スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

2023年8月 カブ吉くん 近況報告

 皆さんこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 全世界で6000~8000万人の死者数を記録したといわれる第二次世界大戦終結してから、78回目の夏を迎えました。

 私たち人間は現在に至るまで、この人類史上比較なき惨禍を経験してもなお、同じ過ちを繰り返し続けています。

 2022年2月24日にロシアの侵攻により私たちに衝撃を与えたウクライナ紛争も、実は2014年から続いている紛争です。それ以外にも、1948年の独立時から未だに内戦が継続しているミャンマー(旧ビルマ連邦)や、1979年にソ連軍の軍事介入から紛争が本格化したアフガニスタン等、未だに終結を見ない複数の内戦や紛争が世界には存在しています。

 また、今から約50年前の1974年に戦争が終結しているベトナムでは、現在でも国土の約五分の一の面積にあたる560万ヘクタールの土地に、60万から80万トンの不発弾や地雷が残されていると言われています。

 戦後も、その不発弾や地雷によって4万2千人以上の方が命を落とし、10万人に迫る方々が負傷をしたり身体障害者となっていると伝えられています。

 そして、しっかりと認識しておかなければならない事は、そのベトナムの不発弾や地雷による被害は現在もまだ続いており、年間で1000人を超える方が亡くなり、その亡くなった方とほぼ同数の方々が負傷したり重い障害を持つようになっているという事です。また、その被害を受けている方々の中で、16歳以下の子供たちが占める割合が最も多かったという報道があるのもとても気になります。約50年前に終わったとされている戦争の被害がまだ続いているという現実に、心がぎゅっと締め付けられる思いが致します。

 島国である日本の中にいると、今一つピンとこないと思われるかもしれませんが、この国も78年前には枢軸国として戦争をし、軍人及び民間人を含め310万人以上(1963年日本政府発表)の尊い命を失っています。

 ジョニーさんが若かりし頃住んでいた武蔵野市では、中島飛行機武蔵製作所(主に零戦や隼のエンジンを生産していました。現在の武蔵野市役所を含むかなり広いエリアです)があった関係から、空の要塞と言われたB29による爆撃が行われており、その不発弾処理が頻繁に行われていたそうです。そして、その処理を実施する度に近隣の道路が通行止めになったり、住民が一時避難をしていたりしたそうです。

 戦後、随分と長い時間が経過してしまい、その歴史を私たちに語り継いでくれる方々も本当に少なくなってきてしまいました。毎年必ずやって来るこの8月という月は、そんな事柄に少しでも興味を持ち、私たちはこれから何を考えて、どのように生きて行けばいいのかを考えるとても良い機会になるのではないかと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか?

 

 敗戦後、日本の中での物資不足は戦中を上まわり、庶民の生活は一時困窮を極めます。特に食糧危機は深刻で、日本政府はGHQ(連合国総司令部)に食糧輸入の承認を求め、昭和21年2月に米軍の余剰食糧であった小麦粉がようやく日本に引き渡されたそうです(昭和22年までずれ込んだという話しもあります)。それを契機に世界の国々やユニセフ、国際NGO等から様々な援助が行われた結果、日本の食糧危機はなんとか回避する事が出来たと言われています。

 しかし、それで庶民の生活が一気に改善する訳ではなく、配給制度は機能せず、物資や食料の隠匿や横流しが横行し、闇市では数十倍の金額で販売されていたという話しもあります。

 物を運ぼうにも、庶民の中で自動車やオートバイを所有している人は、ほとんどいない時代です。自転車があればいい方です。そんな庶民の生活の助けに少しでもなればと、昭和27年5月に『ホンダ・カブ』が販売を開始します。これは自転車の後輪に後付けする小型ガソリンエンジンキットです。現在のスーパーカブのような、きちんとしたオートバイではありませんが、それでも庶民の生活の助けには十分役に立っていたようです。

 そして、現在に至るまで私たちが日頃愛用しているスーパーカブも、終戦後13年経過した8月(昭和33年8月です)に、小さな輸送機械としてこの世に登場します。

 そこから、このスーパーカブが60年以上にわたり活躍を続け、戦後の復興から庶民の生活を支えるだけでなく、現在では趣味としても大勢の方々にお楽しみ頂いている事を考えてみると、このスーパーカブというオートバイは、何という多様性を持ったオートバイなのだろうという思いがつくづくと致します。

 そして、カブ吉くんの活躍に興味を持って本ブログを訪れて頂いた方々が、人類がなかなか抜け出す事が出来ないこの戦争や紛争に関わる問題を、ほんの少しでも考えるきっかけとして頂けたら、こんなに素晴らしい事はないと管理人は考えております。

 

 さて、お待たせしました。カブ吉くん8月の近況報告と参りましょう。

 

 今月から晴れて(?)無職となったジョニーさんでありますが、7月下旬から親友の田中さんが体調を崩した事によってそのサポートに回ったり、自分の家での家事の分担が増えたり、6月に新しい家族になったポメラニアンの女の子の面倒をみたりと、何だかんだで結構大忙しのようです。

『俺はこんな事をする為に退職をした訳じゃな~い!』などとジョニーさんは口では言っていますが、本人はいつもニコニコしながら充分に楽しそうにやっているようです。

 しかし、その反面カブ吉くんと触れ合う時間は、このとんでもない暑さのせいもあって、先月程ではありませんがやはり大幅に減ってしまっています。

 8月の月間走行距離は、7月より140kmほど増えた942kmを記録しましたが、二ヶ月連続で1000kmを割ってしまいました。もちろん、ジョニーさんとカブ吉くんが走り始めてから初めての事となります。

