スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

2024年1月 カブ吉くん 近況報告

 皆さんこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 昨年末の最終夜走りで、バッテリーの問題が突然浮上してしまったカブ吉くんですが、正月休みと重なってしまうという最悪のタイミングだった為に、吉村さんのお店の力を借りる事も出来ずに、ジョニーさんとカブ吉くんは元旦の朝を悶々とした思いで迎えておりました。

 ジョニーさんの昨年からの計画では、いろいろな事が変わった2024年のスタートを『東京ゲートブリッジから初日の出を見て、今年一年が良い年になるように祈願する』という企画を考えていたようですが、バッテリーの問題を抱えてしまったカブ吉くんを走らす訳にもいかず、残念ながらその計画も流れてしまっていたのです。

 そして、その後は皆さんもご存じの通り、元旦の午後には大きな被害を発生してしまった『能登半島地震』が起こり、翌日には羽田空港新千歳空港発の日本航空516便(エアバスA350)が着陸直後に、前日に発生した能登半島地震の被災地向け物資を搬送する為に待機していた海上保安庁の航空機と衝突するという大事故が起こってしまったのです。

 新しい年の始まりとしては、まったく想像もしていなかったようなあまりにも衝撃的で悲しい始まり方となってしまいましたが、被災された方々や亡くなられた方のご家族の生活が一日でも早く戻りますことを、当ブログ関係者一同、心から祈っております。

 

 それでは、2024年最初の近況報告を始めさせて頂きます。

 

 『能登半島地震』の余震も数多く発生し、その関連ニュースを見るために三が日をテレビにかじりついていたジョニーさんですが、ようやく1月4日に今年最初のカブ吉くんのメンテナンスを実施しました。

 まずは、年末に問題を発生したバッテリーの通常電圧を確認する事から始めます。その為にはシート下にあるセンターカバーを最初に外さなければならないのですが、昨年の10月にJA60用のシートに交換をしてからは、センターカバーの上部固定ビスへのアプローチがダイレクトに出来なくなりました。

 これはJA60用のシートヒンジの形状がJA07純正のシートヒンジと大きく異なり、その上部固定ビスに覆いかぶさるようになっているるためです。もうこれはしょうがないので、シートを一旦外してから作業を開始します。

 センターカバーを外してバッテリーの電圧をデジタルテスターで測ります。その結果は、12.45ボルトでした。やはり、大幅に低下しています。

 カブ吉くんに過去に搭載していたバッテリーを考えてみても、寿命を迎えたMFバッテリーは概ね12.6ボルトを下回っている事が多いようです。

 

『カブ吉~、とりあえず充電はしてみるけど、たぶん復活は無理だろうな……』

 

ジョニーさんもあきらめ顔でカブ吉くんに話し掛けています。

 カブ吉くんの新しいバッテリーは大晦日にすぐ発注を掛けたようですが、お正月という事情もあってか、納期は1月中旬になりそうだという事なので、それも併せてジョニーさんはますます暗い顔をしておりました。

 しかし、その新品バッテリーが突然1月6日にジョニーさんの自宅に届きます。

 

『おいおい、どうなってるんだよ~。さんざん心配してたのによ~』

 

 口ではぶつぶつ文句を言っていますが、ジョニーさんは満面の笑みです。早速新品バッテリー(純正指定GSユアサYTZ7S)を箱から取り出して、デジタルテスターで電圧を測ります。液晶画面には12.59ボルトの表示が出ます。

 若干低めの表示ですが、いずれにしろジョニーさんは必ず初期充電をしてからじゃないとバッテリー交換をしないので、まったく問題はありません。初期充電が完了したバッテリーは、12.88ボルトを表示しています。

 新しいバッテリーが装着されたカブ吉くんは、スタータモータの回りも復活し、グリップヒーターの効きも今まで以上に強くなりました。また、ちょっとした坂道を登って行く時の力強さも増して、まさにいい事尽くめです。

