スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

カブ吉くん 月まで走れ!

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 20万キロ通過! 次なる目標は30万キロ!

★2022年9月19日 30万キロを通過しました。

 

 このブログは、伝説にもなっている『スーパーカブの耐久性』に関して、「でも、本当のところはどうなんだろう?」という素朴な疑問に答えるべく、実際に検証チャレンジをしているものです。

 

 本来ならば、『スーパーカブ』の原点である50ccや70ccモデルを使う事が正統なのかもしれませんが、今回このチャレンジに使用しているマシンは、2007年で製造が中止されてしまった『スーパーカブ90』の後継モデルである、2010年式JA07型スーパーカブ110です。

 

 このマシンは純日本製だった今までの『スーパーカブ』とは違って、タイで製造されたエンジン部品等を使って、ホンダ熊本工場で組み上げられたものです。

 外装も樹脂部品が多用されており、昔からスーパーカブに乗り続けている人々からは、「今度のカブは、一体どのくらい走れるんだろう? 外装部品の寿命は『鉄カブ』と比べたら、きっと短いんだろうな~」などという辛口の意見も数多く聞かれ、その車体寿命に関しては販売当初からかなり心配をされていた車種でございます。

 しかし、そのJA07型スーパーカブは、走り始めてから4年目の2014年8月に10万キロを走破。そして約8年経過した2018年6月には、大きく調子を落とすこともなく無事20万キロを通過致しました。

  当然、それまでにエンジンのオーバーホール等の大きな整備(※1)は一切なく、クラッチ関係についても、現在まで調整は一度も行われておりません。

 エンジンオイルは、推奨純正オイルのウルトラG1(鉱物油10W-30)及びウルトラG2(部分化学合成油10W-40)の二種類のみを使用し、季節及び使用状況等に応じて使い分けています。

――2019年3月以降は、エンジンにオイル下がりの症状が出て来た為、ウルトラG2(部分化学合成油10W-40)のみを使用しています――

 

 オイル交換に関しては、メーカー指示は3,000キロ毎ですが、乗り手が比較的高回転を多用する使用状況を考慮して、これだけは2,000キロ毎で実施しています。

 ドライブチェーン及び前後スプロケットも、定期的な給油は行っていますが、新車装着の物をそのまま使用しております。

――2020年2月に実施した『24万キロ整備』にて、ドライブチェーン及び前後スプロケットが初めての交換となりました――

 

 それ以外の交換部品類も、原則的にはメーカー等の指示に従って交換するような使用方法で現在に至っています。

 

 2014年に二輪自動車では初となる立体商標に登録され、2017年には世界累計生産台数が1億台を突破。そして2018年はスーパーカブ発売から60周年となり、この『スーパーカブ』という世界中で走り続けるマシンに、今後も更に多くの方々が興味をお持ちになるのではないかと思います。

 現在スーパーカブに乗られている方々はもちろんの事、これから『ちょっと乗ってみようかな』と考えている方々も含めて、少しでも皆様のお役に立てればと考えてこのブログを立ち上げました。

 しかし『耐久チャレンジ』や『月まで走れ!』などというタイトルを付けてブログを始めたものの、5万キロくらいで壊れてしまってはどうしようもありません。

 最低でも月まで半分強の距離である20万キロを越える事が出来たらという理由から、このタイミングでのブログ開設となりました。

 

 このブログの次の当面の目標は30万キロとなりますが、サブタイトルにもある通り、地球から月までの距離である38万4千4百キロを一応の最終目標に設定してチャレンジを続けて参ります。

 今後はJA07型スーパーカブの使用状況が分かる走行データやメンテナンス記事、近況報告やセミドキュメンタリー形式の小説などを随時掲載していく予定です。

  そして、その小説の中に登場する『カブ吉くん』の描写部分は、ノンフィクションとなります。実際に、『カブ吉くん』がどのように乗られてきたのかが、分かるように書いています。

 それらをお読み頂き、少しでも皆様のお役に立てるところがあるならば、とても嬉しく思います。

 また、『カブ吉くん』の走行シーンや走行データ以外の部分については、『読み物』としても楽しんで頂けたらという思いから、若干の脚色が含まれている事をご了承いただければと思います。

 

それでは、どうぞ宜しくお願い致します。                    

                                    

                                   管理人

 

(※1)