 当然走る距離が減れば、日常メンテナンスの間隔も空くようになります。カブ吉くんが一ヶ月で概ね2000kmくらい走っている時は、ほぼ毎週ドライブチェーンの給油を主にして、空気圧やエンジンオイル量の点検、ブレーキ調整等のメンテナンスが実施されていましたが、7月以降は二週間に一度のメンテナンスとなっています。

 ジョニーさんとしては楽で良いのですが、ここで思いもよらぬ弊害が出て来ました。今までは毎日ジョニーさんの仕事のお供で走っていたカブ吉くんですが、家で待っている時間がとても増えたのです。ジョニーさんの家でのカブ吉くんの定位置は、乗用車を止めている駐車場の北側の空きスペースになります。駐車場の向きは南向きです。

 ジョニーさんは雨降りの時はきちんとカブ吉くんにカバーを掛けてあげるのですが、雨が降らない時には基本的にはカバーを掛けません。東京では7月から8月にかけてほとんど雨が降らなかったので、カブ吉くんにカバーが掛かっている時間は非常に少なかったと考えられます。

 8月25日金曜日、ジョニーさんは週末の夜走りに向けて今月二度目のメンテナンスをするために、カブ吉くんの脇に整備用の工具や油脂類を並べ始めます。

 ふとカブ吉くんのドライブチェーンカバーに目をやったジョニーさんは、その目を一瞬疑います。

 

「どうしたんだカブ吉? チェーンカバーぐにゃぐにゃじゃないか……」

 

ジョニーさんの目に映ったカブ吉くんのドライブチェーンカバーは、アッパカバーのタンデムステップ付近が大きく外側に膨らみ、同様にロアカバーも同じような場所がアッパーカバーより更に大きく膨らんでいます。

 

「もうここまで変形しちゃったら、どうしようもないな……」

 

そう力なく呟いたジョニーさんは、メンテナンスを始める前に吉村さんに電話を入れます。

 

「おはよう、吉村さん。カブ吉のチェーンカバーいよいよダメです。対策品の発注をお願いします」

 

「おっ、ジョニーか? とうとうダメになったか……。まあ、しょうがねえな、JA07型の数少ない欠点の一つだからな……。それにしたってジョニー、まる13年で30万も走れば十分に持った方だって考えればいいんじゃねえのか~?」吉村さんは慰めながら返事をします。

 

 実はカブ吉くんのドライブチェーンカバーは、随分前から上下の変形が進んでいたのです。ジョニーさんがカブ吉くんに乗って忙しく走りまわっていた頃は、一週間に一回は必ずメンテナンスを実施していたので、その時に多少変形していたりすれば、ジョニーさんはいろんな手を使ってそれをある程度問題がないくらいの形に修正をしていたのです。

 しかし、今回のドライブチェーンカバーの変形に関しては、ジョニーさんは一目見た瞬間にあきらめてしまいました。そのくらいひどい変形具合だったのです。

 原因は、おそらく夏の強烈な太陽光に含まれる紫外線だと考えられます。カブ吉くんはジョニーさんが乗らないと、駐車場でまったく動かずにまる一日その強烈な太陽光の紫外線にさらされる事になるのです。リヤフェンダの白化もそれが主な原因と考えられます。

 皆さんもよくご存じの通り、紫外線は合成樹脂を光反応によって分解したり劣化させたりする事が広く知られています。吉村さんも『JA07型の数少ない欠点』と言っていましたが、歴代のスーパーカブでドライブチェーンカバーに合成樹脂を使用いているのは、この型式だけなのです。カブ吉くんの次のモデルであるJA10型では、過去のモデルと同様に金属のドライブチェーンカバーに戻っています。

 注文した翌日に吉村さんのお店に届いた新しいドライブチェーンカバーを見てみると、アッパカバーは従来と同じものですが、ロアカバーはスイングアームに接する部分の内側と外側に金属の補強材が付いた対策品となっていました。

 カブ吉くんの場合、アッパカバーもかなり変形していたのでこれで本当に大丈夫なのか少し心配ではありますが、届いた部品には何も対策がされていなかったのでしょうがありません。あとは、使用しながら様子を見る事に致しましょう。

 また、ジョニーさんが少し面白い事に気が付いたので、これもご報告しておきます。

先ほども変形したドライブチェーンカバーと白化したリヤフェンダの話しをしましたが、この二つの部品の材質はPP(ポリプロピレン)なのですが、フロントフェンダやハンドルカバー、ボディカバー、サイドカバーなどの車体前部や中央部に使われている部品の材質はAES(アクリロニトリル/エチレンプロピレンジエン/スチレン)という耐候性に優れるものが使用されています。そして、これらの部品には変形や白化の現象は起きていません。

 一見すると同じ合成樹脂の部品なのですが、使用する場所によっていろいろな素材が使い分けられている事が分かります。ちなみに、レッグシールドはPP素材で出来ていますが、こちらはまだ変形などの問題は起きておりません。

 ドライブチェーンカバーの交換に関する詳しい内容は、また来月の報告の中でお伝えしたいと思います。

 

 それでは皆さん、十分に水分補給をしながらオートバイをお楽しみください。 

 

                                    管理人

2023年8月末現在 全走行距離 317,418km

(8月走行距離 942km 月間平均燃費 63.01km/ℓ )

月まであと 66,982km