スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

2023年10月 カブ吉くん 近況報告

 皆さんこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 10月早々、ジョニーさんは吉村さんのお店に押しかけて、先月末の『中秋の名月ツーリング』の出来事に関して何やらぶつぶつと文句を言っているようです。

 

「それにしても、今回は僕ちゃんの可愛いお尻が痛くなっちゃって参っちゃったのよ……。何でなんだろうなぁ……。距離だって全部で330kmくらいだし、休憩にしたって、まあいつもと大体同じように50~60km走る度に一回は取ってたんだけどなぁ……」

 

「まあ、ジョニーのお尻が本当に可愛いかどうかまったく俺は知らねえけど、5月に小浜に箸を買いに行ったきり、6月以降は急に走らなくなっちまったからな……。やっぱり今までずっと毎日乗ってきたもんを、急に乗らなくなっちゃったせいもあるんじゃねえのか? きっと、その『可愛いお尻ちゃん』ってやつが、『ちゃんと毎日乗ってよ~』って、すねてソッポ向いちまったんじゃねえのか~」吉村さんが笑いを堪えながらジョニーさんに返事をしています。

 

「そんな事言ったって、もう毎日乗るようなそういう状況じゃなくなっちゃったんだから、しょうがないじゃない……。でも、かと言って今さら僕のプリティーなお尻を鍛えたりするのは絶対無理だからね……」ジョニーさんは、かたくなに言い放ちます。

 

「今度はプリティーか……。 お前は一体どういうお尻をしとるんじゃ? そうしたらジョニー、もういよいよアレをアレするしかないって事でいいのか?」吉村さんが、意味ありげにジョニーさんに問いかけます。

 

「おっ?! 出たね~。そりゃあ、もちろん吉村さんがアレをアレしていいって言ってくれるんなら、乗り役としては本当にありがたい限りだけどね~」

 

 この二人の、微妙に時事ネタを盛り込んだ会話はかなり怪しい雰囲気を醸し出していますが、なんとなくカブ吉くんのシート関連の話しをしている事は伝わってきます。

 

 カブ吉くんには、2010年に走り始めた時に吉村さんとジョニーさんの間で決めた『あるルール(約束)』があります。それは、出来るだけノーマルの状態(特に耐久性に影響を及ぼす部品は変更しない)で乗り続けるという事です。

 しかし、そうは言いながらもカブ吉くんには、リヤサスペンションやウインドシールド、ヘッドライト球などは純正品以外の部品が結構使われていたりします。

 それは、最終的にロングツーリング仕様に仕立てる上で、純正品ではどうにも役者不足であったり、その部品を使用してもマシンの耐久性が著しく向上したりしない事が確認出来ている『上記のルール』に合致したパーツであればOKという事であります。

 

 さて、ジョニーさんが『お尻が痛い!』といって騒いでいるカブ吉くんのシートに関する問題はどうなんでしょうか?

 2018年の本ブログ開設当初の記事をご覧になっている方はご存知かもしれませんが、実はカブ吉くんのシート問題は2010年7月に走り始めた頃からすでに話題になっていたのです。

 ジョニーさん曰く、『前に乗っていたセローと同じで、50キロくらい走るともうお尻が痛くなってくる』と、いう記載が(小説ー2)のなかにあります。

 まあ、基本はビジネスモデルなのだからしょうがないという思いはあるのですが、『それでも、いくらなんでもオフ車よりはマシだろう』という淡い期待は、すでにこの時点で見事に裏切られています。

 しかしながら、ジョニーさんは『座った時にシートに当たる身体の部分の違いもあるんじゃないのか?』などという事も考えながら、2011年はひたすら『カブ吉くんのシートに、自分のお尻がなんとか慣れればいいんだ』という思いで、随分と我慢をしながら乗っていたそうです。

 しかし、その考えは翌年の2012年5月に、1,740kmをカブ吉くんと4泊5日で走った『和歌山ツーリング』が終了した時点で、『これは、やっぱり何らかの手を打たないと厳しいかも知れないなあ』という考えに変わります。

 ジョニーさんは吉村さんと相談して、純正シートのシートカバーを利用したクッションの増量を試みます。これは、20mm厚の低反発ウレタンを、純正シートの座面の形状に加工した状態でシートの上にのせ、それにシートカバーを被せるというものです。