2019年3月から発生していたマフラーからの排煙と、エンジンオイルの消費量増加に対する根本的なメンテナンスとして、2022年1月(その時点での走行距離28万4千キロ)に初めてシリンダー、ピストン、ピストンリング等が交換されました。

 

 

2024年3月 カブ吉くん 近況報告

 皆さんこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 令和6年1月1日16時10分に発生した石川県能登地方を震源とする地震による、今月の15日時点での石川県内の被害状況は、亡くなった人の数は241人(災害関連死と発表のあった15人を含みます)で、安否不明な人数が輪島市でまだ5人いらっしゃるそうです。

 避難状況については、『1次避難所』に避難されている人が4684人。旅館やホテルなどの『2次避難所』に避難されている人が4019人。『2次避難所』への受け入れが決まるまで滞在する『1.5次避難所』には116人が避難されていて、合計で8819人の方々が避難生活を送られているようです。

 ライフライン関係では、石川県内の停電はほぼ解消していますが、断水は依然として続いており、珠洲市でほぼ全域の4540戸、輪島市では4340戸、それ以外に七尾市能登町内灘町を含めた1万3670戸で現在も断水が続いています。

 この能登半島地域での断水復旧の遅れは、過去の大きな地震ではあまり見られなかった街中での大きな地盤変形が影響していると考えられています。当然被害状況としては、管路破損、配水管破損、配水池破損が主な原因でありますが、その中でも輪島市では『非耐震管』と言われる配水管が5割を占めており、そのほとんどが4mごとの管と管のつなぎ目が抜けたり破断している状態だそうです。一方で、地震に強いと言われている『耐震管』は輪島市で3割ほど使われていたようですが、市の中心部の河井町ではその『耐震管』の破断が2ヶ所ほど確認されているそうです。それにしても、5割の『非耐震管』のほとんどが被害を受けている状況と比較すれば、『耐震管』の優位性は明らかであるので、一刻も早く『耐震管』への交換も含めた復旧工事が進むことを願っております。

 阪神淡路大震災でも壊れなかった事で注目され、その後全国に広がった経緯を持つこの『耐震管』ではありますが、冒頭にも記載した通り今回の能登半島地震のように大きな地盤変形を伴う地震では壊れてしまう事があるというのが分かりました。

 自然の力には、やはり人間が敵う事はないのだと思います。一つひとつの失敗を謙虚に受け止めながら、少しずつ改善を繰り返して行くしかありません。それが一番大切な事だと信じております。

 令和6年能登半島地震において被災された方々の生活が、一日でも早く改善・復旧される事を微力ではありますが、スーパーカブ耐久チャレンジ関係者一同祈っております。

 

 

 さあ、それではカブ吉くんの3月近況報告に移らせて頂きます。

 

 2024年の3月を、二人は何だかとっても落ち着かない様子で過ごしているようでございます。

 それはそうかもしれません……。現役生活を離れたジョニーさんにとっては、実に数十年ぶりの繁忙期のない年度末(3月)を迎えているという事になる訳ですから……。

 昨年までは、この3月というのはジョニーさんの業界では一年の仕事の集大成みたいな異様な雰囲気の中、とにかくこのひと月間は、ただがむしゃらにお客さんの会社や現場を動き回っているという事が、ごくごく当たり前の仕事のやり方でした。

 たくさんのお客さんの仕事が重なってくると、移動範囲も東京、千葉、埼玉、神奈川と広範囲になる場合も多く、そのジョニーさんの移動を2011年から13年間支えてきてくれたのがカブ吉くんなのです。

 月間走行距離は、平均すると大体2千キロ前後に収まるので、それほど多くはならないのですが、とにかく煩雑にちょこまかちょこまかと移動をしなければならない事も多く、最後の方はそれがジョニーさんの身体にずしりとダメージを与えていたようでございます。

 もっとも、カブ吉くんとすれば、2022年1月のシリンダー・ピストン関係の交換以降は、『もっともっと走らせろ!』状態の絶好調なので何も問題はないのですが、概ねジョニーさんが先に音を上げてしまうというのが、ほぼ例年のお約束でした。

 しかし、今年は何だか様子が違いました。ジョニーさんは結局3月中に11日間アルバイトをしていたのですが、作業時間も短く、現場もほとんど自宅から近いところばかりだったので、あまり肉体的に疲労を感じていないようです。本人もこの時期に身体が疲れていない事に対して、どことなく不思議な感覚があるようで何だか逆にソワソワしていたりします。

