトに車体後部をがっちりとベルトで締め上げられて、車体前部が浮いた状態で固定されているカブ吉くんの修理が始まります。

 電動ドリルにヘリサートキットに入っている8.3mmのドリル刃をセットして下穴を開けていきます。先ほども書きましたが、この作業は修理の良否を決める大事なポイントとなります。一応、吉村さんがドリルを持ってはいますが、スタッドボルトの下穴の角度を確認して最終的に判断するのはジョニーさんの役目です。

 ドリルの角度を決めた後は、ドリルがぶれないように二人で慎重に押さえながら下穴を開けていきます。

 

「うまいね~、完璧に垂直に入ってるね~」ジョニーさんが呟きます。

 

その後も、タップ立て、ヘリサート挿入、タング折り、と修理は順調に進み、大体一時間弱の作業時間で終了となりました。

 

 エキゾースト部分がしっかり固定されたカブ吉くんを見て、ジョニーさんの顔にも安堵の色が浮かんでいます。

 

 ここの所、4月のフロントフォークのオイルシール交換に続き、5月はスタッドボルト修理という具合に、長く走っている事による必然的なトラブルが発生しているような気がいたします。当然、耐久チャレンジとしては、そういうものを全て受け入れながら走り続けるというのが、基本的な考え方です。

 

 ジョニーさんは、復調したカブ吉くんと5月後半に久しぶりに宿泊ツーリングに出る計画を立てていました。しかし、ここで更に思わぬ事態が起こります。

 なんと、エンジンオイルがないのです。吉村さんにこの事を聞いてみると、『随分前から発注は掛けているけど、メーカーからは納期は未定の返事しか来ない』という状況だそうです。

 ロングツーリングに出掛けても、途中でエンジンオイルの交換が出来ないのは考えものです。こんな状況では、たとえその店にオイルがあったにしても、それを一見のツーリンング客に出してくれるかどうかは分かりません。

 

「まったく、50年以上オートバイに乗ってるけど、オイル交換が出来ないなんて初めてだな……」

 

ジョニーさんはカブ吉くんのシートに手を置きながら、ボソッと呟きます。

                                  

                                    管理人

 

2026年5月末日現在 全走行距離 366,719km

(5月走行距離 2,281km 月間平均燃費 62.70km/ℓ )

月まであと 17,681km

 

2026年4月 カブ吉くん 近況報告

【 フロントフォーク オイルシール交換 】

 

 皆さんこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 3月はアルバイトで忙しかったジョニーさんですが、4月に入るとそのアルバイトも一気になくなり、ただの暇そうなおじさんに戻っております。

 しかし、先月の報告の中でもお伝えしましたが、カブ吉くんのフロントフォークからとうとうオイル漏れが始まってしまった事もあるので、ジョニーさんはその整備計画の立案の為(暇なので単純に油を売りに来ているだけという話しもあります……)に月初めから吉村さんのお店に押し掛けています。

 

「ジョニー、結局のところ先月は何日働いたんだっけ?」

 

「そんなに大した事ないよ、確か13日だったかな? そんなにキツイ仕事もなかったしね……」

 

「それでも13日働いてりゃ、ひと月の半分近くは働いてたって事だからな~。身体はなんともなかったのか?」

 

「ううん、全然大丈夫だよ。やっぱり、ずうっとやってた慣れた仕事っていうのが大きいんだろうね……。それよりさ~、吉村さんどうしちゃったのよ日本代表は~」

 

「おおう、本当だな~。イングランドにとうとう勝っちまったなあ。それも、建て替えられたとは言え、一応ウェンブリーでだからなあ。これも、大したもんだ」

 

「本当だよね……。日本がアウェーでイングランドに勝つこと自体がなかなか想像出来ないのに、それもウェンブリーでだからね……。それにしても、三苫がボール奪取してからが速かったもんな~。鎌田から上田、そして三苫。全部ワンタッチで繋いだあと左サイドの中村に展開して、前を走る上田の後ろから三苫が中村のリターンを冷静にインサイドでゴール右隅にキッチリと流し込んでるもんね。見ててびっくりだよね、本当に強くなった……」

