スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

2020年3月 カブ吉くん 近況報告

  皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 カブ吉くんのマフラーからの白煙を確認して、ちょうど一年が経過しました。先月の近況報告でも少し触れましたが、状態は一年前とほとんど変わっておりません。

 こういうトラブルを抱えながらも、とりあえず何とか走ってしまうというのも『スーパーカブ』の耐久性の一つと考えていいのかは微妙なところでございますが、多少の不具合があってもそれなりに走行出来てしまうのは、『スーパーカブ』というオートバイにとっては、昔からのお約束のようなものかもしれません。

 昨年からカブ吉くんに起こっているこの不具合は、発生当初はピストンリングの消耗からくる、オイル上りではないかと思われていました。しかし、白煙の出るタイミングやその煙の量の問題、定期的に交換している点火プラグの汚れ具合等から考えて、現在では排気バルブのステムシールからのオイル漏れ(いわゆるオイル下がり)の可能性が高いのではないかと予想されています。

 当然、そのオイル漏れが自然に直ったりする事はないのですが、かと言って急激にその症状が悪くなっているとういう事もありません。

 気温が低く寒い時期は、あまりエンジンオイルの消耗もありません。しかし、それは今の時期だけの事で、これから気温が徐々に高くなってくると、再び同じような消耗が始まって来ると思います。

 暖かくなってからのエンジンオイルの消耗のペースは、オイル交換後1000km走行くらいで、だいたい100~150ccを補給をするようなペースです。

 この消耗のペースが本当に変わらないのであれば、1万キロくらいまでのロングツーリングなら1ℓ のオイル缶を1本持って行き、1000km毎に100ccくらいずつ足してやれば済んでしまう話なのですが、万が一この消耗ペースがツーリング途中で急に多くなったりすると、それはそれで、ちょっとやっかいな事となります。

 ジョニーさんは、実はカブ吉くんのこのオイル下がりトラブルで、それが一番気になっている部分なのです。

 それなので、ジョニーさんは折に触れて吉村さんに、

 

『ねぇ~ねえ~吉村さ~ん、いつぐらいにステムシール交換したらいいかな~?』

 

などと甘い声を出して、チコちゃんのように尋ねています。ですが、吉村さんは、

 

『今すぐ遠くに出掛ける訳じゃないんだから、もうしばらくこのまま様子見だな~。こういう状態になってからも、こんな使い方でどんな風にどのくらい走れるのかっていうのを見とくのも、耐久性の確認っていう意味じゃ間違ってねぇからな~』などと言いながら、一級整備士で5歳の吉村さんはニヤリと笑うのです。(少し気持ち悪いです……)

 

 ジョニーさんの今年のゴールデンウイークは、すでに仕事が入ってしまっているので、恒例のロングツーリングは早々の中止が決まっています。そんな理由からも、しばらくの間はこの状態のまま、カブ吉くんは走り続ける事となるようです。

 

 話しは変わりますが、先月交換した強化ドライブチェーンは、約3000kmを走行して、先日一回目の張り調整を実施しました。

 ノーマルの『420D』と比較すると、ドライブチェーンを構成する部品の一つである『プレート』が幾分厚い感じがして、チェーン自体の強度も高そうなしっかりとしたものです。

 もともと、『プレスカブ』等の重量物を運ぶ車種用に設定されているドライブチェーンなので、大荷物を積んで走るロングツーリングにはぴったりのドライブチェーンなのです。

 恐らくあと一~二回のチェーン張り調整をしてやれば、その後はあまり伸びる事はなくなるのではないでしょうか? 純正の『420D』もそんな感じでしたから、『420DS』もたぶん大丈夫でしょう。もちろん、一週間に一度の給油は必ず実施しないといけませんが……。

 

 年度末の3月は、ジョニーさんが一年で一番忙しい時期です。今年もジョニーさんは、カブ吉くんと共に西から東、北から南へと走り回っておりました。

 走行エリアは、東京23区内から千葉県中央部及び北部、神奈川県南東部及び県央地域と、例年になく幅広い地域となりました。走行距離の方も、月間2213kmを記録しています。これは、3月としては、過去2番目に多い走行距離となります。

 この3月の月間走行距離ですが、東京23区内の業務が中心になると、一回の移動距離が短いので、月間走行距離は極端に伸びなくなります。 今までの中で最低だった月間走行距離は、あの忘れる事が出来ない2011年3月の『東日本大震災』が起こった時でした。