 カブ吉くんは、最下段に表記のとおり、1309kmしか走れなかった事に対して大いに不満顔であります。燃費に関しても、58.31km/ℓ という3月平均燃費としてもパッとしない数値となってしまったので、こちらもやっぱりモヤモヤしている状態のようでございます。

 整備状況としても、2月にエンジンオイルの交換をしなかった分、今月にそれが入って来たくらいで、ドライブチェーンへの給油等を実施する日常点検も、全体の走行距離が少ないので、隔週の二回しか実施をいたしませんでした。

 細かい所では、フロントブレーキ調整が7千キロぶりに行われたようですが、ウエアインジケータを見る限るまだまだブレーキシューの残量はありそうです。

 カブ吉くんのフロントブレーキシューは、2017年の3月に16万7千キロで第一回目の交換が行われていますので、距離的に考えるともうそろそろな感じもしてきているのですが、ウエアインジケータの針先はまだまだ余裕のところを示しています。

 ジョニーさんが、自身の長年の経験から、『ノン・フロントブレーキライディング走法』などという怪しいテクニックを知らない間に習得していたりしなければいいのですが、何だかとても気になります……。

 でも、皆さんはしっかりとフロントブレーキを効かせて、メリハリのある安全なライディングをお願いいたしますね。

 それから、最後になりますがあともう一つ気になった事があったので、ご報告しておきます。

 カブ吉くんのエアクリーナーカバーを固定している5本のビスの内、下側を固定している3本のビスの真ん中のビスの辺りが、少し前からオイルが滲んで汚れている状態だったそうです。

 3月中旬に実施した日常点検の中でジョニーさんが分解確認をしたところ、本来ならエアクリーナーカバーに付いているシールがちゃんとと機能して、オイルが滲んで来たりしないようになっているはずなのですが、カブ吉くんの場合はシール自体が硬化してしまっていて役目を果たしていなかったようです。形状はやや違いますが、このシールはエアクリーナケース側にも付いていて、そちらもジョニーさんが確認したところやはり同様に硬化しておりダメだったようです。

 二つのシールは既に発注が掛けられているので、そのうちタイミングをみて交換となるようですが、カブ吉くんの車齢も14年を超えて来ているせいか、ゴム部品やシール関係の部品にいろいろと問題が出始めているようでございます。

 4月以降は、いよいよカブ吉くんも長い距離を走る機会が増えて来そうな気配もありますので、そういう部品類にも目を細かく配りながら、様子をみて行きたいと思います。

 

 それでは皆さん、桜舞う中のライディングを心からお楽しみ下さいませ。

 また来月お会いしましょう。

                                    管理人

 

2024年3月末日現在 全走行距離 326,453km

(3月走行距離 1,309km 月間平均燃費 58.31km/ℓ )

月まであと 57,947km

カブ吉くん メンテナンス(駆動系編)その二

(その二)

 

トランスミッション※記事中ではミッションと表記させて頂きます。

 カブ吉くんのミッション形式は、『スーパーカブ』の大きな特徴である走行中は前進4段リターン式で、停止中は4速から直接ニュートラルにチェンジ出来る4段ロータリー式となるミッションが搭載されています。

 当然この特徴的なミッション形式は、カブ吉くん(スーパーカブ)の走り方にも大きく反映をされます。特に都区内や市街地を走行している時には乗り役のジョニーさんは、減速の為のシフトダウンを基本的にしません。シフトダウンをする時は、低い速度から再加速をしなければならない時だけになります。

 街の中を交通の流れに乗って普通に走行をしながら信号で停車をする際は、ジョニーさんは4速にままブレーキだけで停車します。そして、停車後にチェンジペダルを前に一つ踏み込んでニュートラルの状態で信号待ちをしています。

 ジョニーさんに言わせると、これは『現在のスーパーカブで走る大きな醍醐味である』などという、大袈裟な表現になってしまうほどセンセーショナルな出来事になってしまいます。

