スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

2021年7月 カブ吉くん 近況報告

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 この7月で、カブ吉くんとジョニーさんが走り始めてから11年が経過しました。ちょうど一年前の、まる10年を経過した時の近況報告の中では、外装関係の大きな劣化等は『それほどありません』というような報告内容だったかと思うのですが、今月はその外装に関していろいろな事例が出て来ましたので、改めてここに報告させて頂きたいと思います。

 

 カブ吉くんにはジョニーさんの寒がりも影響してか、一年のうち八か月くらいはハンドルカバーが装着されています。そして、そのハンドルカバーを脱着するタイミングで、あくまでもジョニーさんの気分次第ですが、夏支度整備とか冬支度整備というものが実施されます。

 例年、この7月に実施されるのは夏支度整備ですが、今年は気象庁の関東の梅雨明け発表と同時に実施されたのは、ハンドルカバーの取外しのみでした。

 通常行われていたそれ以外のアッパハンドルバーカバーを取り外しての、各ケーブル類への給脂や各種コネクター類の接続確認等の整備は、今年は同じタイミングで行われる事はなかったのです。

 それは、次のような理由によるものでした。

 カブ吉くんには、2010年の冬から外気温と時刻を知るための『FIZZサーモクロック』という小型で軽量な用品が、アッパハンドルバーカバーの左側の中間の辺りに取り付けられていました。

 しかし、去年の10月頃にこれがとうとう壊れてしまい、仕事で走る事の多いジョニーさんは時間が分からなくなってしまうと困るので、急遽『KOSO Mini3』という外気温、電圧、時計の三種類が表示できる用品を購入し、壊れてしまった『サーモクロック』とほぼ同じ位置に暫定的に強力両面テープで貼り付けてあったのです。

 以前取り付けていた『FIZZサーモクロック』は、電池式で温度センサーを内蔵しているタイプだったので、強力両面テープ(メーカーも両面テープでの取り付けを推奨しています)でアッパハンドルバーカバーに取り付けられていても、整備上何の不都合も起こらなかったのですが、今回購入した『KOSO Mini3』はそうではありません。今まで付いていた物より横幅が2センチほど大きく、きちんと配線を繋がなければいけないタイプなので、取付場所や配線の引き回しもキチンと考えて取り付けてやらないと、整備のたびに毎回とても面倒な事になってしまいます。

 この用品自体は、メインスイッチがオンの状態で常時バックライトが点灯しているので夜間の視認性も非常に良く、尚且つ電圧計まで装備されているのでジョニーさんは大変気に入っています。しかし、結局のところジョニーさんはこの用品の機能性を生かしながら、整備性を損なわない取付方法を、気象庁の梅雨明け発表までに思いつくことが出来なかったのです。

 そんな悩みを抱えながら、その週末にオイル交換をする為に吉村さんのお店に立ち寄った際に、その事を相談すると、

『グリップヒーターのスイッチステーを逆さまにして使えば、うまくいけるんじゃねぇのかなぁ~』

という、吉村さんのアイデアが出て来ます。

 その後は、『そのステーをどの形で使うのか?』、『どの部分をどんな角度で曲げるのか?』等々のやり取りをして、ようやくとこの『KOSO Mini3』の取付場所の目途が立ちました。やはり、餅は餅屋だったのです。ジョニーさんは、『もっと早く相談すればよかった……』と、一人でブツブツ言っておりましたが……。

 

 さあ、そんな訳でハンドルカバー取外しから一週間後の7月23日に、ようやくそれ以外の夏支度整備が実施される事になりました。

 まずはアッパハンドルバーカバーを取り外して夏支度整備をするための、各部品の取外しからです。

 フロントカバー、左右のバックミラー及びウインドシールドを外していきます。そして次に左右のウインカレンズの取外しです。

 

『あれっ!?』

 

左ウインカレンズのマウントスクリュを、ドライバーで緩めていたジョニーさんの手が止まります。右側ウインカレンズは何も問題がなかったのですが、外された左側のウインカレンズのマウントスクリュを締め込む樹脂部分を確認すると、ものの見事に割れています。

 この部分のスクリュは、ウインカレンズが回転して脱落しないようにするのが役目なので、それほど大きなトルクで締められているわけではありません。しかし、長年に渡る走行中の振動などのストレスが溜まり、破損したものと考えられます。ちなみに、右ウインカレンズも同じ箇所の破損で2~3年前に交換されています。

 ジョニーさんは、すぐに吉村さんのお店に電話を掛けます。

 

『もしもし、JA07型フロント左ウインカレンズの発注をお願いします』

 

 『おいおい、ジョニーか~? また、壊したのか?』

 

『人聞きの悪い事は言わないでください。もう、すでに壊れていました』

 

相変わらずの電話のやり取りをしながら部品発注を終えて、ジョニーさんは再び作業に戻ります。

 ここからはヘッドライトを取り外して、上下のハンドルバーカバーを繋いでいる6本のスクリュを緩めた後、コンビネーションメータの裏に繋がっているスピードメータケーブルを外してやれば、アッパハンドルバーカバーがほぼ自由な状態になるのでいろいろな作業がとてもやり易くなります。

 ジョニーさんはまずヘッドライトを外す為に、ヘッドライトケース左側の固定スクリュを緩め始めました。

 

『パキッ……』

 

なんかイヤな音がしました。今スクリュを回している左側ではなくて、反対の方から聞こえたような気がします。

ジョニーさんは慎重に左側のスクリュを緩めた後、右側のスクリュにドライバーを差し込んでみます。

 