 この時のジョニーさんとカブ吉くんは、1ヶ月で1164kmしか走行する事が出来ませんでした。しかし、その内容はとてつもなくもハードで、ジョニーさんの担当するお客様の災害復旧の為に、それこそ朝から晩まで23区内を走り回っていた記憶が甦ります。いつまた大きな余震が来て、交通網が麻痺してしまうかも分からないので、ジョニーさんにとってカブ吉くんは、どんな時でも一緒に動ける頼もしい相棒だったのです。

 その時の事を思えば、今年の3月は、取りたてて大きな問題もなく、比較的順調に走行を続けられた月間だったと言えるかも知れません。

 

 カブ吉くんは今年の7月が来ると、満10歳になります。現在の走行距離は24万3千キロなので、普通ならば7月には25万キロにかなり近い所まで行きそうな気がするのですが、今年はいつもとちょっと様子が違うようです。

 2020年1月7日に、中国当局が新種のコロナウイルスを発見したと世界保健機関に報告してから、世界中が大混乱に向かって一気に進んで行ってしまいました。

 当然、日本も例外ではなく、あの『ダイヤモンド・プリンセス号』の件から、大きく世の中が動いて行きます。

 ジョニーさんにとっては、仕事の関係から一時『横浜』地区を中心に動いていた時期もあるので、この豪華客船が頻繁に大さん橋に停泊しているのをよく目にしていました。そういう意味では、とても親しみのある客船なので、余計にそこに乗船している人々の状況が少しでも改善して欲しいと願わずにはいられません。

 そして、その新種のウイルスは、次に地上でも猛威を振るい始めます。ニュースでは、日本国内も含め、世界各国の感染状況やそれによる死者数などを毎日報道しています。また、それに伴う生活品の買い占めやトラブル等の発生も、いたる所で起こっている事を伝えています。

 そんな悲しいニュースを見ていると、人間の無力さやエゴイズムを目の前に突き付けられているようで、とても複雑な心境になります。

 

 有事の際に『付和雷同した民衆』ほど恐ろしい物はないという事は、過去の歴史が証明しています。

 

 一人一人が、冷静に状況を把握して、周りを思いやり、科学的な裏付けを持って行動していかなければなりません。

 

 どうか皆さまにおかれましては、くれぐれも感染をなさいませぬように、細心の注意を払って、お過ごしお暮し頂けるように願っております。

 

 ちょっと不謹慎かもしれませんが、こんな時はどこにも行かずに『愛機のメンテナンス』に没頭するのが、最高の時間の使い方かもしれませんね。

 

                                   管理人

 

2020年3月末現在 全走行距離 243,003km

(3月走行距離 2,213km 燃費 54.37km/ ℓ )

月まであと 141,397km

 

 

 

カブ吉くん メンテナンス(オイル編)その二

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 『カブ吉くんメンテンス(オイル編)その一』という記事を書いてから、約一年が経過しました。その後、カブ吉くんの状況は一体どのように変化をして来ているのでしょうか?

 一ヶ月に一度アップさせて頂いている『カブ吉くん近況報告』の中でもたまに触れる事はあるのですが、今回は『(オイル編)その二』と言う事で、再びカブ吉くんのエンジンオイルの話しを中心にお伝えしたいと思います。

 

 まず最初に、ジョニーさんがカブ吉くんのマフラーから少量の白煙が出ている事に気が付いたのは、ちょうど一年前の2019年3月14日の事でした。

 その日、ジョニーさんとカブ吉くんは、国道464号線を千葉ニュータウン方面に向かって快調に走っておりました。

 この国道464号線の北総線と並行して走る片側二車線区間は、路面の状態はあまり良くありませんが、法定速度での走行が可能な区間となります。

 当然、ここに至るまでの国道464号線が、40km/h制限の片側一車線の道路なので、この片側二車線の法定速度区間を走り始めた運転手さん達は、一様に元気に走行されるのが常であります。ジョニーさんとカブ吉くんも、この例外ではありません。

 一気にペースアップをして走り始めたジョニーさんとカブ吉くんは、西白井駅の交差点をタイミング良くノンストップで通過して行きます。しかし、次の白井駅の交差点では今度は逆にタイミングが合わず、赤信号に引っ掛かり停車する事となりました。

 その時です! ジョニーさんは、何となく『オイルが焼けるような臭い』を感じたのです。周りを見渡したのですが、そんな煙を吹いているような車両は見当たりません。

 もしやと思い、カブ吉くんのマフラーを見ながらスロットルを吹かしてみると、そこに悲しい事に『薄く白い煙り』が出ているのを見てしまったのです。

 カブ吉くんのエンジンオイルは、その晩に吉村さんのお店で鉱物油である『ウルトラG1 10w-30』から、部分化学合成油の『ウルトラG2 10w-40』に変更されました。

