スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

2022年4月 カブ吉くん 近況報告

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 4月前半のカブ吉くんの状況は、ジョニーさんが21年度末の繁忙期の忙しさを引きずっていた事もあって、第二週目までは都区内を中心とした走行が続いていました。

 その後は、神奈川県北部エリアを若干走行する機会もあったようですが、それでも結果的にはあまり走行距離を伸ばす事が出来なかったようです。

 ジョニーさん自身も、先月末の堀江謙一氏の素晴らしいニュースに一時的には励まされたものの、どうにも繁忙期の疲労が残っているようで、積極的に夜走りに行くような元気はみられませんでした。

 

 そんな状況の中ではございますが、カブ吉くんの4月のほぼ恒例行事であるリヤタイヤの交換と、それに併せてリヤブレーキシューの交換が、4月15日の金曜日に吉村さんのお店で実施されました。

 リヤタイヤは13本目の交換で、銘柄はいつものBSエクセドラG556です。今回の交換までの走行距離は約2万3千キロで、タイヤのスリップサインがちょうど出かかったところでした。

 リヤブレーキシューについては11回目の交換で、純正のブレーキシューが使用されます。ジョニーさんの乗り方だと、こちらもちょうど一年に一回の交換ペースになります。それ以外にも、吉村さんはブレーキパネルからブレーキカムを取り外して、清掃及び給脂をしながらブレーキシューとの当たり面を確認したり、ホイールベアリングの状態やブレーキドラムの内径等の確認も同時に実施します。結果は、このままロングツーリングに出掛けても全く問題がない程の、どちらも良好な状態でした。

 特にブレーキドラムの内径については、段付き摩耗もほぼ発生しておらず、このまま純正ブレーキシューを使用していくのであれば、月まで走るあいだに交換は考えなくても大丈夫な状態にあるようです。

 

「ジョニー、毎年この時期にタイヤを入れ替えるのも恒例になっちまったけど、今年はどうするのか決めたのか? 一応、政府としては『行動制限はしない』っていう方針みたいだけどな……」

 

「そうなんだよね……、カブ吉の調子も数年ぶりに心配がなくなってるし、行きたいのは山々なんだけどさ……。でも、2日に外せない仕事が急に入って来ちゃったし、コロナも地方によっちゃ増え始めてるところが結構出て来ちゃってるみたいだからね……。いろいろ考えたんだけど、とりあえずロングはないかな……」

 

 どうやら、この二人の会話を聞いている限りでは、2018年以来のジョニーさんとカブ吉くんのロングツーリングは、残念ながら今年も実施はなさそうです。

 エンジンオイルの消耗を考えずに走れる事を、とても喜んでいたジョニーさんとカブ吉くんですが、こればっかりはしょうがありません。引き続き、もう少しのあいだ感染対策を実行しながら、宿泊を伴わない近い所でのツーリングを楽しんで頂きたいと管理人は思います。

 

 リヤタイヤの交換とブレーキシューの交換を実施した翌日、ジョニーさんとカブ吉くんはそれらの慣らしも兼ねて、今年になってから初めての忍野へ『うどんと蕎麦の買い出しツーリング』に出掛けて行きました。

 その道中の道志村山中湖村の境にある山伏トンネル手前の登り坂――カブ吉くんのエンジン性能のバロメーターとも言われています――を、シリンダーとピストン等の交換により往年の力を取り戻したかのようなカブ吉くんは、一体どんな風に登っていけるのかというのも、実に興味津々であります。

 

 ジョニーさんとカブ吉くんは、いつもの国道413号線(道志みち)を山中湖に向けて下り込んで行きます。交通量は、土曜日の割には比較的すいていたので、多くの四輪車たちにペースを乱される事無く、二人は快調に走行を続けています。

 道志の村役場を過ぎ、昔はよく四輪のラリー競技のコースとして使われた道坂峠に向かう県道24号線との交差点を過ぎると、週末はいつも大混雑の『道の駅どうし』が左手に見えて来ます。

 この日もジョニーさんとカブ吉くんの前を走っていたほとんどの車両たちは、この『道の駅どうし』に入っていきます。

 結局、道の駅に入らずにジョニーさんとカブ吉くんの前を走り続けているのは、ブルーのカラーリングが綺麗なインプレッサWRXとホンダNC750Xの2台だけになりました。

 ジョニーさんとしては、ここで目の前にのんびりドライブの四輪車などがいたりすると、非常に憂鬱な気持ちになってしまうのですが、今日はそんな気持ちにならないで済みそうな予感がしておりました。

 そして、その予感は見事に的中します。2~3分も走ると案の定目の前にいた2台は、もうジョニーさんの視界にほとんど入らないくらいの遠い所を、素晴らしいペースで走行されているのでした。今日は、腰上を交換してから初めての登坂となりますので、特に坂のアプローチにかけてのペースを乱されたくなかったジョニーさんにとっては、最高の状況となりました。

 そして、いよいよカブ吉くんは一本目の登り坂に差し掛かります。ジョニーさんは、坂の手前のスピード調整を完璧にこなし、カブ吉くんに不必要なスロットル操作をしなくて済む状態で登り坂にアプローチさせていきます。

 