 結局、昨年末まで活躍してくれた古河電池製FTZ7Sは、3年11ヶ月で約8万4千キロの使用という事になりました。数値としてはそれほど悪い訳ではないと思いますが、その前に使用していた純正指定のGSユアサYTZ7Sが、2個とも4年以上の期間を使用し、いずれも10万キロ以上走行していた事を考えると、ジョニーさんにとってはやや物足りない感じを受けていた事は否めないようです。その結果が、純正指定であるGSユアサYTZ7Sの再発注につながったと考えられます。

 さあ、恐らくこのバッテリーが『カブ吉くん 月まで走れ!』の最終目標である384,400kmまで走る最終バッテリーとなる気がいたしますが、今年からは昨年までと違って、カブ吉くんの走行形態が大きく変化する事になります。

 昨年までは、ジョニーさんと一緒に移動する業務移動がメインで、たまにツーリング等が入って来るというパターンでしたが、今年からはほとんどが不定期なプライベート移動(中・長距離ツーリング等を含む)へと変わって行きます。当然、バッテリーの充電状況や使用頻度も変わって来るはずですので、バッテリーへの負荷も変わって来るはずです。その辺りも含めて、耐久チャレンジとしては今後も注意深く見守っていきながら報告をさせて頂きたいと思います。

 

 さて、そんなカブ吉くんの走行形態の変化についてのお話しをしておりますが、ジョニーさんと吉村さんの間でも、その話題に関して今年に入ってから下記のような話し合いがされているようですので、しばらくお聞きください。

 

『やっぱり、一年間で走った距離が1万6千キロっていうのは、ちょっと衝撃だったよね……。いくら週2回在宅勤務になっていたとは言え、5月には久しぶりに小浜にも行ったし、夜走りも去年は結構な頻度で行ってたからね……』

 

『6月に新しい犬の家族が増えて面倒をみなきゃならなかったり、具合の悪い田中君のサポートをしたりっていう大変な部分もあったし、そういうところに大分時間を取られていた感じはするしな……。それでも、去年は珍しく十五夜も十三夜も両方行ってたりしたし、まあ、いろんな部分が出っ張ったり引っ込んだりした事を考えてみりゃ、それなりに走ってた方なんじゃねえのか? だけどジョニー、やっぱり仕事で使うか使わないかっていうのは、とんでもなく大きいって事だったんだって普通に思うぞ……』

 

『本当にそうなんだろうね~、行きたいとか行きたくないとか関係ない業務移動って凄いよね……。一週間で400キロから500キロくらいをコンスタントに走ってたんだからね~。当然、そうなるとカブ吉のメンテナンスも一週間に一回は必ずする事になるから、カブ吉はいつも調子がよくて綺麗でいられたしね~』

なにやら、感慨深げなジョニーさんです。

 

『ジョニーは走るのが大好きだし、カブ吉は好調をキープ出来るし、ある意味二人にとって今までは、いいこと尽くめだったっていう事だな……。しかし、その無くなっちまった業務移動の穴を埋めるってえのは、そうそう簡単な事じゃねえかもしれねえなぁ……。ちょっとそこら辺を流してくるちょい乗りとは、訳がちがうからなぁ……』

吉村さんも思案顔です。

 

『俺も去年からいろいろ考えてたんだけど、ちょい乗りってなかなか難しいんだよね……。すぐ行くとこがマンネリになっちゃうし、距離もあまり長く走るイメージじゃないし……。やっぱり、ある程度走る目的とかが明確になってないと、こういうのって難しいのかもしれないな~なんて思っちゃたりしてさ……、実は結構悩んじゃったりしてたんだよね……。でも、そうしたらさ、ふといい事を思いついちゃってさ~! 吉村さん、聞いてくれる? 《スーパーカブ耐久チャレンジ 昔取った杵柄ブラッシュアップ大作戦》って一応命名したんだけどさ……』

 

『……、また、変な名前の作戦考えやがったな……。どうせ、お前の事だからドラマかなんか見て覚えたのを、単純に言いたいだけなんじゃねえのか? 』

 