 ジョニーさんがカブ吉くんに乗る前にスーパーカブに日常的に乗っていたのは、実に昭和52年(1977年)までさかのぼります。

 当時のジョニーさんは、普通免許(第一種自動車免許)の教習所費用を捻出するために、八幡山京王線の駅。甲州街道環八通りの交差点そばにあります)にあったお蕎麦屋さんで出前持ちのアルバイトをしておりました。当然そこには、出前機の付いたスーパーカブC50があります(当時そのお店には3台のスーパーカブがあったそうです)。そして、そのうちの一台がジョニーさんの相棒となります。さすがに五十年近く前の話しなので、ジョニーさんの相棒となったC50の年式は定かではありませんが、ジョニーさんの話しを聞くと、『メインスイッチはハンドル下の左側にあって、ヘッドライトの下に四角いポジションランプがあった』という証言が得られたので、恐らく『かもめハンドル』の愛称で呼ばれていた1971年製以降のモデルではないかと思われます。

 この通称『行灯カブ』と呼ばれていたモデルのミッションは、現在のカブ吉くんのミッション形式と異なる『自動遠心式3段リターン』となります。そして、シフトパターンもシーソー型のチェンジペダルの後ろ側を踏んで1速、前に2回踏んで2速、もう1回前に踏んで3速という、1⇔N⇔2⇔3のリターン式となります。

 このモデルでは、現在のように停止時ロータリー式がまだ採用されていないので、3速から前にチェンジペダルを踏んでも1速にはチェンジ出来ません。1978年11月のモデルチェンジで、現在と同じN⇔1⇔2⇔3のボトムニュートラルのシフトパターンに変更されますが、まだこの時点でもリターン式です。停止時に3速からニュートラルにチェンジ出来るロータリー式が採用されるのは、1981年2月以降のモデルからになります。

 話しが長くなりそうなのでこの辺りでやめておきますが、その昔は結構めんどくさい変速操作をしていた事が分かります。そして、その操作方法も、頑丈そうなシフトペダルが付いていたせいなのか、後ろのペダルを蹴り込んで1速に入れたあとは、スロットルを大きく開けてギュイーンと引っ張り、ガチャガチャと大急ぎで前に2回踏み込んで再びギュイーンと引っ張るという感じで、皆さんかなり大胆に操作をしていたようです。

 しかし、そのような乗り方をしていても、ジョニーさんの周りで『カブのミッションが壊れた』とか『ギヤが変わらない』、『ギヤが抜ける』などというトラブルの話しはほとんど聞いた事がなかったそうです。おまけに、蕎麦屋の店主にオイル交換をしてくるように言われて、ガソリンスタンドで古いオイルを排出してみたら、たら~っとちょっとだけしか出て来ないという、とんでもなく過酷な使用状況にも関わらずなかなか壊れないのです。

 まあ、ジョニーさんの周りの話しといっても、八幡山のガード下の雀荘で一緒に麻雀をしている蕎麦屋の兄ちゃん、肉屋のおじちゃん、八百屋のじいさん、寿司屋のお兄さん(4名とも全てカブ乗りです!)のお話しなので、どこまで信憑性があるかと言われれば大変難しい問題がありますが……。

 

 話しがいつものようにだんだん脱線してきてしまったので、本題のメンテナンスの部分に戻します。

 いずれにしろ、スーパーカブのミッションはそれなりに頑丈に出来ていると思いますので、定期的なエンジンオイルの交換と適切な変速操作をしている限り、大きな問題は発生しないと考えられます。

 しかしながら、カブ吉くんと同じJA07型スーパーカブの『2速ギヤや4速ギヤが抜ける』というトラブルが、少なからず発生しているという事実もあったようです。このトラブルは、JA07型スーパーカブの初期型にみられた事象で、後期型(カブ吉くんもこの型です)ではあまり聞いた事がありません。メーカーもそのようなトラブルが発生した際に使用する対策部品を出していたりするのですが、この件に関してのリコール等の扱いはなく、修理の際は有償修理となるようです。

 非常にデリケートな問題でありますが、四輪車や二輪車のような工業製品では、マイナーチェンジのような形ではなく、製造途中で構成部品が変更になるという事は比較的よくある話なので、なんとも難しい問題であります。

 ちなみに、ミッションの話しではありませんが、JA07型のバルブスプリングは、初期型は吸排気バルブのスプリングはそれぞれ1本ずつですが、後期型(JA07Eー1008049~)のカブ吉くんではインナースプリングとアウタースプリングが組み合わさったダブルスプリングに吸気側も排気側も変更になっていたりします。しかし、そのバルブスプリングが変更(メーカー内では一部改良とも言われます)になった件は、公式にアナウンスされない事も多々あるようです。実際、ジョニーさんはカブ吉くんのバルブスプリングがダブルに変更になっている事は、サービスマニュアルを見るまで知りませんでした。