 そして、2013年の『東北ツーリング(4泊5日1,738km)』は、この低反発仕様でのテストとなりましたが、あまり良い結果が得られなかったので、2014年の『中国ツーリング(6泊7日2,709km)』の前に、クッション材の材質が低反発ウレタンから高弾性スポンジへの変更が行われています。また、それに伴ってクッションの厚みも増やす事が出来ないか検討がされたのですが、シートカバーが被せられなくなる為に、厚みに関しての変更はありませんでした。

 2015年にカブ吉くんとしては過去最高の3,835kmを走った『九州ツーリング』までは、この仕様でのテストが続いていました。しかし、この9泊10日のツーリングを終えたジョニーさんのお尻は、慢性的な痛みを伴いながら結構なダメージを受けていたようで、ツーリングの帰路はかなりの苦痛を感じながらのライディングとなっていたようです。

 この仕様は、2017年9月に再度変更がされています。クッションの材質が、硬めのウレタンチップスポンジ(厚みは20mmで変わらず)に変わりました。

 そして、この仕様で翌年の『四国西側ツーリング(2,610km)』、『東北太平洋沿岸ツーリング(2,169km)』、『羽黒山ツーリング(1,000km)』をこなしています。

 仕様としては、この仕様が一番良い感じではあったのですが、基本的にどの仕様も50km前後走るとお尻が痛くなってしまうという問題は、結果的にはあまり変わりませんでした。

 長年に渡り、3種類の材質の異なるクッション材を試してみましたが、このシートカバーを利用したやり方だと、結局大きな改善につなげる事は出来ませんでした。

 ジョニーさんと吉村さんの意見としては、『お尻を置く場所に自由度のない純正シートの小さな座面が一番の元凶』という事で、この時点では意見が一致しています。あとは、こまめに休憩を取りながら、お尻に痛みを溜めない方向でジョニーさんが何とかするしかないだろうという、どうにもやるせない状況に落ち着いていたのです。

 

 話しが少し前後しますが、2012年11月にJA10型クロスカブが発売され、そのインプレッションの中で『歴代のカブの中でも、シートの出来が非常にいい』という評価が、吉村さんとジョニーさんの間で話題になった事があります。

 

「ジョニー、今度出たクロスカブに付いてるシートは、長い距離乗ってもお尻が痛くならないって結構評判いいみたいだぞ」

たまたまオイル交換で店に来ていたジョニーさんに吉村さんが声を掛けます。

 

「えっ!? そうなんだ……、痛くならないんだ……。やっぱり、メーカーがツーリング用途まで視野に入れて設計すると、シートもそういう良いシートが付いてくるっちゅう事なのかね~。だけど、なんかいまいちシートの形が饅頭みたいで、俺の好みじゃないんだよな……」相変わらず口の悪いジョニーさんです。

 

「饅頭か……。確かに言われてみりゃなんだかぶ厚いしな、そんな感じもしなくはないな。まあ、07型のカブ吉と10型とはシートのヒンジの形状がかなり違うから、そもそもポン付けは出来ねえんだけどな……」吉村さんが答えます。

 

「あっ、やっぱりポン付けは無理なのね……。了~解~、いずれにしろ、カブ吉はもう少し純正シートをいじりながらいろいろやってみて、それでもどうしてもダメだったらまたその時考えるわ」

 

10年以上前の二人の会話は、概ねこんな感じだったと管理人は記憶しています。そして、二人の話しは再び冒頭の『アレをアレする』話しに戻って行くのです。

 

「吉村さん、それではいよいよ10年間封印していた最終兵器の導入をお願いしてもよろしいでしょうか?」ジョニーさんは、重々しく吉村さんに語り掛けます。

 

「相変わらず仰々しい奴だな……。それで、どっちにするんだ? JA10用にするのか、JA60用にするのか早く決めろ。今の時間だったら、まだ明日の部品の配達に間に合うからな」

 

吉村さんにせかされたジョニーさんは、現行のJA60型クロスカブ用のシートとその取付に必要と思われる部品類を頼みます。部品代は、全部で1万6千円ほどです。その内訳は、シート本体が約1万円でヒンジが3千円、その他取り付けに必要なラバーマウンティング、ボルトやカラーなどが約3千円となります。

 