 また二人のいい加減なコントのような会話が始まりそうなので、ここから先は要約して皆さんにお伝えしたいと思います。

 ジョニーさんという人は、長年バイク屋家業を営みながら、公私ともにいろんな道を走り続けてきた吉村さんもビックリするくらい良く道を良く知っているのです。それは、ジョニーさんが二十代の前半からトラックドライバーの仕事をしていた事に起因しています。

 ジョニーさんが仕事を始めた時、勤めていた会社は東京の国分寺市東恋ヶ窪にありました。そして、ジョニーさんの仕事はそこを起点として、多摩地区全域、埼玉県西部、神奈川県川崎市麻生区多摩区にある配送対象の電気店(凡そ600店ほどあったようです)を10コースに分類し、そこに家電品を配送する業務に就いていたそうです。

 それ以外にも、大型車に乗って東京から秋田への定期便を中心に全国(四国を除く)を走っていたようですし、四輪のラリー競技もやっていた関係から、関東地方及び山梨県・長野県などは各地の広域農道レベルの道まで熟知していたそうです。

 しかし、さすがにそのような走る事が仕事や遊びに繋がっていた時代から30年以上も経ってくると、最近ではちょっとしたところに知らない道が出来ていたりする事が多くなったようで、ジョニーさん自身も、自分の頭の中にある道路地図の更新をしていかなければならないと感じていたようでございます。

 さあ、そんな訳で2024年1月からは、まずジョニーさんが道を覚える原点ともなった『家電品配送10コースを再び巡る』という企画がスタートする事が決まりました。このような試みがカブ吉くんの調子を維持し、そしてジョニーさんの頭の中にある道路地図のブラッシュアップに繋がるのであれば、耐久チャレンジ的には願ったり叶ったりでございます。

 そして、その第一回は早速1月9日に実施されます。その時のコースは、航空公園(所沢市)をスタート地点に設定して、新狭山、笠幡、的場、川越、上福岡、ふじみ野、鶴瀬、みずほ台、志木、朝霞と回り、ゴール地点を和光に設定するコースになっていました。このコースの走行時間はだいたい4時間半くらいで、距離は118kmを記録したそうです。

 また、川越の周辺では、予想通りジョニーさんの知らない道が数本出来ていて、次回訪れる際は必ずその道を走行して、ジョニーさんの地図をブラッシュアップしていくような展開に今後はなるようです。

 それ以外でも、所沢街道の渋滞をさけて航空公園東側にあるこぶし団地に抜ける裏道を四十年ぶりに通ったり(一度も間違えずに行けたようで、本人は大喜びだったようです!)、久しぶりに川越の素敵な町並みを眺めながら走ったり出来た事は、ジョニーさんにとっても実に有意義な一日の過ごし方となったようです。

 

 それでは最後のなりますが、カブ吉くんに実施された1月のメンテナンス報告(日常メンテナンス以外)です。

1.ドライブスプロケット交換(純正14T)

  既存のドライブスプロケットの騒音低減の為のゴムがボロボロになっていたので、

  新品スプロケットへの交換となりました。

2.エンジンオイル交換(G2 10Wー40)

  通常指定距離(2000km)での交換になります。交換時にオイルの減少等はみ

  られません。また、219,000kmからG2オイルのみを使用するようになって

  10万キロが経過しました。

3.クランクシャフトホールキャップからのオイル漏れ修理(リコール対応)

  2011年にリコール対象となっていた部分です。現在までオイル漏れが発生しな

  かったので、ずっと放置されていました。ホールキャップに装着するOリングがリ

  コール部品です。交換後のオイル漏れはありません。

 

 以上の三点が、日常メンテナンス以外の整備として実施されています。それ以外に気になる部分としては、この時期のカブ吉くんの日常メンテナンス項目として必ず実施していたブリーザドレンの清掃(液化した未燃焼ガスを排出・清掃するだけですが……)が、ほとんど必要がないという点がジョニーさんは気になっているようです。 

 皆さんの愛機たちはいかがでしょうか? 今年は間違いなく暖冬なんでしょうが、それが理由という事で本当にいいんでしょうか? やっぱり少し気になりますね……。

 

 それでは、また来月お会いしましょう。

                                    管理人 

 