 

 ジョニーさんと吉村さんは、マフラーからの煙が確認された当初は『ピストンリングの消耗によるオイル上り』ではないかと予想されていたので、この時期としては粘度の高い『G2 10w-40』への変更は間違いではありません。これは、低年式車でマフラーから煙りが出始めた車両には、普通によく使われる手法です。

 実際、その粘度の高いオイルと交換した結果として、一時的にではありますがカブ吉くんのマフラーからの排煙は抑える事が出来るようになりました。

 しかし、4月も半ばを過ぎて気温が上がり始めると、G1オイル(10w-30)を使用していた時ほどではありませんが、やはりマフラーからの排煙が気になるようになってきたのです。

 当然、そうなるとエンジンオイルの量も少しずつ減って行きます。1500kmくらいを走行して、約100~150ccを補給するような状態です。

 そんな状況の中、その時点ではまだ行けるかどうかはっきりとしていませんでしたが、一応ジョニーさんの楽しみにしているゴールデンウイークの『宿泊ツーリング』の時期が近づいて来ました。

 でも、実際のところ、その時のジョニーさんは少し複雑な心境だったようです。それは、『もし、ツーリングに行けるとしても、こういう問題を抱えたままの状態で、オイル量をいつも気にしながら走るっていうのは、あんまり楽しい事じゃないよなぁ……』という気持ちを、ジョニーさん自身が拭い去る事が出来なかったからです。

 まぁ、いずれにしても実際に行くとなったら、どこでもすぐに補給が出来るように1リットル缶のエンジンオイルを1本持って行けばいいだけの事なので、そんなに大きな問題がある訳ではないのですが……。

 

 そして、結局のところ、昨年のゴールデンウイークは、最終的にジョニーさんの仕事の調整がつかずに『宿泊ツーリング』を実行する事は叶いませんでした。

 それ以降も、ツーリングに関しては距離にして300kmくらいの日帰りツーリングに数度行ったくらいで、カブ吉くんの年間走行距離もいつもよりちょっと少なめの約2万2千キロ強で一年の走行を終える事となりました。

 そのような理由から市街地の走行が主体となった2019年のカブ吉くんですが、5月以降の気温が上昇してくる時期のエンジンオイル補給は、やはり1500km走行を目途に、100~150ccの補給を確実に実施するような状況でございました。

 しかし、10月以降の気温が下がる時期になってくると、少し状況が変化してきます。エンジンオイル消費量も微妙に減り、50~100ccのオイルを補給をしたり、しなかったりの感じに変わって来たのです。

 燃費については、さすがに粘度の高い10w-40のエンジンオイルを年間通して使用しているので、例年に比較すると約1km/ ℓ 程悪くなっていますが、それは当然の結果であり、何も問題はありません。しかし、燃費以外の部分では、オイルが少量減る事を除けば、エンジンの調子が特段悪いと感じるような部分は全くありませんでした。

 

 

 少し話しは変わりますが、カブ吉くんには一年に一回、吉村さんのお店主催で開く走行会があるので、クローズドコースを走る機会があります。

 ジョニーさんは、オフィシャル側のお手伝いをしているので、フルに走れるという事ではないのですが、ちょっとした空き時間にカブ吉くんをコースに引っ張り出して、『最高速チャレンジ』などをして遊んでおります。

 ジョニーさんとしては、『決して俺は、そんな事がやりたい訳ではない』と、いつも口では言っているのですが、コースに出ていくジョニーさんは満面の笑みです。

 そして、その『最高速チャレンジ』は、その時点でのカブ吉くんの性能確認をするという意味で、過去に四回ほど実施されています。

 最初は2011年の9月で、カブ吉くんの走行距離がちょうど3万キロくらいの時でした。

 カブ吉くんには、ウインドシールドとビジネスボックスが付いているので、前傾姿勢などはとれません。ジョニーさんは、両腋をぐっと締めて身体を出来るだけ小さくしてウインドシールドに接近したポジションをとります。

 コースのストレートは、勾配もなくちょうどいい長さを持っています。最終コーナーを3速で立ち上がったジョニーさんは、そのままスピードメータ内に表示された3速ギヤ上限の80km/hまで引っ張ります。その時のエンジンの回転数は、約8800回転になります。そして、一瞬で4速にシフトアップした後もジョニーさんは姿勢を崩さずにフルスロットルを続けます。

