スーパーカブ 耐久チャレンジ

JA07型スーパーカブの耐久性を検証するブログです。

2022年6・7月 カブ吉くん 近況報告

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 

 2022年6月4日(土)午前2時39分、堀江謙一さんがサンフランシシコから69日間、約8500kmの航海を終えて、ゴールライン――紀伊日ノ御埼灯台和歌山県)と伊島灯台徳島県)を結んだライン上――である紀伊水道に無事到達いたしました。世界最高齢での単独無帰港太平洋横断の達成です。

 

「いや~、堀江さん無事に帰って来たね~! 本当に良かったね~」

ジョニーさんは、我が事のように嬉しそうな顔をしながら、吉村さんに話しかけます。

 

「しかし、それにしても堀江さんていう人は本当に凄い人だな……。今回とは逆コースだったけど、60年前の1962年に小型ヨットで日本人として初めて単独無寄港太平洋横断に成功して、そこから途中失敗もあったけど、1974年には西回り単独無寄港で世界一周もしている。その後も縦廻りで世界一周なんていうのもあったし、足漕ぎボートでハワイから沖縄なんていうのもあったな……。21世紀になっても、ヨットは大分大きくなったみたいだけど、東回り単独無寄港世界一周っていうのもあったしな~。まあ、ずっとチャレンジを続けている人なのは確かだけど、それにしたって、普通は83歳で単独無帰港太平洋横断の航海にチャレンジしようなんて、まず考えないからなぁ……。ジョニーとカブ吉も、もっともっと目標を立てて、それに向かって走り続けないとなぁ~」吉村さんは、ニヤリとしながらジョニーさんに問いかけます。

 

「……、20年後かぁ……。俺がその時に、堀江さんのようなこんなスケールの大きいチャレンジを実行出来るとは、とても考えられないもんなぁ……」ジョニーさんは、何だかとても弱気です。

 

 堀江さんの航海が始まった3月下旬以降、ジョニーさんも充分にその刺激を受けてカブ吉くんのライディングに力を注いでくれていたのですが、やはりこの快挙を目の当たりにしてしまうと、さすがのジョニーさんでも珍しくいろんな事を真剣に考えてしまうのでしょうか?

 まぁ、ジョニーさんの事ですから、2~3日もすればいつもの調子に戻って、『カブ吉くんの次のツーリング計画』なんかを吉村さんと楽しそうに笑いながら話している場面を想像していたのですが、実は今月は少しばかり様子が違いました。

 

 ジョニーさんは、今月初旬から新しい仕事のプロジェクトが始まったので、毎日カブ吉くんとせっせと『川崎通い』をする事になりました。

 仕事の基本的な流れは、朝一番にその仕事先に出勤して、日中はそこでそのまま仕事を続けます。そして、夕方仕事が終わって特別な事がなければ、自宅に戻るというパターンの仕事です。

 練馬と川崎の往復というのが基本パターンになるので、一日の走行距離は約50km程という若干短めの距離となります。また、走る状況も朝晩の通勤時間帯の移動という具合になってしまうので、ジョニーさんもカブ吉くんもややストレスを感じながらの走行となってしまいますが、その部分は割り切りながら二人は梅雨の時期のライディングを楽しんでいたようです。

 

 しかし、そんな毎日を過ごしていたジョニーさんの身体に、突然異変が起こります。

 

 6月15日の朝、自宅で目覚めたジョニーさんは耳に違和感を覚えます。右耳の聞こえ方が、極端に悪くなっていたのです。

 その日の仕事を急に休む訳に行かなかったジョニーさんは、とりあえずいつもの仕事先に向かいます。そして、仕事の合間にその近隣の耳鼻咽喉科を探して、その日の午後に診察を受ける予約を取り付けます。

 問診から左右の耳を綺麗に掃除をして貰い、聴力検査をして、出された診断結果は『右突発性難聴』というものでした。

 とにかく短期(一週間から二週間以内と言われているようです)で集中的に治療をしないと、聴力が二度と戻らなかったりする事もある怖い病気です。

 その日の夕方から、ステロイドと血流を良くする薬とビタミンB12を補う薬を飲む治療を開始し、一週間後に再び聴力検査をして診断をするという事になりました。

 