 そして、翌日の午後から早速その部品類を使ってシート交換作業が始まります。しかし、これらのJA60用純正部品だけでは、シート前部が前下がりになってしまう為JA07型のカブ吉くんにはうまく付きません。ここから先は、吉村モータースの総力を挙げた特殊加工作業(ウソです。過去の整備でいらなくなったボルトやネジ類を入れているペール缶の中を漁って、丁度いい長さの延長ボルトを探すだけです。今回はスクーターに前カゴを付ける時に使用する延長ボルトを見つけて使いました)になります。

 

「おおっ~、なかなかいい出来じゃん! それにしても、やっぱりこのぶ厚いシートの存在感は凄いな……。これぞツーリングスペシャルって感じになったな」

 

ジョニーさんは、JA60用のシートが取り付けられたカブ吉くんの姿を見ながら、感嘆の声を上げています。

 

 取り付け後一度家に戻ったジョニーさんは、早速その日の晩にカブ吉くんといつもの夜走りコースにテスト走行に出掛けます。

 

 いつものように目白通りを少し上り込み、環七外回りに一度入ります。約10kmほどそのまま環七外回りを走り続け、JR在来線と東北他新幹線を過ぎた先の神谷陸橋を越えずに側道から北本通り(国道122号線)に入って行きます。そして、国道122号線が川口方面に進路を右に変える赤羽の交差点を直進すれば、もうそこからは環八通りの内回りとなります。

 ここからは延々と環八内回りを走って羽田空港まで行き、そこから湾岸線(国道357号線)を少し都心方向に戻り、大田市場から東京ゲートブリッジを一度経由してテレコムセンターのいつもの休憩場所まで一気に走ります。距離としては約80km弱で、2時間ほどの移動となります。

 今までですと、このくらいの距離を連続して走ると、お尻に軽い痛みが出てきていたりしたのですが、今回はそういう感覚はあまりなかったそうです。

 その後、レインボーブリッジを渡り、港区海岸3丁目を折り返し地点とし、再び大田市場、羽田空港と経由して環八外回りを走って自宅に戻ります。夜走りテスト走行の走行距離は、全部で約140km弱となります。

 テスト走行としては、ジョニーさんは上々の結果として吉村さんに報告をしておりました。

 

「ただ、夜走りは深夜帯の移動だから、時間としては4時間ぐらいしか乗ってないんだよね……。これが、今月末に予定している『十三夜ツーリング』みたいに、10時間で300km以上走った時にどうなるんだろうっていうのは、実際やってみないと分からないからね……」

 

「そうか……、やっぱり27日の十三夜は行く予定なんだな……。そうしたら、それが本番を想定したいいテストになりそうだな。ジョニーの場合、ロングに出ると大体1日に300~400kmくらいのペースで走るからな~。まあ、ジョニーの事だから大丈夫とは思うけど気を付けて行けよ、前の晩たしか徹夜のバイトが入ってるって言ってなかったっけ?」

 

「吉村さん、よく覚えてるね~。天気も気になるんだけど、実はそっちも結構気になっててさ~。まあ、無理しないで気を付けて行って来るわ」

 

 10月27日の19時30分に自宅を出発した『2023年十三夜ツーリング』は、途中に立ち寄った道の駅で偶然にも『がま口』を拾い、それを夜中に派出所に届けるという珍事も含んだ楽しいテスト走行となりました。

 帰路の鳴沢村付近では、気温は4.2℃まで下がりジョニーさんを震えさせていたようですが、逆にそのような状況が居眠り運転の抑制につながったのか、二人は無事に28日の5時半にテスト走行を終えて練馬に帰着しました。

 交換したJA60用シートに関しては、やはり長い時間乗っているとまったくお尻が痛くならない訳ではないようですが、それでも少し休憩を取ったあとは、再びライディングを始めても直ぐに痛みが出てしまうような事はなくなったそうです。それだけでも、このシートは価値があるのかもしれません。

 まだまだ来年の日本一周までは時間があるので、ジョニーさんは今後もテストを繰り返すつもりでいるようです。また、この件に関して有効な情報があればご報告させて頂きます。

 

 さあ、少し寒くなりましたが山々が綺麗に色付く季節となりました。防寒装備をしっかりと整えて、この季節ならではのライディングを心ゆくまでお楽しみください。

 

 それでは、また来月お会いしましょう。

                                    管理人

 

2023年10月末日現在 全走行距離 320,110km

(10月走行距離 1,592km 月間平均燃費 61.23km/ℓ )

月まであと 64,290km