スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

カブ吉くん メンテナンス(エンジン廻り編)その五

(その五)

 

5.バッテリー(MF)

 

 現在カブ吉くんに使われているバッテリーは、新車で走りはじめてから三個目のものとなります。

 今まで使ってきた各バッテリーの種類や寿命等は、下記の通りです。

 

●一個目 : 種類 YTZ7S(純正MF) 使用距離 約10万2千キロ

        期間 約4年3カ月(2010年7月から2014年10月)

 

●二個目 : 種類 YTZ7S(純正MF) 使用距離 約13万6千キロ

        期間 約5年4カ月(2014年10月から2020年2月)

 

●三個目 : 種類 FTZ7S(社外MF) 現時点の距離 約5万9千キロ

        期間 約2年5カ月(2020年2月から継続使用中)

 

 一個目のバッテリーに関しては、当然新車から付いていた純正品なのですが、10万キロをちょうど過ぎたあたりで、MF(メンテナンスフリー)バッテリーらしく一気にスタータモータの回転が重くなり、寿命となってしまいました。

 二個目に関してはもっと極端で、給油のためにガソリンスタンドに寄り、給油後にスタータスイッチを押した瞬間に突然ニュートラルランプが消え、スタータモータもうんともすんともいわなくなるというびっくりするような状態でした。ガソリンスタンドに入るまでの走行では何の問題もなく快調に走っていたので、この時はさすがのジョニーさんも何が起こったのか分からず相当焦っていました。

 バイク便の走行距離ほどではありませんが、カブ吉くんのように『雪の日以外は、毎日走ります』みたいな事をやりながら、一年間で2万4千キロ以上も走ってしまう車両たちは、バッテリーからしてみれば、やっぱりシビアコンディションの対象車になります。

 吉村さんに聞いてみると、一年で5万キロから6万キロ走るバイク便に使われているマシン達も、バッテリーはだいたい2年くらいで交換をしていると教えてくれました。

 あまり乗らずに、いつも充電が足りていないのも困りものですが、乗り過ぎるのもやっぱりダメという事です。

 カブ吉くんに装着されていた二つのバッテリーのデータや、整備のプロである吉村さんの話しを聞きながら考えてみると、うまく使えば年数的には八年くらい使用しているマシンもあるようですが、距離的な目安としては10万キロから12万キロぐらいがいいところなのかもしれません。

 そんなバッテリーを、少しでも長く快調に使用する為の秘けつは何でしょうか? 吉村さんに聞いてみると、『毎日20~30km乗ること!』という、実に明確な回答が返って来ました。 

 確かにその通りなのですが、ジョニーさんやバイク便のように毎日乗っている人達ばかりではありません。それが出来ない人達は、一体どうしたら良いのでしょうか?

 基本的にそれほど頻繁にメンテナンスをする必要がなくなっているMFバッテリーですが、最も寿命を左右するのは本体の充電状態になります。特にMFバッテリーの場合は、常に満充電である事が求められています。充電不足だとバッテリーの性能が十分に発揮出来ないばかりか、寿命に大きく影響が出ると考えられています。

 カブ吉くんの場合も、だいたい2ヶ月に一度はジョニーさんが点検していますが、そんなに難しい事はしていません。デジタルテスターを使用してのバッテリ電圧の確認、外観チェック、各ターミナル端子の締付状態等の確認になります。ただ、標準電圧(無負荷時)の12.6~12.8vを下回っている場合は、必ず補充電がされます。

――ここでは、MFバッテリーについてのメンテナンス方法を書いています。開放型バッテリーでは、更にバッテリー液の比重と量の管理が必要になります――

 ちなみに、四輪車用バッテリーの技術書を読むと、鉛や鉛合金で製造されているプラス極板やマイナス極板と、強化繊維や合成樹脂などで製造されているセパレータなどの主要部品の設計寿命は10年となっているようですが、すべての構成部品を小型化する事が前提の二輪車用バッテリーでは、これは結構難しい事なのかもしれませんね。

