スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

カブ吉くん メンテナンス(22万キロ整備 詳細編)その一

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 前回『22万キロ整備』という記事をアップしましたが、スイングアーム関係の給脂とドライブスプロケット周りの話しで終わってしまいました。申し訳ございません。

 今日は、それ以外にどんな整備がされたのかと言う事をご説明させて頂きます。

実際の整備項目は、下記の通りとなっておりました。

 

 1.スイングアーム(ピボットブッシュ廻り)点検及び給脂

 2.ドライブスプロケット点検及び清掃

 3.前後タイヤ空気圧調整

 4.ブリーザドレン清掃

 5.ドライブチェーン給油及び点検

 6.フロントブレーキ遊び調整

 7.エンジンオイル量点検

 8.バッテリー点検

 9.ハンドルカバー防水処理

10.リヤバルブソケット交換

 

 今回の整備は、以上の10項目について実施致しました。項番1~2は、前回の記事で詳細をお伝えしたので、ここでは改めて内容を説明致しませんが、ご了承をお願い致します。項番3~4についても『日常メンテナンス』の項目なので、申し訳ありませんがこれも同様とさせて頂きます。

それでは、以下に項番5から項番10までの整備内容詳細を記載致しますので、宜しければお読みください。

 

5.ドライブチェーン給油及び点検

 ジョニーさんは、通常はドライブチェーンカバーの下側に付いている丸いゴム蓋を外して、そこからオイルを付けた歯ブラシで給油します。しかし、今回は調度ドライブスプロケットの点検清掃もあったので、ドライブチェーンカバーを全て外した整備となりました。

 まず最初は、『錆』等が発生していないかの目視点検です。ドライブ及びドリブンスプロケットの取付状態と歯の状態もここで確認します。問題がなければ、手で後輪を逆回転(エンジンを始動して、ギヤを入れた状態で整備をする事は厳禁です! スプロケットに巻き込まれて指が無くなります!)させながら、ドライブチェーンの中央部下側からウエスを当て、汚れを拭き取ります。

 そして次にドライブチェーンの遊びの確認です。きちんと油分を切らさずに給油が続けられているドライブチェーンは、そうそう伸びる事はありません。カブ吉くんのドライブチェーンも新車から20万キロ以上使われていますが、ドライブチェーンアジャスタの位置は、スイングアームに刻まれた目盛りで前から3番目(調整範囲の真ん中くらい)の辺りです。

 今回も若干遊びが多めではありましたが、ジョニーさんは『お酒はぬるめ、チェーンはゆるめ』と、昔から八代亜紀さんが言っている(言っていません!)教えの通り、調整は次回以降と言う事になりました。

 ドライブチェーンの遊び調整に関しては、ベテランの方達はともかくとして、ビギナーの方にとっては結構やっかいな整備になるのかもしれません。

 ネット上に紹介されている調整方法を見ても、『これでは多分うまく調整が出来ないのでは?』と思われるような記事や動画が散見されます。

 この整備のポイントとなる部分は何処かというと、『アクスルナットを締める時に、きちんとアクスルシャフトを固定しておかなければいけない』という事です。

 その固定方法としては、ドライブチェーンとドリブンスプロケットの間にウエスを噛ませたり、リヤブレーキを利かせておいたりするやり方等がありますが、そこにキチンと触れている整備記事や動画は非常に少ないようです。

 それをやらないと、アクスルナットを締め込んだ時に、アクスルシャフトが動いてしまい、せっかく遊び調整をしたはずなのに、ゆるくなったり張り過ぎてしまったりという具合に、遊びが変化してしまいます。

 記事によっては、『その動いてしまう事を見越して、あらかじめゆるめに調整する』などというものまであるようなので、ビギナーの方達は、頭の中でそれを理解して実施するのは大変だと思います。

 また、そのような『動いてしまう事を見越して、あらかじめゆるめに調整する』などという曖昧なやり方は、『整備』とは言いません。

 チェーンアジャスタの使い方に関しても、あくまでリヤアクスルで遊び調整をした後の補助的な意味合いで使用するというような記述もあったりします。

 しかし、それは間違っています。ドライブチェーンの遊びを調整するのは、チェーンアジャスタのアジャストナット(12mm)を締め込んだり緩めたりして行います。チェーンアジャスタが主役です。決して脇役(補助的)ではありません。

 オートバイの整備をするには、『その部品がどんな意味があって付いているのか?』と言う事を、正しく理解している必要があります。分からない時でも、あきらめずに少し考えてみるといいかも知れません。