 ジョニーさんは、ヘルメットのシールド越しに、するすると上がり続けるスピードメータの赤い針と、コース路面とを交互に見続けます。そして、その赤い針は90km/hの表示を超えてもそのまま上がり続け、ついには100km/hの表示を少し超えたあたりでピタリと止まります。その時点で、エンジン回転が抑制されているようなフィーリングはありません。

『こんなもんかねぇ~。でも、まぁ、これで十分かなぁ~』などとジョニーさんは呟いたあと、1コーナーに向けて身体を起こしブレーキングを開始していきます。

 

 走行を終えたジョニーさんは、当時、吉村さんとこんな会話をしていました。

 

『最高速は、メーター読みで102km/hくらいかなぁ~。80km/h越えてからも、ストレスなくするすると伸びていったね』ジョニーさんは笑顔で吉村さんに報告します。

 

『お~、そうか~。見ててもスムーズに立ち上がって、加速して行くのが分かったよ。カブ吉はエンジンの慣らしもちゃんとやってあるし、持ってる性能はちゃんと引き出せているみてぇだな。スーパーカブで100km/h表示のメータ振り切れば、何の文句もねぇだろう』吉村さんは上機嫌で、ジョニーさんに返事をします。

 

 その後もカブ吉くんの『最高速チャレンジ』は、2014年の約10万1千キロ時、2018年の約20万6千キロ時、2019年の約23万キロ時と実施されています。

 そして、その結果はすべて同じなのです。カブ吉くんは20万キロを超えた現在でも、100km/hスケールのメータを振り切るだけの実力を持ち続けています。

 

 それでは、ここで第二回目の『最高速チャレンジ』の時にあった、少し面白いエピソードをご紹介いたしましょう。

 

 それは、カブ吉くんが10万1千キロを過ぎたあたりで実施した『第二回最高速チャレンジ』の時の事でした。

 その時のカブ吉くんのエンジンの調子は、不思議な事に『第一回最高速チャレンジ』の約3万キロ走行の時に比べても、なんだかそれまでの硬さが取れていて、ジョニーさんにはとても状態がいいように感じられていたのです。

 カブ吉くんのエンジンは、高回転を多用する小排気量エンジンでありながら、その他のエンジンと比較すると、ちょっと変わったエンジンなのかもしれません。

 通常のエンジンなら、慣らし運転も終わって1万キロくらいが一番調子がいいはずなのですが、カブ吉くんに載っているエンジンからは少し違った印象を受ける事になります。

 何故なら、明らかに1万キロの時より、3万キロの時の方が調子がいいと感じたからです。そして、更に3万キロよりも、6万キロを超えたあたりからのほうが、本当にエンジンの角が取れて軽やかに回転しているフィーリングが伝わって来るのです。

 そんな理由から、ジョニーさんは10万キロを超えたカブ吉くんの『最高速チャレンジ』が一体どうなるのか、結構期待をしながら、大いに楽しみにしていたのです。

 

 そして、この『第二回最高速チャレンジ』の状況は次の通りとなります。

 

 ジョニーさんは、前回と同様にヘルメットのシールド越しに、するすると上がり続けるスピードメータの赤い針と、コース路面とを交互に見続けています。そして、その赤い針の上がるスピードは、90km/hを超えても明らかに前回より早い動きで上昇して行きます。

 これはひょっとしたら、前回を上回る110km/hくらいまで行くのではないかとジョニーさんが考えた瞬間に、その赤い針は、前回と同様に再び102km/hのあたりでピタリと止まってしまいました。そして、この時もエンジンの回転が抑制されているようなフィーリングはありませんでした。

 

 走行を終えたジョニーさんは、吉村さんのところに戻って来て報告をします。

 

『今回はエンジンの調子も良かったし、コーナーから立ち上がった後のスピードの乗りも前より良かったんで、こりゃあひょっとしたら前回を上回る記録がでるかなぁと思ったら、なんか変なんだよな……。スピードメータの針は、前回と同じくらいのところでピタッと止まっちゃってさぁ……。エンジンの回転自体は、詰まっているような感じは全然しないんだけどなぁ~』

ジョニーさんは、若干不満げに吉村さんに報告をします。

 

それを受けた吉村さんは、笑いを堪えながらジョニーさんに返事をします。

『ジョニー、俺はお前の感覚は間違っていないと思うぞ。きっと、前回よりも今回の方が本当に速かったんじゃねぇのかな~。だから、ジョニー、カブ吉のスピードメータをもう一度ようく見てみな』