 

「ジョニーが大好きだった72年の西ドイツが、昔のウェンブリーでイングランドを3対1(1972年欧州選手権準々決勝第1戦)で破った時の衝撃を思い出すだろう」

 

「そうだね……。もう50年以上も前だけど、あの時の西ドイツは本当に凄かったからね~。爆撃機ゲルト・ミューラー、無から有を創り出す男ギュンター・ネッツァー、皇帝フランツ・ベッケンバウアーの3人がど真ん中に並んでるところに、それにグラボウスキー、ハインケス、ヴィンマー、ブライトナー、シュバルツェンベックあたりが絡んで来るんだからなあ……、本当にあの破壊力は凄まじかったな……」

 

すみません……。サッカーの話ししかしていないジョニーさんと吉村さんですが、一頻りサッカーの話しをした後は、ちゃんとカブ吉くんの整備に関する打ち合わせも、少しはしていますのでご安心下さい。(しかし、このいい加減さが後でちょっとした問題を引き起こします)

 

 4月10日金曜日、この日はお昼前後から雨模様の予報が出ていたので、ジョニーさんとカブ吉くんは朝一番で吉村さんのお店に登場です。

 今日の整備予定は、フロントフォークのオイルシール交換、前後タイヤ交換、リヤブレーキシュー交換という項目となります。

 まずは、一番時間の掛るフロントフォークのオイルシールの交換から開始します。

最初に、バイクリフトの上に載せられたカブ吉くんの前カゴを、フロントキャリアごと外していきます。前カゴが外れたら、次は左右のフォークカバーを外します。

 

「ありゃ! ジョニー、右側のフォークもしっかり漏ってるじゃねえか」

吉村さんは、外した右フォークカバーを手に持ちながら、すかさずジョニーさんに突っ込みを入れます。

 

「あっ!? 本当だ……。俺、左側しか見てなかったんだよな……。でも、いいじゃん、部品はちゃんと2本分あって、初めっから両方交換する予定だったんだからさ……」

このおじさんは、今日もいつもと変わらず能天気です。

 

 ジョニーさんのフォローをする訳ではありませんが、JA07型からはフロントサスペンションの形式がテレスコピックタイプに変更になっており、フォークチューブの部分は先ほど吉村さんが持っていたフォークカバーが付いていて非常に見ずらくなっています。ジョニーさんは、このフロントフォークからのオイル漏れを日常メンテナンスの時に発見したのですが、それは左フロントフォークのボトムケースにオイルが付着して汚れていたので分かったと言っていました。しかし、右側のボトムケースは全くそういう状況にはなっていなかったそうです。恐らく、まだ少量の漏れで済んでいて、ボトムケースの方まで流れていっていなかったのかもしれません。

 まあ、この整備に関しては、2本のフロントフォークで同じ距離を走って来ている訳ですから、漏った方だけのオイルシールを交換するという事はありません。当然、2本分交換する予定で部品は2セット頼んであるので、ジョニーさんの言っている通りと言えば、その通りなのですが……。でも、『ジョニーさん、もう少しちゃんと見ようね』っていう話しなんだと思います。

 

 その後、ボトムケース底部のソケットボルトをゆるめるのはいつものお約束で若干の時間を要しましたが、その他の部分のバラシは順調に進み、いま目の前にはカブ吉くんのフロントフォークが初めてバラバラになって、部品単体として整然と並んでいます。

 この中には初めてお目に掛る部品たちもいます。ご紹介しましょう、フォークピストンとリバウンドスプリングです。彼らの仕事は、概ね1年間70ccという少量のクッションオイルにまみれながら、真っ暗闇の中でひたすらカブ吉くんのフロントサスペンションに減衰力を発生させる仕事をしています。36万キロの長きに渡り仕事を続けて来てくれていますが、お会いした限りでは彼らに衰え(摩耗・損傷・変形・へたり)は感じられません。オイルシール交換後は、所定のポジションにお戻り頂き、引き続き減衰力発生作業をお願いしたいと思います。