2024年1月末日現在 全走行距離 324,038km

(1月走行距離 1,485km 月間平均燃費 58.60km/ℓ )

月まであと 60,362km

2023年12月 カブ吉くん 近況報告

『令和6年能登半島地震』によってお亡くなりになった方またそのご家族に対し、謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 

 皆さんこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 7月いっぱいで退職したジョニーさんにとって今年の12月は、カブ吉くんと供に毎年実施していたお客さんへの年末の挨拶回りをする事もなく、数十年ぶりに8月以降に始まった新しい生活のリズムに合わせながら、日々を淡々と過ごしておりました。

 ジョニーさんのお客さんは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県にそれぞれおられたので、昨年までのこの時期はカブ吉くんの前カゴに翌年のカレンダーを一杯詰め込んで、寒風吹きすさぶ中を東へ西へと走りまわるのがジョニーさんとカブ吉くんの仕事であり楽しみでもあったのですが、その必要がなくなった今年の12月は、二人にとってはいろいろな意味で何となく寂しさも感じる久しぶりの年末となっていたようでございます。

 

 2023年を耐久チャレンジ的に見てみれば、一ヶ月の走行距離が2千キロを超えたのは、5月に小浜にお箸を買いに行った時に記録した2,231km一回だけであり、それ以外の月は軒並み1千キロ台に終わっており、猛暑であった7月・8月に至ってはとうとう1千キロにも届かないという体たらくでございました。

 そのような状況でありますので、年間走行距離も今まで一度も記録した事のない16,575kmという、『耐久チャレンジ』などと名前を付けている割には、2万キロを大幅に下回るお恥ずかしい数値となってしまいました。

 また、走る距離が減ると今まで思いもしなかったような事がカブ吉くんに起きて来ることも分かりました。それはどんな事かと言うと、塗装が薄くなったりしている所に錆が浮いてきたりする頻度が、とても高くなるという事です。

 年間の走行距離が普通に2万キロ(一週間の走行距離は大体400~500kmくらいとなります)を超えていた昨年までは、ドライブチェーンへの給油などを実施する日常メンテナンスがほぼ毎週実施されておりました。もう少し分かりやすく言うと、ジョニーさんがカブ吉くんを一週間に一回は必ず触っていたという事でございます。

 そうすると、汚れているところは綺麗に清掃がされ、錆びている所は錆を落とし防錆剤が吹かれる事になります。こういう地道なマシンとの触れ合いが、そのマシンの好調をいつまでも維持する事につながっていくのだという、極々当たり前の事実に改めて気付かされる事となりました。

 しかし、走行距離が大きく減った7月以降は、日常メンテナンスの間隔は概ね二週間に一回のペースとなります。そうすると、上記のような問題が頻繁に発生するようになるので、それに気が付いたジョニーさんは、メンテナンスをしなくても一週間に一回は必ずカブ吉くんに触ったり清掃をする事に決めました。

 まあ、そんなお陰でというのも変ですが、14年目を迎えているカブ吉くんの外観は、小傷は目立つものの十分に働く機械の貫禄を感じさせる状態に維持されており、エンジンに関しても性能の低下を感じさせる事のない素晴らしいフィーリングを保ちながら、この年末を迎えております。

 その証拠と言ってはなんですが、カブ吉くんの年間を通した平均燃費も、今年はあまり期待していなかったのですが、終わってみれば60.34km/ ℓ という、昨年の平均を若干ですが上回る数値をマークしていました。

 今年もこのような数値を記録出来たおかげで、まったく思ってもみませんでしたが三年連続の年間平均燃費60km/ℓ 超えとなりました。

 どこに行くにしても出発及び帰着時に概ね渋滞を伴う東京練馬を定位置として、ジョニーさんの仕事を支えてきたカブ吉くんの燃費と考えると、この数値はとても素晴らしい数値のように管理人は感じるのですが、皆さんはどう思われるでしょうか?