 ―― 一週間後 ――

 

 『聴力検査の結果が、先週受診した時より更に数値が悪くなっているので、大きな病院で診てもらって下さい』と、担当医師からジョニーさんは告げられます。

 ジョニーさんも右耳の聞こえがあまり改善していないような気がしていたので、一瞬落ち込みはしましたが、すぐに気を取り直して自分の掛かり付けの病院への紹介状を作成して貰います。

 その後は、いつもの新宿の病院で再び聴力検査を実施した結果、数値に若干の改善がみられる事が分かりました。

 やや希望が出て来ましたが、担当医師からは、ステロイド他の投薬で治療を続ける方法と、入院してステロイド点滴を中心としながら治療を進める方法の二つの選択がある事を伝えられます。そして、どちらを選択するにしても、100パーセント以前のように耳が聞こえるようになるかは分からない、と言う事も同時に伝えられたそうです。

 一瞬ジョニーさんは悩みましたが、『短期で集中的に治療をする事が最善である』というこの病気への対処法を今一度思い出し、入院治療を選択します。

 病院側からは、すぐにでも入院して治療に専念する方が良いと言われたのですが、すでに27日まで仕事を組んでいたジョニーさんは、その日までステロイド他の投薬で対処し、その後入院をするという案で病院の了承を頂きます。入院期間は、6月28日から7月4日の一週間と決まりました。

 カブ吉くんは、28日にジョニーさんと一緒に病院に向かい、到着後は病院の駐輪場で一週間後のジョニーさんの退院を待ちます。

 

 このジョニーさんの入院していた6月下旬から7月上旬という期間は、九州北部、中国、四国、近畿、北陸地方など観測史上最も早い『梅雨明け』を記録したところもあったほどの、日本各地が猛暑日の連続で大変な事になっていたタイミングです。

 この時期に屋外で働かれていた皆さまには大変申し訳ありませんが、ジョニーさんは空調の効いた病院の中で快適に過ごさせて頂いたようでございます。

 午前中のステロイドの点滴を除けば、あとは毎食後の薬を飲む事くらいしかやる事がないので、ジョニーさんは空いた時間を大好きな読書や、カブ吉くんとの日本一周計画の詳細バージョンの作成など、普段では中々出来ない時間の使い方をしながら、この突然訪れた一週間の入院生活を楽しんでおりました。

 病状に関しても、入院前半から右耳の聴力に改善がみられ、非常に良い方向で治療が進んでいたようです。そして、7月1日の聴力検査で、ほぼ左右の耳の聴こえの差異がなくなっている事が確認出来たので、7月4日の退院が決まりました。

 

 新型コロナウイルス感染対策のため、病院の出入口が正面玄関一か所になっているので、入院中の外出は一切出来ません。ですから、同じ敷地には居たものの、ジョニーさんとカブ吉くんは約一週間ぶりの対面となります。

 

「カブ吉~、毎日暑かっただろう? 今日からまた一緒に走ろうな」

 

ジョニーさんは、そう言いながら入院用の荷物を手早くビジネスボックスにしまった後、右耳をシートに近づけながらメインスイッチをオンにします。

 

「おっ! 燃料ポンプの作動音もちゃんと聞こえるじゃん」

ジョニーさん、なんだかとっても嬉しそうです。そして、キックペダルをひねって出した後、右足で軽く蹴り下げてエンジンを始動します。

 

「カブ吉~、エンジンの音も前より良く聞こえるように感じるんだけど、これは気のせいかね~?」 ジョニーさんは、カブ吉くんに会えた事と、右耳がちゃんと聴こえるようになったおかげで、もうニコニコが止まりません。

 