 もう御一方(おひとかた)いらっしゃいます。この方のダストシールから上の部分とはほぼ毎年お会いしているのですが、その下の隠された部分とお会いするのは今回が初めてとなります。なんとなくエッチな感じ(そんな事は全くありません!)がしますが、こちらも36万キロに渡りボトムケースの中に出たり入ったりを繰り返してくれていたフォークチューブです。

 さすがにこちらは、オイルシールとの摺動面のメッキ部分に若干の変色が見られますが、吉村さんは『損傷も変形もないし、メッキもこのぐらいなら問題はない』という事で、フォークチューブも継続使用する事になりました。

 古いオイルシールが専用工具によってボトムケースから外され、パーツクリーナーでボトムケースを洗浄した後、新しいオイルシールがストッパリングが入る溝が見える位置まで打ち込まれていきます。そこにストッパリングをはめ、あとは分解した手順の逆の順序で組み立てていきます。

 組み上がったフロントフォークを2~3回体重を掛けて伸縮させ、ジョニーさんはニコニコ顔です。こんな所にも、その人の人柄が滲み出て来ます。このおじさんは、本当にオートバイが大好きなのです。

 まあ、ニコニコ顔のオートバイ大好きおじさんの話しは暫く置いておくとして、それにしてもフロントフォークのオイルシールが36万キロも持つなんていう事は、どう考えても通常ではあり得ません。ジョニーさんと吉村さんも同様の感想を持っているようですが、管理人もこのカブ吉くんのフロントサシペンションの寿命の長さには只々驚くばかりです。

 では、何故ここまでオイルシールが持ったのか? 理由を考えてみると、二つの事が思い当たります。

 一つ目は、定期的にフロントフォークのオイル交換がされていた事です。カブ吉くんの場合は、1年に一回必ずタイヤ交換が実施されますが、そのタイミングでフロントフォークのオイル交換も同時に実施されています。こうやって定期的にクッションオイルが交換される事によって、オイル自体の減衰性能も維持されますし、部品の清浄性が保たれたというのはあるかも知れません。実際に、交換された時に排出されたクッションオイルを見てみると、大体いつもまだ薄っすらと新油の時のイチゴ色が残っている状態で、イヤな臭いなどもありません。カブ吉くんのオイルシールが長く持ったのは、こういう状態がずっと維持されていたという事が大きく影響をしていたと考えられます。

 そして、二つ目の理由は、カブ吉くんが新車の時から現在まで、約16年間ほぼ毎日乗り続けられていたという事ではないでしょうか。特にゴム製のシール類は、動く事で柔軟性を保ち、固着等を防いでいます。たまに吉村さんがお客さんに『どんなメンテナンスをすればいいのか教えて欲しい』と聞かれて、『毎日乗ること! それが一番のメンテナンス』なんて軽く言っていますが、でも実は、この『毎日乗る』という事こそが、本当は一番難しい事のような気がいたします。これは、乗り役のジョニーさんが『素晴らしい仕事をしてくれた』と、言ってもいいと思います。

 

 さあ、次は前後のタイヤ交換のお話しです。今年も昨年に続き、今までとはちょっと違う出来事が起こりました。

 昨年は、JA44型の後輪ホイールを使用する事によるリム幅の変更(1.4Jから1.6Jに変更)がありましたが、今年は16年ぶりに前輪に井上ゴム工業(皆さんよくご存じのIRCです)製のタイヤを履くことになりました。

 カブ吉くんが新車で履いていたタイヤは、同社製のNF3(2.25ー17)というものでしたが、最初の前輪タイヤ交換の時に吉村さんがサイズを誤発注――今となっては笑い話です――をしたお陰で、その時から現在までずっと2.50-17のダンロップD107Fという1サイズアップのタイヤが装着されていました。

 その1サイズアップのタイヤキャパシティーの向上が、ジョニーさんのライディングスタイルに合っていた事や、路面からの衝撃を格段に弱める効果があるので、今回もサイズを合わせたNF6(2.50-17)というタイヤを装着する事になりました。