 高性能を謳い大きな魅力を持つ新型モデルですが、四輪車や二輪車は発売されてから暫くの間は小さなトラブルが続いたりするものです。その事をベテランのライダー諸氏はよく知っているので、よほどの理由がない限り『新型が出たからすぐに購入しよう』という事はないようです。

 JA07型スーパーカブ110の発売開始は2009年の6月ですが、ジョニーさんがカブ吉くんを乗り始めたのは2010年の7月です。やっぱり、ジョニーさんでも一年間は様子をみていたのです。

 決してメンテナンスの方法ではありませんが、日常的にメンテナンスが出来ない部品に関して安全マージンを見ておくという意味では、このマシンの購入時期の調整という方法も悪くないと思います。

 

 カブ吉くんのミッション関係に関してはほとんど手が掛からない状態ではありますが、シフトペダル廻りで部品の摩耗から新品部品に交換を実施したものが二つだけありますので報告しておきます。

 ひとつは、ギヤシフトペダルが取り付けてあるギヤシフトスピンドルオイルシールになります。2022年の1月にそこが摩耗してオイルが漏れてきました。その時点での走行距離は28万5千キロでした。オイルの漏れ方は、じわ~っと滲んで来るような感じで少量でもあったので、エンジンオイルの交換作業の際に同時交換しています。

 それからもう一つは、ギヤシフトペダルに切ってあるスプラインが摩耗して、ギヤシフトペダル自体がガタガタするようになってしまったので、新品ペダルに交換となっています。こちらの走行距離は、ちょうど29万キロを超えたあたりでした。クランクケースから飛び出しているギヤシフトスピンドル自体のスプラインには全く問題はありません。

 いづれにしても、これだけの時間と距離を使用出来れば、耐久性に全く問題はないと判断して良いと思います。

 しかし、ギヤシフトペダルについては、郵便局で機動車として使用されているスーパーカブ達では、2~3万キロくらしか持たないというコメントも過去に頂いておりますので、一般のカブ乗りの方で『とにかく寝る間を惜しんででもギヤチェンジをしていたい』というような方がおられるようでしたら、お気を付け頂ければと思います。

 

(その三)に続く

 

 

2024年2月 カブ吉くん 近況報告

 皆さんこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 2月11日(日)建国記念の日、ジョニーさんとカブ吉くんは大好きな三浦半島にツーリングに出掛けます。奥様から『美味しそうな白菜があったら買って来て』の指示のもとに、昨年10月のJA60用シート装着後のテスト以来、約四カ月ぶりの三浦半島になります。

 ルートに関してはいつもと同じルートで、環七の内回りを松原橋まで走り、そこからは第二京浜(国道1号線)を入江町の交差点まで下り込みます。そして、その交差点を左折すると第一京浜(国道15号線)にずどんと突き当りますので、そこを右折して更に第一京浜を下り込みます。

 東神奈川駅の東側からは、村雨橋を渡りコットンハーバー、赤レンガ倉庫、横浜スタジアムの脇を抜けて市大病院の先から国道16号線に入って行くというルートになります。

 三連休の真ん中の日曜日でもあり、交通量もやや多めの感じですが、ここまではそれほどの混雑もなく淡々と進んで行きます。

 

 カブ吉くんの走りはいたって快調です。1月中旬に、騒音低減の為に貼り付けてあるゴムがボロボロになってしまっていたドライブスプロケットの交換も終わっていますし、下旬にはエンジンオイルの交換も済んでいます。ドライブチェーンにもしっかりと給油がされた状態で出て来ていますので、実に静かで軽やかな走りになっています。

 二人はいつもより交通量の多い16号線を、やや遅いペースで更に進んで行きます。まあペースは少し遅いにしろ、連休の中日でもあるし、ほぼほぼ順調かと思いきや、何やらもじもじしながら無言でライディングしているおじさんが約一名いる事に気が付きます。

 どうやらジョニーさんは、トイレに行きたくなっているようです。暖かい時期だと、何も問題なくいつもの休憩場所である国道16号沿いの横須賀市役所前の公園トイレまで大丈夫なジョニーさんなのですが、やはり例年より暖かいとは言っても冬のライディングに変わりはありません。それに、今日は今ひとつ交通の流れが悪いというのもじわりじわりと効いているようであります。