 

そう言われたジョニーさんは、怪訝な顔をしながら今一度カブ吉くんのスピードメータを覗き込みます。そして、数秒後にジョニーさんは素っ頓狂な声を上げます。

『なんだこれ~?! 100km/hちょっと超えたところに、黒いストッパーがあるじゃん! これじゃ針止まっちゃうよな~』ジョニーさんは苦笑いです。

 

 この時期は、現在と違って、まだジョニーさんの視力に若干問題があった時期なので、こんな面白いエピソードが生まれて来たのです。

 

 今回、何故こんな話しを長々とさせて頂いたのかというと、現在24万キロを超えているカブ吉くんの性能自体には、それ程大きなダウンは感じられないという事を知って頂きたかったからです。

 一年前にカブ吉くんが煙を吹きだした時は、間違いなく性能低下につながるピストンリングの消耗による『オイル上り』だろうという予想だったのですが、『2019年9月近況報告』にも書いた通り、現在ではたぶん排気バルブのステムシール不良からの『オイル下がり』という見解に変わっています。そうでなければ、もっともっと加速性能も、燃費もダウンしていておかしくないはずなのです。

 何故、『たぶん』なのかという理由は、単純明快です。エンジンを未だにバラしていないので、本当の各パーツの消耗具合や状況は分からないと言う事です。

 じゃあ、どうしてそれを分からないままにしておくのかというと、その一番の理由は、ジョニーさんも吉村さんも、せっかく調子の良いカブ吉くんのエンジンをわざわざ開けたくないという思いがあるからです。

 だから、すぐに手をくだす事無く、一年間ずうっとオイルの減り方や補給のタイミングも含めて、いろんな事を観察して来たのです。

 今後は、この状態のままで、頻繁にエンジンオイルを補給することなく、どこまで普通に乗って行けるのかを確認していく予定でいます。あまり、補給頻度が多くなってしまうなら、その時は修理もしなければならないと思いますが、もうしばらくは『スーパーカブ耐久チャレンジ』は、このままで進めていきたいと考えておりますので、宜しくお願い致します。

―― 2021年5月 26万8千キロでバルブステムシールを交換致しました ――

 

 『スーパーカブ』に使用するエンジンオイルに関しては、このブログ的に考えれば鉱物油の『ウルトラG1 10w-30』か、部分化学合成油である『ウルトラG2 10w-40』のテストしか実施していないので、他に出て来る結論はありません。

 20万キロを超える現在まで、上記に記載した性能を維持しているのですから、この二つのエンジンオイルを使用するかぎり、何も問題はないと管理人は考えています。

 最も大切な事は、キチンと定期的にエンジンオイルを交換する事だと思います。

 それから、使用するエンジンオイルの分類は、『(オイル編)その一』にも書いてありますが、API規格で『SL規格』より上のものは、『スーパーカブ』には向かないと思いますので、お気をつけ下さい。

 理由は、『SM』及び『SN』規格のエンジンオイルに入っている添加物(主に環境特性に配慮したもの)は四輪車の排ガス対策用で、現時点での二輪車には不要なものだからというのが理由になります。

 2020年3月現在、実際に本田技研工業が販売している全ての二輪用4サイクルエンジンオイルは、それらが添加されていない『SL』規格となっています。

 あとは、取扱説明書に書いてある通り、『MA』で『10w-30』か『10w-40』であれば、問題はないと管理人は考えています。

 

※JA10型以降のスーパーカブでは、取扱説明書のエンジンオイルに関する項目の中から『外気温と粘度との関係』という記載がなくなっていて、『10w-40』が使用可能という表記もありません。この件については、また別の機会をつくってお話しをしたいと思います。

 

 それでは、今回も長々とお読み頂き、ありがとうございました。

 

 あなたの素敵な愛車に、良いエンジンオイルが見つかる事を祈っております。

 

                                    管理人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年2月 カブ吉くん 近況報告

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 1月末にバッテリーの突然死に見舞われたカブ吉くんですが、ジョニーさんと吉村さんの見事な対応によって、1日も休むことなく走り続ける事が出来ました。

 吉村さんのお店から数日間借りていた4アンペアのバッテリーは、容量こそJA07型スーパーカブの6アンペアに劣りますが、そんな事は一切関係ないようなとびっきりの元気さで、カブ吉くんに電気を供給してくれていました。

 その4アンペアのバッテリーは、いつもの国道246号線のアップダウンが続く区間でも、今まで以上にグイグイとカブ吉くんを上り坂で押し上げてくれます。

 