 来年以降は、カブ吉くんの業務移動というのは基本的にありません。たまにジョニーさんがアルバイトに行く事はあると思いますが、それ以外の移動はほとんがプライベートでの移動となります。当然、その中には長距離や中距離のツーリングも含まれることになると思いますが、実際はどんな感じで一年間を走って行くのか現在主要な関係者(ジョニーさんと吉村さんの二人しかいませんが……)で検討中でございます。詳細は来年早々にお伝えする予定なので、お楽しみにお待ち頂ければと思います。

 

 さて、話しは変わって今月のカブ吉くんのメンテナンスですが、12月3日に実施した日常メンテナンスの中で、11,000kmぶりにドライブチェーンの張り調整が行われました。これは、30万キロでドライブチェーンを交換した後、4回目の張り調整になります。ちなみに、3回目の張り調整は今年の3月19日に実施されています。

 油分をほぼ切らすことがないようにメンテナンスされるカブ吉くんの場合は、初期伸びが落ち着いたあとは、多くてもだいたい5~6千キロに一回くらいの張り調整で済んでいます。今回は珍しく少し長い距離を無調整で来ていましたが、ドライブチェーン自体の遊びは基準値をちょっと超えるくらいの遊びでした。そのくらいの遊びであれば、調整の量としては、ドライブチェーンアジャスタの調整ナット(アジャストナット)を6分の1締め込むくらいの調整で充分に基準値に戻ります。

 それ以外の整備は、12月16日に吉村さんのお店でエンジンオイルの交換が行われた事と、19日にジョニーさんの手によって今年最後の日常メンテナンスが実施されています。例年であれば、年末の気温が下がるこの時期になるとブリーザドレンに液化した未燃焼ガスが溜まって来るので、その清掃も日常メンテナンスの項目に加わってくるはずなのですが、今年はまだ液化した未燃焼ガスが溜まりません。

 カブ吉くんにとって、12月に入っているのに一度もブリーザドレンの清掃をしていないという状況は過去に一度もなかった事なので、非常に珍しい状況と考えていいのかもしれません。そのような理由から、その部分については、現時点では目視点検のみでスルーしている状態です。やはり、それだけ外気温が高い(暖冬)という事なのでしょうか? ジョニーさんは寒いのが大嫌いなので本来なら喜んでいていいはずなのですが、この点に関しては少し怪訝な顔をしております。

『何か良からぬ事が起きなければいいが……』という、なにやら微妙な表情でございます。

 

 そして、いろいろあった今年もいよいよ押し迫り、30日の日中にジョニーさんは八王子にあるお墓の掃除を終え、その晩から31日未明にかけてカブ吉くんと今年最後の夜走りに出掛けます。

 環状七号線の外回りを葛西までぐるりと走り、湾岸道路(国道357号線)を少しだけ上り込み、荒川を渡って新木場の交差点を左折し、東京ゲートブリッジを渡っていつもの夜走りルートに入って行きます。

 ここまでカブ吉くんの走りには、取り立てて大きな問題はないようです。

『若干いつもと比べてグリップヒーターの効きが悪いかなぁ……』

などと言いながら、それでもジョニーさんは今年最後の夜走りを楽しんでおりました。

 確かにここのところ、バッテリーが少し弱くなって来ている感じがあり、ジョニーさんもカブ吉くんと走っている時は、カブ吉くんに取り付けられた『KOSO Mini3』のモードを電圧計に切り換えて走っている時間が長くなっています。

 今年の夏くらいまでは、カブ吉くんの走行中の電圧計の表示は14.3~14.5vを安定的に示すのが普通の状態でした。しかし、秋以降は14.5vを超えて14.6vという電圧表示をちょこちょこ見かけるようになっていたのです。

たかだか0.1vですが、過去には一度も表示された事のない数値なのです。

『なんかレギュレーターが一生懸命バッテリーに電気送ってるみたいだけど、ちょっと早くないか……』

などと言いながら、ジョニーさんも結構気にはしていたようですが、結局そのまま三回目の冬に突入している状況でございます。

 

 いつもの折り返し地点である芝浦の自動販売機で大好きな甘酒を買って飲んでいるジョニーさんはご機嫌です(たぶん酔っぱらってはいないと思います)。

 