 

6.ACジェネレーター

 

 カブ吉くんは2017年10月の綺麗な月夜の晩に夜走りに行き、走行中ACジェネレーターの故障によって電気を失い、夜中にジョニーさんと一緒にJAFのレッカー車に乗って、トボトボと帰宅した事がございます。

 JA07型スーパーカブ110では、ヘッドライト、コンビネーションメータ、テールライトの電気は、ACジェネレーターで発電された交流を直流に変換した後、直接供給されています。ですから、ACジェネレーターが壊れてしまうと上記の箇所には電気が行かなくなってしまうのです。

 昼間であれば、ヘッドライトが点かなくても何とかなってしまうような気もしますが、さすがに夜間ではヘッドライトなしでは危なくて走れたものではありません。まあ厳密に言えば、1998年4月以降に生産されたオートバイでは昼間のヘッドライトの不点灯は整備不良に該当するので、走れるからといってあまり無茶をしてはいけませんが……。

 トラブルの原因は、ACジェネレーターのステータコイルの焼損です。この故障は、比較的長く乗っていると、どのマシンでも起こりえるトラブルなので、防ぎようがないトラブルかもしれません。

 カブ吉くんでは、走り始めて約7年目の18万2千キロで壊れましたが、同じホンダのオートバイでも車種によって8万キロで壊れたり、12万キロで壊れたりといろんなパターンがあるようなので、一概に何万キロ走ったら交換するという具合に考えられないところが難しいところです。

 ただ、カブ吉くんの場合は、ACジェネレーターの故障が発生する前に面白い兆候が表れていました。故障の半年くらい前から、やたらとテールライトが切れるようになったのです。それも、切れた電球のフィラメントを見てみると、スパッと切れているのではなくて、なんだかグニャグニャになって切れているのです。そのようになっている詳細な原因は分かりませんが、ひょっとするとそのテールライトが切れるタイミングでは異常な電流が流れていたりしたのかもしれません。

 現在、カブ吉くんには時間、外気温、電圧の三種類が分かる『KOSO mini3』というメーターが付いているので、次回はどのタイミングでこの故障が起こるか分かりませんが、ひょっとすると事前に故障の前兆が分かるかも知れません。

 ジョニーさんは、そんな事も考えているのか、カブ吉くんと走っている時は一日に最低一回は、『電圧モード』にしながらカブ吉くんの充電状況を確認しています。

 

7.スタータモータ

 

 2018年頃からカブ吉くんのスタータモータは、始動時に『ジャジャジャジャー』というような結構にぎやかな音を立てるようになりました。

 ジョニーさんの始動方法は、スタータモータとキックスタータを使用したものと、だいたい半々くらいの比率になると思います。さすがに、これだけの距離を走って来ていますので、もしエンジン始動をスタータモータだけに頼っていたら、とっくの昔に壊れてしまっていたのではないでしょうか?

 インターネット上でも、『JA07型スーパーカブのスタータモータが壊れた』という話しは割り合い見かける事があるので、これも長く使っていればしょうがないものなのかもしれません。

 カブ吉くんでは、異音が出始めてからもう四年くらい経つので、そろそろ寿命が来てもおかしくないと思っています。いずれにしろ、取りたてて耐久性に優れたスタータモータが使われている訳ではないので、壊れたら交換する予定でおります。

 

※.番外編(センタースタンド他)

 センタースタンドのメンテナンスについては、『2022年5月近況報告』のなかで記事として掲載されているので、割愛させて頂きます。

 

 長きにわたり『エンジン廻り編』のメンテナンス記事を書いて来ましたが、今回でいったん終了させて頂きます。また、新たにお伝えする必要がある事項が出て来ましたら、タイミングをみて報告を致します。

 

 次回は、『駆動系編』の予定です。

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