 この『突発性難聴』という病気は、20歳から60歳代を中心に、年間で約35000人前後の方々が治療を受けている病気だそうです。

 何故この病気が発症するのかはっきりとした原因はわかっていませんが、ストレスによる血行障害や、ウイルス感染によって音を感じる細胞の機能が弱ってしまうからという説が有力と言われています。

 適切な治療を行った場合でも、完治する方が三分の一、なんらかの改善がある方が三分の一、全く改善しない方が三分の一と言われています。

 そして、もし発症してしまったら、とにかく早期治療(概ね一週間以内に受診)をして頂ければと思います。治療の開始が遅れると、聴こえの悪くなった状態で症状が固定してしまいます。そうなってしまうと、再び聴こえが戻る事はないそうです。

 

 自動車やオートバイであれば、調子の悪くなった部品を取り換えてやれば、また元の調子に戻す事も出来ますが、人間の身体はそう簡単ではありません。くれぐれも、ご自身のお身体を大切になさって頂ければと思います。

 

 

 さあ、今回はまるでジョニーさんの近況報告のようになってしまいましたが、ここからはカブ吉くんの2ヶ月分の近況報告を始めたいと思います。

 

 今年の梅雨は思いの外短く、梅雨が明けてからは強烈な暑さが一気に押し寄せて来たようであります。

 カブ吉くんは、途中ジョニーさんの入院期間があったりしたので一週間ほど走らない期間がありましたが、それ以外は距離こそあまり多くはありませんでしたが、コンスタントに走行を続けていました。

 6月、7月共に約1800km弱の走行距離で、各月に一回ずつのオイル交換を実施しています。また、6月にはちょうど距離が29万5千キロを迎えたので、スパークプラグ(純正デンソー製 U20EPR9S)も交換されました。

 燃費に関しては、両月とも61km/ℓ 台前半の数値で、昨年の6月と7月に記録した64km/ℓ 台の数値と比較すると、随分と落ちてしまっています。

 一昨年の24万キロ整備のタイミングで同時に交換された、ドライブチェーン及びスプロケットの効果によって急激に改善された燃費も、今年の2月以降は目立った好燃費を記録しておりません。

 今現在、カブ吉くんに使用されているドライブチェーンは『強化タイプ』というものですが、これは純正品の強度を20パーセント向上させたドライブチェーンとなります。

 しかし、内・外プレートが純正品と比較すると少し厚い部材で構成されているドライブチェーンではありますが、さすがに交換から5万5千キロ以上使用を続けているので、最近では随分と回転時の横ブレが大きくなって来ています。

 ドライブチェーン自体の伸びは、全く問題にはならない程しか発生していないのですが、どうやらこの横ブレが出始めると駆動力の伝達にかなりのロスを生じるようです。

 ドライブチェーンの伸びだけに目を向ければ、カブ吉くんに新車から装着されていた純正ドライブチェーン(D.I.D420D)は、ジョニーさんのほぼ一週間毎の給油メンテナンスのおかげで、24万キロまで使用されていました。

 でも、過去のメンテナンス記録を振り返ってみると、燃費に関しては10万キロ前後を境にして徐々に悪化傾向にあった事が確認されています。

 そういう部分から考えてみると、このドライブチェーンに関しては『何でも長く使えばいい』ってものではないのかもしれません。

 まあ、そこら辺はジョニーさんと吉村さんが、燃費データ等を見ながらいろいろと考えてくれるはずですので、今後も様子を見ていきたいと思います。

 

 さあ、いよいよカブ吉くんは走り始めてから13年目に入りました。エンジンの消耗してしまった部分に手が入って、元気を取り戻したところもあれば、外装の劣化が大分目立つようになってきたところもございます。

 

 例年のように猛暑の夏になりそうですが、こまめな水分補給や塩分の補給をしながら、この真夏のライディングを楽しんで頂けたらと思います。

 

 それでは、また来月お会いしましょう。

 

                                 管理人

 

2022年7月末現在 全走行距離 297,210km

(6月走行距離 1,741km 月間平均燃費 61.17km/ ℓ )

(7月走行距離 1,797km 月間平均燃費 61.23km/ ℓ )

月まであと 87,190km