「よし! 温まった! カブ吉、帰るぞ!」

 

ジョニーさんはカブ吉くんに声を掛けながらスタータスイッチを押します。

 

『ククッ、クゥ、クゥ、ボウン』

 

カブ吉くんは何やら苦し気な感じを残しながらも、何とか始動します。

 

「おいおいカブ吉~、大丈夫か~?」

 

ジョニーさんはすかさずカブ吉くんに声を掛けますが、エンジンが掛かってしまえば至って普通のカブ吉くんであります。

 その後はレインボーブリッジを渡り、臨海道路から羽田空港を通って環八外回りへと帰りのルートを取ります。環八通り自体が法定速度で走行出来る道路なので、特に深夜帯の移動は非常にスムーズに走行が出来ます。エンジン回転も高めに保つ事が出来るので、バッテリーへの充電も充分に出来るはずです。

 自宅近くまで戻ったジョニーさんは、いつものガソリンスタンドでカブ吉くんに今年最後の給油をします。そして給油終了後、給油ノズルを給油機に戻しながらいつものように燃費を暗算で計算します。とは言っても、小数点以下まで細かく計算するような事はありません。大体『58キロくらい走っている』とか、『55キロくらいしか走ってない』とか、そんなレベルです。

 

「今年最後の燃費は204キロ走って3.4リッター給油っと、……おおっ~、ピッタシ60キロじゃん。何だか、最後にキリが良くって気持ちいいね~」

 

 ジョニーさんは給油レシートをポケットにしまってから、手袋を装着し始動の為にキックペダルに手を掛けます。しかし、その後ふと間があき、何を思ったのかキックペダルは再び元の位置に戻されました。

 ジョニーさんはカブ吉くんに乗る時に、短距離しか走らない事が分っている時は、基本的にスタータモータを使ったエンジン始動は行いません。ですから、このいつも使っているガソリンスタンドから帰る時は、普段はキックスタートになります。

 

「カブ吉~、さっき芝浦を出て来る時なんかセル重くて変だったから、もう一回セルでかけてみようか?」

 

 ジョニーさんはそう言いながら、確認の為に『KOSO Mini3』のモードを再び電圧計に切り換えて始動に備えます。電圧表示は、12.5vを表示しています。メインスイッチがオンになった状態では、瞬時にバッテリーから各所に通電が行われているので、この数値自体は満充電の目安となる12.7~12.8vを示さなくても問題はありません。ジョニーさんの指がスタータスイッチに掛かります。

 

『クゥゥ……、……ブォン』

 

 掛かるには掛かりましたが、一瞬ニュートラルランプは消え、電圧計のバックライトも消えてしまい、暗くなった液晶の中に7.0vの電圧表示が微かに浮かんでいるのが分かる状態でした。

 

「あちゃ~、こりゃダメじゃんバッテリー……」

 

ジョニーさん、大晦日の未明に絶句でございます。

 

 カブ吉くんがこんな状態で年末を迎えるとは誰も想像をしていなかったのですが、2020年の1月末に前のバッテリーが逝った時も、やはり突然でした。

 その時は、『帰宅途中に給油のためガソリンスタンドに立ち寄り、給油後にメインスイッチをオンにしたけれども何のランプも点かず、その時点で全ての電気が失われていた』という恐ろしい状況でした。

 

 さあ、2023年の耐久チャレンジ的には来年に期待(?)が持てる楽しい終わり方になったような気が致しますが、いかがだったでしょうか?