 60年間造り続けられている『スーパーカブ』に、無駄についてる部品は何一つありません。すべてに意味があります。もし、それで何かピンと来るものがあり、その部品の持つ機能がきちんと理解出来れば、こんなに楽しい事はありません。どんどんとオートバイが好きになって、そして面白くなっていくと思います。

 昨今、知りたい事がある時は、パソコンやスマートフォンを使って検索すれば、すぐにいろいろな情報が手に入ります。ただし、その得られた情報が本当に正しいものなのかどうかは分かりません。インターネット情報の宿命ではありますが、その情報の真偽をひとり一人がきちんと判断して利用するという事が、とても大切な事のように管理人は思います。

 

 話しが少し脱線してしまったので、整備情報に戻ります。ジョニーさんは、次にドライブチェーンの給油を始めます。

 ドライブチェーンカバーを外した時の給油の方法は、1リンク毎に内と外プレートの間とローラーと内プレートの間にオイルを点差しで給油します。そして、給油後に細いマイナスドライバーを使ってローラーを回転させオイルをなじませます。

 そんなやり方を新車から続けているので、カブ吉くんのドライブチェーンのリンク及びローラーで固着しているものはありません。

 随分丁寧で面倒な整備をしているように感じるかもしれませんが、ジョニーさんが言うには『ただでさえ少ないパワーしかないのだから、乗り手は少しでもその負担を軽くしてやらなければいけないと思うんだ』という事で、この整備方法に落ち着いているようです。

 それらが全て済んだ後、余分なオイルを拭き取って、ドライブチェーンカバーを取り付ければ終了となります。しかし、このドライブチェーンカバーの取り付けにもちょっとしたコツが必要です。カバー裏側のツメがきちんと溝に入り、上下のカバーが隙間なくきっちりと取り付けられていないといけません。表側から見ると綺麗に取り付けられているように見えても、裏側から見ると大きく上下に隙間が空いていたりするカブ達が結構多いのです。そんな取り付け方では、そこから水が入りせっかく給油したオイルもすぐに流れてしまって、ドライブチェーンカバーの意味がありません。細かい部分ですが、気を付けたいところです。

 

6.フロントブレーキ遊び調整

 この整備は、『フロントブレーキの遊びが多くなって来たな』と感じた時に、不定期に実施する整備です。ブレーキアームのアジャストナットを遊びに応じて、半回転から1回転締め込むだけの簡単なものです。何回転も締める事はありません。その際に注意しなければならないのは、ブレーキシューの引き摺りです。ディスクブレーキではないので、前を持ち上げてフロントホイールを回転させた時に、すぐに止まってしまうようではいけません。丁度いいところに調整して下さい。

 ライダーの乗り方にもよると思いますが、ジョニーさんのライディングはあまりフロントブレーキに負担を掛けない乗り方なので、調整も年に数回くらいの頻度です。

 現在使用しているブレーキシュー(純正)は、2個目になります。1個目のブレーキシューは、2010年7月から走り始めて、約7年後の2017年3月まで使用していました。その時点での距離は、167,000kmを走っていました。

『なんとか20万キロまで使えるかな~』などと、ジョニーさんは吉村さんと話していたのですが、さすがにそこまでは無理だったようです。

 それにしても、普通のオートバイでは考えられないくらいの使用距離なのは間違いありません。これは、前にもお話ししたことがあるような気がしますが、フロントブレーキをあまり酷使しないで済むスーパーカブ特有の前後の重量バランスのなせる業なのかも知れません。

 このリヤ荷重の豊富なJA07型スーパーカブのリヤブレーキは、ブレーキペダルに掛けた踏力と、リニアに立ち上がる制動力のフィーリングが絶妙なのです。

 だから、ジョニーさんは本当によくリヤブレーキを使います。特に渋滞の中、低速でノロノロと進んでいる時には、ジョニーさんはスロットルをわずかにに開きながら、よく利くリヤブレーキを微妙にコントロールして走行しています。免許試験の一本橋を渡る要領です。

 その反面と言ってはなんですが、ジョニーさんに気に入られて多用されるカブ吉くんのリヤブレーキシューの寿命はとても短くなってしまいます。だいたいリヤタイヤ交換毎に同時に交換されています。距離は、約25,000kmほどで使用限度となります。フロントと比べると六分の一以下しか持ちません。

 しかし、そんな使いやすいリヤブレーキを持ちながらも、やはり『ここ一発』という時に頼りになるのはフロントブレーキの制動力なのです。きちんと整備をして、いつでもその制動力が発揮出来るようにしておく事が必要です。

 

(その二)に続く