スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

2022年3月 カブ吉くん 近況報告

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 一年の中で、この2月から3月という期間は、ジョニーさんにとって仕事がとんでもなく立て込む、一年で一番忙しい時期となります。そして、この時期のカブ吉くんは、ジョニーさんにとってこの猛烈に忙しい時期を乗り切るために、欠く事の出来ない大切な相棒となります。

 朝早くから夜遅くまで、東京都内だけにとどまらず、神奈川県、埼玉県、千葉県へと、ジョニーさんの移動はカブ吉くんによって支えられています。

 しかし、ここ数年のジョニーさんを見ていると、段々と年齢を重ねてきている事もあるのか、一日の中で午前中に一つの仕事を終えて、また午後から次の仕事に移らねばならない時などは、若い頃のような覇気がちょっとずつなくなって来ているような気が致します。

 管理人としては、ジョニーさんにはまだまだカブ吉くんの乗り役を務めて頂かないといけないので、もう暫くのあいだは頑張ってもらいたいのですが、やっぱり2020年の初頭から始まった新型コロナウイルスの関係で、大好きなロングツーリングに出掛けられなかったりしているという事も、若干のストレスとしてジョニーさんの中にあるのでしょうか?

 今月の21日を以って『まん延防止等重点措置』も解除になりましたので、今年は4年ぶりに往年の力を取り戻しつつあるカブ吉くんと共に連休に走りに行ってもらい、ツーリングから帰って来た時には、今までのように『いつも能天気なジョニーさん』に戻っていて欲しいと、管理人は切に思っております。

 まあ、本当にそのように出来るかどうかは、今後の新型コロナウイルスの感染状況次第というのが、実に悲しいところではありますが……。

 

 さあ、今月はなんだかジョニーさんの近況報告のような始まりかたになってしまいましたが、本題のカブ吉くんの近況報告に移りましょう。

 

 今月のカブ吉くんの整備状況は、フロントタイヤ交換及びフロントフォークのオイル交換が実施されています。タイヤの使用距離は、例年より少しだけ短い23,521kmでしたが、それでも交換時にはほぼ全周に渡りスリップサインが出ているような状態になっていました。

 2021年3月のフロントタイヤ交換時に、サスペンション関係のOリングやストッパリングを同時に交換していたので、今年は単純にタイヤ交換とフォークオイルの交換だけとなっています。

 

 3月3日、その日の仕事を少し早めに切り上げたジョニーさんは、吉村さんのお店にカブ吉くんを持ち込みます。

 ジョニーさんと吉村さんの間に二言三言の短い会話が交わされたあと、 作業の邪魔になる前カゴとフロントキャリヤを外されたカブ吉くんから、あっという間にフロントホイールが外されていきます。

 ブレーキパネルを片手に持った吉村さんは、スピードメータギアとスピードメータギヤピニオンの状態を確認しています。

 昨年はブレーキカムやダストシール、フェルトシールの交換を実施したフロントブレーキですが、今回はブレーキシューの残量と、ブレーキカムのグリスの状態を確認しただけで終了となりました。ホイールベアリングの状態も問題ありません。

 そこから古いタイヤを外して、新しいタイヤを組むまでは、ほんの10分ほどです。タイヤチューブとリムバンドは、再使用するのに何の問題のない良い状態でした。

 

 次はフロントフォークです。ステアリングステムに取り付けられた上下のマウントボルトを取り外し、フロントフォークが外されます。

 取り外したフロントフォークを持って、吉村さんはそれを油圧プレスにセットします。そして、慎重にスプリングシートを押し込みながら、ストッパリングを外していきます。

 スプリングシートが外されたフロントフォークから、吉村さんはフォークスプリングを抜き取ってそれをジョニーさんに渡します。そのフォークスプリングをジョニーさんがウエスで綺麗に拭いている間に、吉村さんはフロントフォークを何回か収縮させ、フォークオイルを抜き取っていきます。

 1年間、約2万3千キロ走行するあいだ動き続けてきたフォークオイルの色は、まだほんのりとイチゴ色が残っている感じで、フォークオイルとしての機能を充分に残している状態です。

 ジョニーさんはその間に、いつものようにコンベックスを使ってフォークスプリングの自由長の測定をします。結果は約315mmで、前年とまったく変化がありません。

 このフォークスプリング自由長の計測は、2015年12月のフロントタイヤ交換の時から始まりました。その時点でのカブ吉くんの走行距離は約13万3千キロで、フォークスプリング自由長は315mmだったというデータが残っています。

 新車時のフォークスプリング自由長は316.3mmなので、この時点で1.3mmほど縮んでいますが、それ以降は15万キロ以上走行しているにもかかわらず、ほとんど変化がないという事になります。フォークスプリングの耐久性に関しては、全く問題がないと判断をして良いと思います。