 

 一年間、当ブログをご訪問頂いた皆さまに感謝いたします。

  

 また、来年もよろしくお願いいたします。

                                    管理人

 

2023年12月末日現在 全走行距離 322,553km

(12月走行距離 1,149km 月間平均燃費 57.71km/ ℓ )

月まであと 61,847km

2023年11月 カブ吉くん 近況報告

 皆さんこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 11月の第一週の三連休(11月3日~5日)は、気温も高く天候にも恵まれ絶好の行楽日和となりました。このような好条件が重なると、必然的に行楽地に向かう道路はひどい渋滞となります。

 11月3日、連休の初日にうどんと蕎麦の買い出しの為に忍野に向かうジョニーさんとカブ吉くんも、しっかりとこの渋滞にはまっておりました。

 

『まったくもう……、どうなっちゃてるんだろうねえ? これじゃ、ゴールデンウイークと変わらないじゃねえか……』

 

一日中このセリフを何度も繰り返しながら往復約200km、そして走行時間約9時間の買い出しツーリングを終えたジョニーさんは、吉村さんに買って来たうどんを渡しながらその日一日の愚痴をこぼします。

 

「いつもなら大体3時間半もあれば忍野に着くのに、今日は4時間半だからね……。参っちゃったよ……。こりゃあ帰りはちょっと考えないとまずいな~って思って、珍しく和田峠を越えて陣馬街道で戻るルートにしてみたんだけど、帰りもやっぱり4時間半掛かっちゃったもんな……。もう、本当にやんなっちゃったよ……」

 

「お~、そうかそうか。そんなに混んだか。大変だったなあ、いやいやご苦労さんご苦労さん。だけど、そんな渋滞路を走るのも、また違った面でシートのいいテストになったんじゃねえか?」

 

 さすが吉村さんです。ジョニーさんの一日の買い出しツーリングの労をねぎらいながら、JA60用シートのインプレッションを聞き出す事を忘れません。

 

「確かにね……。そうやって考えてみると、先月は道路が空いている夜間のテスト走行がほとんどだったからね。今日みたいに渋滞の中、ノロノロと四輪の後ろについて走る事なんてなかったもんな~。言われてみりゃあ、四輪の後ろを左足を微妙に道路につけながらついて行く時なんか、なんか以前よりずいぶん楽になったような気がするな……」

 

 ジョニーさんは、どうやら吉村さんの作戦にまんまとハマってしまったようです。その後も、楽しそうにいろいろな話しをしてくれたので、下記に簡単にまとめてみました。

 宜しければ、ご覧くださいませ。

 

【 メリット 】

1.圧倒的に乗りごこちが良い

  お尻に感じる細かい路面の凸凹の衝撃が、嘘のようになくなる。

  ジョニーさんの言葉を借りれば、『リヤにビルシュタイン入れちゃったみたいな

  感じ』だそうです。ジョニーさんはかなり古くなって来ているライダーなので、

  オーリンズ等が装着されたオートバイに乗った事がありませんので、こんな表現

  になってしまいます。

  ビルシュタインは、1950年代からメルセデス・ベンツ等に純正採用されてきた

  高性能ダンパーの代名詞です。ジョニーさんが四輪ラリー競技に夢中になっていた

  当時は、大金持ちの人達だけが装着できるダンパーでした。

2.踵を使ったシフトダウンがやり易くなる

  シート高が3センチほど高くなった事で、膝の曲がりが楽になった分、踵でのシフ

  トダウンが普通に出来るようになって嬉しかったそうです。

  過去の記事でも書いていますが、ジョニーさんは基本的にシフトチェンジは今まで

  すべてつま先を使って行っていました。昔からスーパーカブに乗っている人達は、

  結構こういう乗り方をする人が多いようです。

  ちなみに、ここのところ左膝の調子が良くないジョニーさんにとっては、踵シフト

  ダウンが出来るようになった事は、かなり高評価につながっているようです。

3.渋滞時の超低速走行(足つき走行)が楽になる

  これもシート高が上がったおかげで、渋滞時にちょこちょこ足をつきながら走行す

  る際、あまり意識して足を上げていなくても済むようになったそうです。

  ジョニーさんの身長は170センチなので、ノーマルの状態だとかなり意識をして

  足を上げておかないと、道路のちょっとした凸凹で引っ掛かったりした際に、ステ

  ップに思い切りふくらはぎをぶつけて、とても痛い思いをしていたそうです。

  そういう心配が少なくなったのは、とても良かったそうです。

 