 また、どうしてそのような事になったのかというと、その理由は実に単純明快であります。それは、今までずっと装着していたダンロップのD107Fが昨年末で廃番になってしまったからです。

 この件については、ジョニーさんも吉村さんから年末に聞いていたので、驚きは特段ありませんでしたが、やっぱりなんだかモヤモヤとした気持ちが残っているようです。

 

「ダンロップは、もうスーパーカブなんかどうでもいいってことなんだろうけどさ……。それにしたってっていう話しだよね……。まだ90とか乗ってる人だって、たくさんいるんだからさ……」

 

 ちなみに、井上ゴム工業(IRC)は創業が1926年(大正15年)の老舗企業で、今年がちょうど創業100周年にあたります。

 1958年にスーパーカブをこの世に登場させる際に、ホンダが17インチのタイヤを造ってくれる会社を探していた時、最初に手を挙げてくれた会社でもあります。

 その当時(昭和30年頃)は、主要道路でもまだまだ未舗装や悪路の道が多かった為、いろいろな人々が乗る事を想定しているスーパーカブを開発するにあたり、安全でより良い操縦安定性を確保するためには、17インチのタイヤを使用する事は設計段階からの必須条件だったそうです。

 ホンダはいろいろなメーカーにタイヤ製造の打診をしたそうですが、現在ではF1などにもタイヤを供給する某大手メーカーには、『そんな売れるかどうかも分からないバイクのタイヤを造るために、ラインを増やす事は出来ない』と、けんもほろろに断られたというエピソードも残っています。

 会社と会社の繋がりというのは、本当に面白いものです。その時手を挙げてくれた井上ゴム工業製のタイヤは、現在でも数多くのスーパーカブ達の純正タイヤとなって街を走り続けているのですから……。

 

 さて、前後タイヤの組み換えも順調に終わり、吉村さんはリヤのブレーキパネルを分解してブレーキカムを綺麗に拭いて、それにグリスを塗布しブレーキパネルに戻しています。ジョニーさんはそれを見ながら、いつもとちょっと違う違和感を覚え、吉村さんに声を掛けます。

 

「吉村さん、新しいブレーキシューは?」

 

吉村さんが整備をしている時は、新しく交換する部品は必ず手元に置いて整備をするのですが、この時は新品のブレーキシューがどこにも見当たらなかったのです。

 

「お前、ブレーキシューの事なんか何にも言わなかったじゃないか」

 

やってしまいました……。確かに事前の打ち合わせの時には、サッカーの話しばかりしていて、ブレーキシューの事など一切話していません。

いつもの事だからという慢心が、こういう事態を引き起こします。

 しょうがないので、今回はあと半年くらいは使えるだろうと思われるブレーキシューをもう一度組付けて、整備終了となりました。

 まあ、いよいよブレーキシューの残量が無くなってきたら、その時点で発注を掛け、部品が来たらジョニーさんが自分で交換すればいいだけの話しなので、なにも問題はないのですが……。

 皆さんは、こんなことが起こらぬように、充分に注意をして部品の発注をして下さい。そうしないと、何度も何度も工賃を支払う事になってしまいますので……。 

 

 ジョニーさんも自分の発注忘れに対して少しは反省したのか分かりませんが、その整備以降は、足廻りを95パーセント(リヤ・ブーキシューの分だけマイナスしました)リフレッシュしたカブ吉くんに跨り、タイヤの慣らしも兼ねて忍野にうどんと蕎麦の買い出しに行ったり、いつもの夜間パトロールに行ったりしながら、今年初めて2000kmを超える距離を走ってくれました。そして、カブ吉くんは相変わらず好調をキープしています。

 

 さあ、来月はいったいどんな走りを披露してくれるのでしょうか? ロングツーリングはあるのでしょうか? お楽しみにお待ちください。

 

 今月も長々とお付き合い頂きありがとうございました。

また来月お会いしましょう。

                                   管理人

 

2026年4月末日現在 全走行距離 364,438km

(4月走行距離 2,324km 月間平均燃費 61.25km/ℓ )

月まであと 19,962km