「おっ! カブ吉やっぱり変わったな。スロットルをそんなに開けてやらなくても、すいすいと登っていくようになったじゃん」 

 

ジョニーさんが、口もとを緩めながら呟きます。実際にカブ吉くんは、ジョニーさんがスロットルをほんのちょっと開けるだけでも、制限速度を十分に上回る速度域まで入っていこうとする力を見せるようになりました。

 

どうやら一本目は合格点のようです。さあ、いよいよ次は肝心の二本目の登り坂です。

 

 

―― その日の夜、吉村さんのお店 ――

 

「で、二本目はどうだったんだ?」

 

一本目の登り坂の上出来なフィーリングをジョニーさんから聞いた吉村さんは、身を乗り出しながら二本目の様子を尋ねます。

 

「……それがねぇ~、なんだか今いちなんだよな……。去年の12月みたいに失速はしなかったんだけど、スピードを維持するので精一杯って感じでさ~、昔に吉村さんに話した事があったと思うけど、水(富士山の湧水)を取りに行ってた新車の時の感じに近いっていうのかな……」

 

「そういえば、カブ吉がまだ新車だった時、ジョニーは『まだエンジンの回り方に硬さっていうか重さが残ってる感じがする』とか何とか言ってたな……。やっぱり、シリンダーとピストンを交換するって事は、そういう事なんだな……。でも、そうしたらジョニー、また完全にあたりが付いてきたら、カブ吉はぐいぐい坂を登り始めるって事じゃねぇのか?」

 

「そうねぇ……、そうかもしれないね。まぁ、確かに前回もここの坂をぐいぐい登り始めたのは、カブ吉のメーターが3万キロ過ぎてからだったもんね。もう少し、様子見だね……」

 

 何だか現時点ではあまりすっきりとしない結論になってしまったようですが、カブ吉くんのエンジンの力強さは間違いなく戻っているので、もう暫くのあいだ暖かく見守って頂ければ幸いでございます。

 

 それから、今月は珍しい部品の交換がありました。ギヤシフトペダルです。

 これは吉村さんに聞いても、転倒や事故以外で交換をした事は、あまり記憶にないという部品でございます。

 実は、カブ吉くんのギヤシフトペダルは、2019年頃からガタつきが出始めていて、そのガタつきが出るとジョニーさんはカブ吉くんのギヤシフトペダルを、ギヤシフトスピンドルの手前側(エンジンとは反対側の事です)にぐいっと寄せながらボルトを締め付けるという、応急修理的な対応を今まで続けていたのですが、とうとうそのやり方ではダメになったという事です。

 今月になってからのギヤシフトペダルは、締め付けても締め付けてもすぐガタが出てしまう状態が続いていました。今回の買い出しツーリングに出掛ける朝も、ジョニーさんはお店に寄って吉村さんに締めて貰ったのですが、やっぱり帰って来た時にはガタつきがしっかり出ていました。

 その日の朝、吉村さんは取り外したギヤシフトペダルの取り付け部(ギヤシフトスピンドルのスプラインにしっかりと噛み込むように、こちら側にも細かいスプラインが加工されています)に懐中電灯を当てながら、スプラインの状態を確認しています。

 

「ジョニー、部品を見る限りじゃペダル側のスプラインが微妙に磨り減ってきてガタが出てるようだな……。 どうする? ペダルと締付ボルト取っとくか?」

 

「うん、吉村さん取っておいて。朝のうちに頼んでおけば、明日の午前中には入るものね。でも、実はスピンドル側だったっていう事は絶対ないよね?」

 

「ジョニーも心配性だな~。大丈夫だ、スピンドル側のスプラインは全く問題ない。クラッチ側まで貫通していて、交換するとなると大修理になるギヤシフトスピンドルという部品のスプラインが、交換の簡単なギヤシフトペダルのスプラインより耐久性が低いなどという設計をメーカーは絶対しない。心配するな」

 

吉村さんは、自信満々にジョニーさんに伝えます。

 

 翌日の夕方、ジョニーさんとカブ吉くんは吉村さんのお店に向かい、そこでギヤシフトペダルを交換しました。

 

「本当だ……。ただシフトペダルを取り換えて、軽くボルトを締め込んだだけなのに、ガタどころかピクリとも動かないじゃん……。吉村さん、本来はこの状態だったっていう事なんだよね」

 

「そうだな……。でも、俺も普通のスーパーカブのシフトペダルのスプラインが磨り減ってガタが出たなんて初めて見たな。やっぱりなんだかんだ20万キロを超える距離を走って来ると、いろいろな事が起こり始めて、面白いもんだな~。ひょっとしたら、これが耐久チャレンジの本当の醍醐味ってやつなのかも知れねえな~」

 

 もしも皆さまのスーパーカブに同様のトラブルが発生しましたら、早めの交換が宜しいかと思います。部品代は、カブ吉くん(JA07型)のタイプでも、3000円弱で済みましたから……。

 

 

 今月も近況報告をお読みいただき、大変ありがとうございました。

 

それでは、また来月お会いしましょう。

 

                                   管理人 

 

2022年4月末現在 全走行距離 291,622km

(4月走行距離 1,898km 月間平均燃費 60.14km/ℓ )

月まであと 92,778km