『ありゃ~?』

 

そこには何の抵抗もなくクルクルと回るスクリュと、左側の固定スクリュしか外されていないのに、もう簡単に取れてしまいそうなヘッドライトがあるのです。

 ジョニーさんは、そのままヘッドライトを手前に引き出して、細部を確認します。ヘッドライトリムの右側の固定スクリュを受ける為の、雌ねじが取り付けてあるステーがぽっきりと折れています。

 ジョニーさんは、再び吉村さんのお店に電話を掛けます。

 

『もしもし、JA07型ヘッドライトリムの発注をお願いします』

 

『やっぱり、また壊したじゃねぇか~』

 

『人聞きの悪い事は言わないでください。こちらも、すでに壊れていました』

 

 

 この日二度目となるそんなやり取りをした後は、夏支度整備も順調に進み、『KOSO Mini3』の取り付けも予想以上の完成度で綺麗に仕上げる事が出来ました。

 一年に一度のスピードメータケーブルの給脂も実施したのですが、抜き出したケーブルワイヤはグリス分は充分に残っているものの、何か全体が錆色でドロドロになっており、あまりいい状態には思えませんでした。

 

『まぁ、このケーブルも10万キロ使ってるから、ぼちぼちかもしれないなぁ~……』

 

などと言いながらも、ジョニーさんはそのドロドロになった錆色のグリスを丁寧に拭き取った後、新しいグリスを全体に練り込んでいきます。その姿には、カブ吉くんの部品一つひとつが少しでも長く使えれば良いなというジョニーさんの気持ちがこもっているようでもあります。

 

 ジョニーさんは、カブ吉くんの大事な整備をしたり、何かを取り付けたりした時は、必ずその確認の為に軽く走りに行く事が常であります。

 7月24日、前日の夏支度整備で破損していた事が分ったウインカレンズとヘッドライトリムを新しい部品に交換したジョニーさんとカブ吉くんは、この日の夜に軽く走る計画を立てます。

 

 そして、軽く仮眠を取ったジョニーさんとカブ吉くんは、その日の晩の23時30分に走り始めました。

 

『今まで10年間左側にあった時計が右側に移るっていうのは、なんだか新鮮なもんだな~』

 

などと言いながら、ジョニーさんは気分上々のようです。

 今晩走る予定の距離に対して微妙に燃料が足りなそうなので、ジョニーさんはいつもの環八通りの脇のスタンドに寄って、カブ吉くんに夜食を取ってもらいます。どうやら、ここで燃料を入れると言う事は、今日のルートは環八を使って羽田に飛行機を見に行くルートに決定のようです。

 

 給油を終えたジョニーさんとカブ吉くんは、環八通り内回りの側道部分を走り始めます。西武新宿線を井荻陸橋で越え、早稲田通りの交差点を通り過ぎると、青梅街道の手前で環八通り本線と合流していきます。

 合流地点の手前からカブ吉くんの右ウインカーランプを点滅させていたジョニーさんは、右バックミラーと直接目視により右後方の安全を確認し、充分に速度を上げて本線にスムーズに合流していきます。

 ウインカーランプの点滅を解除しながら、ジョニーさんは速度確認の為スピードメータに視線を移します。

 

『ありゃ~!?』

 

変てこりんな声を上げたジョニーさんの視線の先にあるカブ吉くんのスピードメータの針は、さっきまでは動いていたはずなのですが、どうした訳か今はぴくりとも動いていません。

 この瞬間に、今夜の走行は中止となりました。ジョニーさんとカブ吉くんは、環八通りの中央線のガードをくぐった先で左折し、荻窪駅南口から青梅街道、環七通りと経由して自宅に戻ります。

 その時のジョニーさんの頭の中には、『絶対、俺がスピードメータケーブルの取付角度をいい加減に付けたんだろうな……』という、確信的な思いがぐるぐるとめぐっておりました。

 

 翌日の朝、ジョニーさんは早速ストックしてあるスピードメータケーブルを持ち出して、交換作業を始めます。

 ヘッドライトを外したジョニーさんは、奥の方を覗き込んでコンビネーションメータに取り付けられているスピードメータケーブルの角度を確認します。

 案の定、本来ならライダー側から左手65度に振られていなければならないはずなのに、ほぼ一直線に取付られています。

 ジョニーさんは予想はしていたものの、自分のいい加減な整備に自己嫌悪に陥ります。プライヤーを使ってスピードメータケーブルのネジ部分を外し、先の方に頭を出しているワイヤーケーブルをひょいと摘まんでみると、10cmほどのちぎれたケーブルが出て来ます。やはり、この部分が切れるというのは、取り付け部の角度を守らなかった事が原因である事は間違いないようです。

 メンテナンス記事の『ハンドル廻り編その三』にも記載してありますが、とてもデリケートな部分なので、もしメンテナンスをされるようでしたら、皆さまもくれぐれもご注意をして頂ければと思います。

 

 交換作業を終えたジョニーさんは、ストック品の注文の為に、吉村さんのお店に電話を掛けます。

 

『もしもし、JA07型スピードメータケーブルの発注をお願いします』

 

『なんだ? また壊したのか?』

 

『……』

 

 

 新型コロナウイルスの感染が、急激に拡大しているようです。皆さまにおかれましても、くれぐれもご自愛くださいますようにお願い申し上げます。

 

 それでは、また来月お会いしましょう。

 

                                   管理人

 

2021年7月末現在 全走行距離 274,644km

(7月走行距離 2,218km 月間平均燃費 64.16km/ℓ)

月まであと 109,756km