「……吉村さん、絶対このバッテリーに何か入れてんな……」

 

 ジョニーさんが、何やらまた訳の分からない事を言っていますが、バッテリーが元気だと、車やオートバイは本当に気持ちよく走ってくれる事を思い出させてくれます。

 従来からあった開放式のバッテリーと比較して、最後まで性能の低下が少ないと言われているVRLA(制御弁式)バッテリーですが、やはり長く使用しているとじわりじわりと性能低下は起こっているものなのですね~。

 

 その小さいながらも力持ちな4アンペアバッテリーの走りを数日楽しんでいたところに、ようやくカブ吉くんに搭載する新しいバッテリーが到着しました。

 

黄緑色の箱がカッコイイ 《 FTZ7S 》 です。

 

 あれ? 何だか微妙に違う気がしませんか? 以前に掲載した記事の中でジョニーさんは、

『最近何だかバッテリーが弱くなってきたような気がするが、次も純正の《YTZ7S》にする予定だ』

くらいの事を言っていたと思うのですが、気のせいでしょうか?

 

吉村さんがすかさず突っ込みます。

「ジョニーはいつも、『耐久性の確認の為には基本的には純正部品を使用する』って言ってたよなぁ~? それなのに、今回はどういう風の吹き回しでそうなっちまったんだ?」

 

「う~ん、別にそんな大層な理由がある訳じゃないんだけどね~。まぁ《YTZ7S》も2個使ってみて、それぞれ10万2千キロと13万6千キロ走ったからねぇ、今度はちょっとタイ製もいいかな~? なんて、ふと思ってさ~」歳の割には、相変わらず軽いノリのジョニーさんです。

 

「ほう~、古河電池の《FTZ7S》はタイ製なんだ~、まぁ最近は本当に海外生産の部品が増えたからなぁ。でも、カブ吉に純正で付いているGSユアサの《YTZ7S》は、いまでは結構珍しくなった日本製なんだよな。しかし、いろいろあり過ぎて、とても覚えてらんねぇな……。ちなみに、現行のJA44型スーパーカブについている純正バッテリーは、ベトナム製のGSユアサ《GTZ4V》だけど、ジョニー知ってたか?」吉村さんがニコリとしながら、ジョニーさんに伝えます。

 

「えぇ~、現行の4アンペアのバッテリーは、同じユアサでもベトナム製なんだ~? もう、何が何だか訳が分からないね~。でもさぁ、《FTZ7S》の話しに戻すけどさぁ、適当に選んでるみたいに見えるけど、俺は今回、カブ吉とバッテリーとの相性を真剣に考えた上で、あえて古河電池製のバッテリーを選択しているっていうのもあるんだよ」 ジョニーさんは、若干ドヤ顔気味で吉村さんに話します。

 

「そんな事言ってるけど、どうせジョニーの事だから、『カブ吉のエンジンはタイ製だからさ~、バッテリーも同じタイ製の方がしっくりいくかも~』くらいの事で決めたんじゃねぇのか~?」さらりと吉村さんは切り返します。

 

「・・・」 ジョニーさんは、何も言い返しません……。

 

 

 そんな二人のやりとりはおいといて、バッテリーが新しくなったカブ吉くんは、2月としてはとても暖かだった東京都心から多摩地域をはじめ、神奈川県の県央地域を含めて快調に走り回っておりました。 

 ちょうど距離が24万キロになったのもあり、それに合わせてエアクリーナエレメント、スパークプラグ、エンジンオイルの交換が行われ、1万キロ整備も同じタイミングで実施されました。

 通常であればスイングアーム関係の清掃と給脂に、ドライブスプロケット廻りの清掃が加わるくらいの感じなのですが、今回は何となく雰囲気が違います。と言うのも、カブ吉くんのバッテリートラブルが発生するタイミングと前後して、ジョニーさんが、

 

「吉村さ~ん、カブ吉のドライブチェーンがジャラジャラとうるさくって、もう我慢出来なくなってきた~」などと、結構ひんぱんに騒いでいたのです。

 

「そうしたらジョニー、とうとう前後スプロケットとチェーン一式交換だな~。いや~、長かったな~。でも、純正の420Dで良くここまで持ったもんだな、本当にびっくりしちゃうよ」吉村さんは、感心しきりです。

 