 そうこうしているうちに、京急田浦を過ぎたあたりから本格的な渋滞が始まりました。いつものジョニーさんですと、遊びで走っている時はほぼすり抜けをする事はないのですが、今日はどうやらいつもと違うようです。慎重に渋滞中の四輪車の左側の隙間にカブ吉くんを潜り込ませて行きます。

 しかし、そのすり抜け走りは割り合いあっけなく終わりを告げます。逸見駅入口の交差点を過ぎたところで、白いヘルメットに濃い水色のライディングウェアに身を包んだカッコイイ重量車乗りに追いついてしまったのです。

 ジョニーさんは、このカッコイイ重量車乗りと一緒に走るのがあまり好きではありません(うそです)。突然ではありますが、ジョニーさんは横須賀隧道の手前をいきなり左折します。この道はすぐに踏切で車両通行止めになってしまうのですが、降車して押して歩けばそのまま踏切を渡ってJR横須賀駅の駅前ロータリーに入れます。ジョニーさんはカブ吉くんを押しながら、改札前を横切ってヴェルニー記念館脇の公衆トイレに直行します。

 カブ吉くんをトイレ前の道路に置いて、急いでトイレに駆け込んで行ったジョニーさんですが、しばらくするとホットした顔になって戻って来ました。

 この場所は、ジョニーさんにとっては不定期ではありますが、昨年まで割とよく仕事で訪れる場所になっていました。ここでトイレを済ませた後、ジョニーさんは同じ公園内に一門だけ展示してある戦艦陸奥の四番砲塔の砲身に向かって歩いて行きます。その時、ジョニーさんの左の視野にこの横須賀を母港とする『いづも』の姿が飛び込んで来ました。

 

「なんだ~、今日はいたんだ~」そう言いながら、ジョニーさんはハッと驚きます。

 

「忘れてた……、そうだよ~、建国記念の日だもんな。だから満艦飾なんだよな……」

 

 メインマストから艦首へ、そしてその反対側の艦尾へと鮮やかな信号旗が連楊されている『いづも』を見ながら、ジョニーさんは反省しきりです。

 たまたまジョニーさんがトイレに行きたくなった事と、白いヘルメットに濃い水色のライディングウェアに身を包んだ重量車乗りに追いつかなければ、恐らくこのJR横須賀駅には入って来ていないような気がいたします。これはやっぱり反省しないといけないですね? ジョニーさん。

 

 さて、三浦半島を周るためにまだまだ走らなければならない二人は、キリのいいところでJR横須賀駅をあとにします。

 ここからは再び国道16号線に合流して走水まで走り、観音崎を回ってそこからは県道から国道へとつなぎながら三浦海岸、三崎、葉山、逗子へと向かいます。

 途中からジョニーさんは奥様から頼まれた『白菜』を探しながらのライディングとなりますが、三崎の町の大渋滞を通り抜けるのにとんでもない時間が掛かってしまったので、それを言い訳にするつもりなのかあまり真剣に探しているようにはみえません。この付けが後で回って来る事も知らずに、ジョニーさんは鼻歌を歌いながら快調に走っております。

 JR逗子駅の前を通り過ぎた二人は、六浦を経由して金沢八景から再び国道16号線に入って行きます。ここからはひたすら往路を逆走して自宅を目指します。

 ジョニーさんはその後、本日三回目(二回目は葉山で済ませました)のトイレ休憩を大さん橋で済ませて、自宅には19時半ごろの到着となりました。

 手ぶらで家に着いたジョニーさんは早速奥様に、『キャベツとブロッコリーはたくさん売ってたけど、白菜はなかった』と、よせばいいのにさも自分が正しいように言い訳を始めます。

 これが奥様の怒りに火を付けてしまいます。そして、奥様の口から冷たく放たれた言葉は、

 

「いい歳した大人が行ってるんでしょ? 子供の使いじゃないんだから、そういう時はキャベツでもブロッコリーでも買って来るもんでしょ。ジョニーは晩ごはんな~し!」

 

 今月のカブ吉くんのメンテナンスの話しに移ります。

 カブ吉くんの今月の日常メンテナンスは、合計で3回実施されました。しかし、先月もお話ししましたが『ブリーザドレンの清掃』がまともにあったのは、2月29日のメンテナンスの時だけです。それ以外の二回はほんの微量な水が溜まっていたのが一回と、もう一回はまったく何も溜まっていなかったという状態でした。