 フロントブレーキに関しては、前回ブレーキシューを交換したのが約16万7千キロなので、現在使用されているブレーキシューは、すでに12万2千キロ走っている事になります。ブレーキシューの残量を見る限り、次回のタイヤ交換時まで充分に持ちそうですが、一応その点を頭にいれながら、今後も様子を見ていきたいと思います。

 カブ吉くんのフロントフォークは、約28万キロを走行していますが、現在までオイル漏れ等の問題は発生していません。これも、昭和の時代からオートバイに乗り続けているジョニーさんにとっては、驚異的な出来事に思えるのです。オイルシール等の部品単体の材質や、製造工程における工作精度なども格段に向上しているのでしょうが、本当に驚くばかりです。

 あとは、吉村さんもよく言いますが、『毎日乗ってやることが、最高のメンテナンスなんだ』という、ごくごく当たり前の事も重要なポイントだと思います。日々業務に使用される車両や、通勤・通学に使われている車両たちは、当然それなりに手入れはされているのだと思いますが、概ね調子の良いものが多い印象があります。

 ジョニーさんは以前、作家の原田マハさんがおっしゃっていた『いいものを大切に長く使う事がファッショナブル』という言葉を聞いて、大いに納得した事があります。

 自分たちのまわりにある全てのもの、そして、使っている道具たちを大切にしていかなければいけないのだと思います。

 

 さあ、話しは変わりますが、3月27日に凄いニュースが飛び込んで来ました。

 あの堀江謙一(83歳)さんが、サンフランシシコから西宮を目指して、世界最高齢での単独無寄港太平洋横断のスタートを切ったのです。

 このニュースには、吉村さんやジョニーさんにも大きな驚きを与えました。特に吉村さんは、

 

太平洋ひとりぼっちかぁ……。俺がまだ小学生の時だったな~、とんでもないオッサンがいるって思った事を今でも思い出すなぁ……」

 

 今から60年まえの1962年5月12日、堀江謙一氏は単独無寄港太平洋横断を目指して、遥かかなたのサンフランシシコに向けて小型ヨット『マーメイド号(全長5.83m)』で西宮を出港します。そして、同年8月12日に94日間の航海を終えて、見事にサンフランシシコに入港したのです。

 吉村さんは『オッサン』と呼んでいますが、堀江謙一氏は当時23歳です。この頃の子供たちは、だいたい高校生から上の大人たちを、ほとんど『オッサン、オバサン』で一括りにしていたように思います。

 そして、ジョニーさんはジョニーさんで、また別の感想を持っていたようです。

 

「俺はまだ4歳だったから、あんまり記憶にないんだよな~。後からようやく石原裕次郎の映画や本で知った感じだもんな……。でも、83歳で本当に『これをやろう!』って考えて、実行できるってのはマジで凄いな。俺も、なんだか疲れたなんて言ってる場合じゃないな……」

 

 どうやら、ここのところ気力や体力が若干落ち気味なジョニーさんにとっては、ずいぶんと刺激となったようで、管理人としては嬉しい限りです。

 

 世界中のヨット乗りのあいだでは、同じ航海をするのにも、より小さなヨットで達成したヨットマンが尊敬され賞賛されるという事が事実としてあります。当然そこには、長い航海に必要な気象を解析する能力から操船技術、船にトラブルがあった時に修理対処する能力等、たった一人で全てをこなさなければいけない様々な要素が含まれるからに違いありません。『スモールボートのビッグセーラー』とは、本当によく言ったものです。

 海と陸の大きな違いはありますが、ジョニーさんがカブ吉くんと共に目指しているものも、実は結構それに似ていたりするのかもしれません。 もっとも、ジョニーさんは若い時に富士五湖の西湖のど真ん中で泳いでいて、足がつって溺れて死にそうになってからは水に近づかなくなってしまいましたが……。

 

 不意にジョニーさんが、何か思い付いたように吉村さんに話しかけます。

 

「吉村さん、堀江さんは23歳の時に西宮からサンフランシシコに行って、今度は83歳でサンフランシシコから西宮に戻るんだよね……。それって、俺もカブ吉と月までいったら、また地球に戻らなきゃいけないって事なのかな?」

 

 なんだかとても楽しそうな話しがジョニーさんの口から飛び出しました。まだまだ当分先の話しになると思いますが、これからは一体どういう展開になって行くのでしょうか?

 皆さんも楽しみにお待ちくださいませ。

                                    管理人

 

2022年3月末現在 全走行距離 289,724km

(3月走行距離 1,701km 月間平均燃費 58.39km/ℓ )

月まであと 94,676km