「ドライブチェーンはそんなに伸びてる訳じゃないから、使おうと思うんだったら、まだまだ使えると思うよ。たぶん、30万キロもいけるんじゃないかな……。でもさぁ、とにかくここのところジャラジャラと本当にうるさいんだ。加減速の時は気にならないんだけど、速度が一定になると、もうダメ~、我慢出来ない」ジョニーさんは、続けます。

「前後スプロケットは、まだまだ大丈夫なんだけど、どうせチェーン変えるなら、当たりの問題もあるから交換だね。それに、チェーンも今回は強化タイプに変更するしね」

 

 ジョニーさんは、何やらいろいろと考えていたようです。それを聞いた吉村さんが、今度は口を開きます。

 

「おっ、なんだ純正の420Dじゃないんだ。ジョニー、これで24万キロまで走って来たんだから、月まであと14万キロくらいなら純正でいいんじゃねぇのか~」

 

 吉村さんは、純正420Dを推してきます。しかし、ここでジョニーさんは、またとんでもない事を言い始めます。

 

「なに言ってるのよ吉村さ~ん。月まで行ったら、今度は地球に戻らなきゃだめでしょう? 38万4千キロの倍だから、約77万キロだとすると、強化タイプに今回替えたにしても、あともう一回どっかで替えないと地球には戻れないんだからね……」

 

吉村さんは、あんぐりと口を開けてジョニーさんを見つめていました。そんな吉村さんを見たジョニーさんは、更に言葉を続けます。

 

「そんな驚かなくたって大丈夫だよ、吉村さん。それが出来るとすれば、それは俺らの子供たちの世代だからさ~。とか……何とか……、まぁ、そんなふうに言ってはいるけど、本当に子供たちが親のやってる事に興味を持って『いいよ、やってみるよ』なんて簡単に言うかどうかも分からないしねぇ……、それにカブ吉にしたって、その時点で地球に戻るだけの力がはたして残っているのかどうか、こっちも分からないしなぁ……。いずれにしても、俺が出来る事は、目の前のカブ吉をしっかりとメンテナンスしてやって、毎日ちゃんと乗ってやる事だけしかないってことだわな~」

 

 ジョニーさんはそう言った後に、吉村さんに自分の考えていた部品の発注を始めました。

 そして、その新しく発注された部品たちは、数日後には吉村さんのお店経由でジョニーさんに届き、『24万キロ整備』の中で、今まで頑張って機能を続けてきた結果、消耗してしまった部品たちと交換されていきました。

 

 バッテリー、前後スプロケット、チェーン以外にも交換されたものは、三つあります。

 一つ目は、前から今一つ接触の悪かった『スタータスイッチ』です。バッテリーの不具合が出たタイミングで部品発注していたので、今回の『24万キロ整備』の中で交換となりました。

 ジョニーさんがカブ吉くんを始動する際のキックとスタータモータの割合は、大体半々くらいです。でも、普通のライダーだと、やはりセル始動が主流なのではないでしょうか?

 ジョニーさんは、走り始めてすぐに目的地に着いてしまう事が分かっている場合などは、ほとんどキックスタータを使ってエンジンを始動します。それ以外の30分以上の走行が可能な場合などは、比較的スタータスイッチを押してエンジンを始動している事が多いようです。

 何故、ジョニーさんはそんな風に始動方法を分けているのか考えてみると、『せっかくキックスタータが付いているのだから、少しでもそれを使って、カブ吉のバッテリーやスタータモータの負担を減らしてやろう』という、親心みたいなものなのかもしれません。

 しかし、それでも20万キロを超える距離を走って来ているので、スタータモータを使ってエンジン始動している回数は、相当な数になる筈です。そして、その回数と同じだけ間違いなくスタータスイッチも押されています。そのたびに、スタータリレーを働かせる為に微弱ではありますが接点に電流が流れます。

 新品のスイッチの接点は2mmくらいの高さがあるのですが、取り外された古いスタータスイッチの銀色の接点を見てみると、半分の1mmほどの高さしかありません。

 たまにジョニーさんがスイッチを押しても、うんともすんとも言わない時があったりしたので、当然、接触面も荒れているはずです。

 ジョニーさんは、そんなスタータスイッチを見つめながら、口では何も言いませんが、とても優しい眼差しで交換作業をしていきます。

 

 二つ目は、『ダンパラバー』になります。

 ジョニーさん的には、もう少し使えそうな気もしていたのですが、せっかく駆動系一式を交換するのですから、何だか切ない話しですが、これも変えておかないと、他を変えた効果が分からなくなると言う事での交換です。