【デメリット】

1.乗降のしやすさが少し損なわれる

  ノーマルシートと比較すると、どうしてもこの項目は敵わないような気がします。

  シート自体の大きもかなり違うので、レッグシールドとシート先端の隙間の寸法

  も若干狭くなります。ジョニーさんも気を付けながら乗り降りをしているようで

  すが、レッグシールドを蹴飛ばして汚してしまう事が増えたそうです。

2.絶対的な足つき性能が失われる

  スーパーカブに乗る大多数の人が恩恵を受けていると思われるこの性能ですが、

  シート高が3センチほど上がってしまうと、ジョニーさんの場合ですが、今まで

  両足とも踵までべったりとついた状態で膝に十分余裕があったのですが、その余

  裕がほぼなくなります。停車して足を降ろす場所が、水勾配等で傾斜がきつかっ

  たりすると、慌てる事があるかもしれません。ちなみに、ジョニーさんの身長は

  170センチです。

3.センターカバーの脱着が一手間増える

  バッテリー点検等の時に外さなければならないセンターカバーですが、それを固

  定しているビスにJA60用シートヒンジが被ってしまう為、プラスドライバー

  で直接ビスを緩める事が出来なくなります。一度、シートをヒンジごと外してや

  らないといけなくなるので、少し点検の時に時間が掛かるようになってしまうの

  は、やはりデメリットだと思います。ちなみに、JA10型以降のモデルにはこ

  の問題は起こらないはずです。

 

  

 以上、先月交換して使い始めたJA60用シートの追加インプレッションを書かせて頂きました。ジョニーさんのようにスーパーカブでの長距離移動のお好きな方で、お尻の痛みに悩んでおられる方がおりましたら、ぜひ参考にしていただければ幸いでございます。

 

 さて、シート関係以外のカブ吉くんの出来事ですが、先月末に32万キロを超えた事に伴って、エアクリーナエレメントとスパークプラグが交換されています。これには、ともに純正部品が使われています。

 また、今年の3月に31万キロを通過した時には実施されなかった1万キロ整備(本来なら31万キロ整備になったはずです)が、今回はさすがに実施されました。

 1万キロ整備(今回は32万キロ整備になります)と言っても、いつもはそれほど大したことをする訳ではありませんが、今回は前回やらなかった事もあるので、スイングアームを脱着して清掃及び給脂をしてみたり、リヤホイールを外してホイールベアリングの点検をしたり、リヤブレーキカムに給脂をするなど、割り合いジョニーさんは真面目に取り組んだようでございます。

 それ以外では、ドライブスプロケット廻りの点検及び清掃、スピードメータケーブル給脂、バッテリー電圧確認及び補充電等の点検整備が実施されました。

 カブ吉くんの純正ドライブスプロケットには、歯の下側に騒音低減の為のゴムがぐるりと貼り付けてあるのですが、今回の点検でそれがボロボロになっているのが発見されましたので、新しいものを部品発注しております(交換は、後日実施の予定です)。

 このドライブスプロケットは、リヤのドリブンスプロケット及びドライブチェーンとともに24万キロ時に交換したものですが、今回は8万キロほどの使用で要交換状態となってしまいました。使用距離的には、過去に使用していたスプロケットより大幅に短期間での部品寿命となっていますが、スプロケット自体の歯の大きな摩耗等は全くみられません。しかしながら、やはりドライブチェーンのガチャガチャ音がよく聞こえるようになってしまいますので、どこかのタイミングで交換をする予定です。

 

 今回32万キロ整備として点検をしたカブ吉くんのその他の部分については、特に大きな問題はなかったようです。若干、2020年2月に交換されたバッテリー(使用距離は、こちらも約8万キロです)の電圧がやや低め(12.7V付近)を示していましたので、この部分についてはもう暫く様子を見ていきたいと思います。

 

 さあ、今年も残すところはあと12月だけとなりました。本格的な冬のライディングが始まります。どなた様も防寒対策をしっかりとして頂き、ご安全にお楽しみ下さい。

 

                                    管理人

 

2023年11月末日現在 全走行距離 321,404km

(11月走行距離 1,294km 月間平均燃費 59.69km/ ℓ)

月まであと 62,996km