 12月以降、現在まで過ごして来て、今年の冬が暖冬なのは間違いないところだと思いますが、カブ吉くんに今までとはまったく違う事が起こっているので、ジョニーさんとしては何だかちょっぴり心配なのです。

 そんなジョニーさんに吉村さんがこんな話しをします。

 

「ジョニー、ちょっと思い出してみな……。お前が現役で仕事してた頃って、真冬だって気温が低い結構早い時間からカブ吉に乗って仕事に行ってただろう? でも、今はそんな早い時間から乗る事はなくなっちまったんじゃねえのか? そういうのも理由として、少しはあるんじゃねえのか?」

 

 吉村さんに、言われてみれば確かにその通りです。ジョニーさんが仕事をしていた時は、真冬の寒い時期でもカブ吉くんと二人で家を6時に出る事は当たり前にありましたし、ちょっと現場が遠くなると、5時過ぎには家を出るような事も何度かあったように記憶しております。

 去年までの走行データを確認してみると、朝早くから移動をしているような場合では、やはり頻繁にブリーザドレンに溜まったものの排出や清掃が実施されていた事が確認できました。

 カブ吉くんは2010年からそのような環境でジョニーさんと一緒に走ってきたので、この使用状況が普通の事と考えてしまっていましたが、本来のカブ吉くんの使用環境というのは、本当は違っていたのかもしれません。

 この『ブリーザドレンの清掃』というメンテナンス項目は、取扱説明書に『エンジンの性能を維持するためには、定期的なブリーザドレンの清掃が必要です』という記載に加えて、このメンテナンスがホンダの指定する『1年点検整備項目』のひとつである事が明記されています。

 何だかよく解りませんが、要するに『ジョニーさんのように、気温の低い時間も関係なく移動してブリーザドレンに未燃焼ガスの液化したものを溜める人は、定期的に清掃をして下さい。また、それ以外の人も1年に1回は点検及び清掃をして下さいね』みたいなものでしょうか?

 いずれにしろ、燃費や加減速等の具合から判断しても、カブ吉くんのエンジンに不具合が発生しているとは考えにくいので、このまま様子を見ていきたいと思います。これで、来年も同じような状況になれば、『な~んだ、やっぱり俺の取り越し苦労だったんだ』と、ジョニーさんが普通に安心してこの話しは終わりになると思います。

 

 今月最後のお話しは、カブ吉くんの点火プラグが、約12年ぶりにデンソーからNGKに変更になったというお話しです。

 JA44型からの点火プラグは、NGK(CPR6EAー9S)の一種類が標準点火プラグとなっていますが、JA07型のカブ吉くんやJA10型のスーパーカブ110までは、デンソーU20EPR9S)とNGK(CPR6EAー9S)の二種類が標準点火プラグとなっていたのです。

 カブ吉くんに関しては、新車で吉村さんのお店に来た時からデンソー製の点火プラグが装着されていました。また、古い話しですがジョニーさんも自分の乗る四輪の競技車(ラリー車)にデンソーワイドUを使っていたという事もあって、昔からデンソーの点火プラグに何かと縁があるようです。それほど大きな理由ではありませんが、そんな事もあってカブ吉くんには現在に至るまでデンソー製が使われているのだそうです。

 しかし、そんなカブ吉くんの点火プラグをこのタイミングで何故NGK製に変更をするのでしょうか? それは昨年の7月に発表された『デンソーが点火プラグ・排ガスセンサー事業を日本特殊陶業(NGK)に譲渡』という一本のニュースに端を発します。

 ちょうど同じ時期に、長距離ツーリング中のプラグの入手のしやすさ等の話しをジョニーさんと吉村さんでしていたところだったので、『売っちゃうんだったら、もうNGKしかないね』と、言う事で、二人の中ではすでにデンソーからNGKに変更をする事は決まっていたようでございます。

 

 さあ、小さな事かもしれませんが、長距離ツーリングを実施する為に必要な事項が一つひとつ決まって来ているようでございます。

 用意周到なジョニーさんのことなので抜かりはないと思いますが、3月が終わるとたぶんツーリングへの準備もペースが上がって来るのではないでしょうか?

 

 いよいよ桜の咲く季節を迎えます。どなた様も新しい季節の風を感じながら、オートバイをお楽しみ頂けますように祈っております。

                                   管理人

 

2024年2月末日現在 全走行距離 325,144km

(2月走行距離 1,106km 月間平均燃費 58.49km/ℓ )

月まであと 59,256km