 現在まで使っていた『ダンパラバー』は、11万3千キロ走行時に交換したものなので、12万7千キロを使用した事になります。

 新車から付いていた部品を上回る距離を走っている割には、シフトチェンジ時のショックも、まだまだうまく吸収してくれていたので、ジョニーさんは何か申し訳ない気持ちになってしまいます。

 

 そして、最後の三つ目は『リヤ・ブレーキカム』です。

 この部品は、前回リヤタイヤを交換した後に発注した部品なので、去年の5月にはもうジョニーさん手元にありました。

 カブ吉くんのリヤブレーキシューは、現在リヤに履いているG556の交換とほぼ同じタイミングで交換されます。距離数にすると、おそらく2万キロから2万5千キロの間です。

 そんな感じで考えてみると、もう10SETくらいのリヤ・ブレーキシューを交換して来ているのかもしれません。また、前からたまにお話ししていますが、ジョニーさんはカブ吉くんのコントローラブルなリヤブレーキが、大のお気に入りです。今まで乗って来た、どのマシンのリヤブレーキよりもカブ吉くんのリヤブレーキのフィーリングが気に入っています。そうなると、当然スロットルでは出来ないちょっとしたスピードコントロールは、ほとんどがリヤブレーキで行われます。『ブレーキカム』大活躍です。

 ブレーキペダルを踏み込むと、ブレーキロッドを経由してこの『ブレーキカム』が回転し、ドラム内にある左右のブレーキシューを押し広げて、リヤに制動力が発生します。

 ジョニーさんは、何回か前のブレーキシューの交換のあたりから、リヤブレーキが割合直ぐに遊びが大きくなってしまう事が多くなったように感じていました。また、ウエアインジケータの示すブレーキシューの残量位置も、交換を指示する△印に近づいて行くまでの時間が、短くなったように感じていたのです。

 そして、前回のリヤタイヤ交換の時に、吉村さんが残念そうに言ったのです。

 

『失敗したなぁ、ブレーキカムを頼んでおけばよかったなぁ~。ブレーキシューとの接触面が、こんなに減ってるとは思わなかったな~。ジョニー、次回は交換するからな』

 

すると、ジョニーさんは

『やっぱり、そんなに減ってたんだ……。吉村さん、そうしたらブレーキカムだけ頼んでおいてよ。どうせ、どっかでリヤタイヤ外して整備したりする事があれば、その時に一緒にやっちゃうからさ』と、吉村さんにジョニーさんは言ったのです。

 

 そして、ようやく8か月を経過して、今回の交換となりました。決してそんなに難しい整備ではないのですが、最後にブレーキシューをはめるのが、かなりの力技になるので、ここ数年右手首を痛めているジョニーさんとっては、結構辛い整備となりました。

 しかし、交換後の走行チェックでは、そんな痛みも忘れるほどのフィーリングを味わう事が出来ました。

 『ブレーキカム』1本の交換で、あの踏力に応じたジワリとしたブレーキタッチが戻ってきたのです。これだから、整備はやめられません。そして、いつもの一言、

 

『こんな事なら、もっと早く交換しておけば良かったな~』ジョニーさんは、呟きました。

 

 それ以外の部分も、みんな大成功です。特にドライブチェーンは、全く音がしなくなりました。逆に、今まで気にならなかった、エンジンのカムチェーンの音の方が気になるくらいです。

 

 今月の近況報告は、なんだかメンテナンス記事のようになってしまいましたが、こういう時も、たまにはあるのだと思います。

 多少お金はかかりましたが、しょうがありません。その分、カブ吉くんがとてもいい状態になってくれたので、それが一番うれしいジョニーさんでした。

 

 俄然、走る事が気持ちよくなったジョニーさんとカブ吉くんですが、来月はいよいよカブ吉くんがマフラーから煙りを噴き始めて一年目になります。

 そっちの方の症状は、この時期は少し治まってはいるのですが、暖かくなってくるとまた再発する恐れがあります。

 そこら辺の兼ね合いの部分はありますが、こんなに駆動系の状態のいいカブ吉くんも、大変久しぶりでございます。

 近所の庭に植えられた梅たちも満開になり、気候もだいぶ良くなってきたタイミングでもありますので、ひょっとすると来月辺りは3月にはめったに行く事のない『ツーリング』などに、ジョニーさんたちは出掛けて行く事があるかも知れません。

 

 それでは、皆さま本日も長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。

 

                                   管理人

 

2020年2月末現在 全走行距離 240,790km

(2月走行距離 2,098km 燃費 53.44km/ ℓ 

月まであと 143,610km