2019年10月 カブ吉くん 近況報告

 先月に引き続き、10月12日(土)に大型で強い勢力を保ったまま伊豆半島に上陸した台風19号は、静岡県関東甲信越、東北地方に記録的な大雨を降らせ、大規模な河川氾濫や土砂災害を引き起こしました。また、この災害によって多くの方々が亡くなられたり、行方不明になったり、お怪我をされたりしたようです。生活の基盤となる住宅や福祉施設等にも大きな被害が出ているとの事で、大変心を痛めております。

 改めて被災された方々には、一日も早い復旧を祈りつつ、心からお見舞いを申し上げます。

 

 

 皆さまこんにちは、スーパーカブ耐久チャレンジの管理人です。

 今月は、いつもの近況報告とちょっと違う形で書いてみました。お読み頂ければ幸いでございます。

 

 

 ジョニーさんは、ちょうど台風が上陸しそうだと予想されていた10月12日土曜日に、運悪く神奈川県湘南地区の仕事を一つ抱えておりました。大きな被害が出た先月の台風15号のこともあったので、そういう理由からも、今回の台風19号の進路や勢力を、ジョニーさんは大変に気にしておりました。

 その台風19号は、5日の月曜日未明にマーシャル諸島近海で熱帯低気圧として発達し、6日の日曜日未明に台風となりました。その後、台風は平年よりも高い海水温の領域を通過しながら急速に発達し、発生から僅か39時間後には中心気圧915hPaという猛烈な勢力を持つ台風に変化して行ったのです。

 そして、7日の月曜日の夜の段階で、この台風の今後の予想される勢力や進路は、次の通りと発表されました。

『台風19号は、このままの猛烈な勢力を保ちながら北上し、小笠原諸島に東側から接近した後、若干勢力を弱めながらも北上を続け、本州に上陸する可能性が非常に高いでしょう』という発表が気象庁より出されました。

 ジョニーさんも仕事先のお客様も、業務関係者の手配の問題があるので、直前での変更は出来ません。変更のタイムリミットは9日水曜日の夕方が限度です。

 ジョニーさんは、その日の朝から仕事先のお客様と連絡を取り合って、調整を進めて行きます。その仕事が翌週に延ばせるような内容のものであれば、何も問題もないのですが、12日土曜日若しくは13日の日曜日の二日間に、どうしても完了していなければならない仕事だったので、この難しい調整が必要となっているのです。

 その後、台風情報を細部にわたり検討し、連絡を取り合いながら調整を進めた結果、『台風の本州上陸のタイミングとは、少しでもずらした方がいいだろう。一日遅らせれば、うまくすれば台風は関東を抜けているかも知れない……』と、いう事となり、結局12日土曜日の仕事は13日の日曜日へ変更となりました。 

 しかし、そうなると、また別の問題が持ち上がってきます。それは、先月と同じようにこの台風に合せて公共交通機関等が計画運休を予定している事です。主に関東地方の電車などは、12日土曜日の早い時点から随時運休になり、13日の日曜日の午後にならないと運転を再開しない予定のようです。

 ジョニーさんは、この時点で13日の日曜日の仕事先への移動は、風雨がまだ強く残っているようなら『四輪車』を選択し、もしそうでないなら『カブ吉くん』で移動する事を考えていました。

 

 10月12日土曜日は、そんな訳で急にお休みにしてしまったので、朝から台風に備えていろいろな準備をして行きます。断水や停電に備えて飲料水を用意したり懐中電灯の電池を確認したり、窓ガラスが破損した時にそのガラスが飛散しないようにテープを貼ったりと、結構やることがあります。

 カブ吉くんもカバーが被せられて、そのカバーが風をはらんだり、飛んでいかないようにするために、きつくバンドが掛けられます。そして、万が一にも転倒する事の無いように、駐輪する位置も家の壁と乗用車の狭いすき間に変更します。

 そんな感じで、ジョニーさんの家では台風対策が徐々に進んで行きます。また、テレビからは台風の進路に予想される各地域から、最新の台風情報が次々と流れてきます。

 台風の移動速度がそれほど速くないので、上陸まではまだまだ時間が掛かるのだろうと思っていた朝の8時過ぎに、千葉県で竜巻が発生したとの一報が入ります。ジョニーさんのいる場所ではまだ静かですが、確実に台風は近づいて来ています。朝から断続的に強い雨が降り続き、奥多摩方面や秩父方面での降水量が非常に多くなっているという情報が入って来ます。テレビでは『この影響で、多摩川や荒川の水位が上昇するので、厳重に警戒をして下さい』と、女性アナウンサーが淡々と現状を伝えています。

 

 この台風は風の強さもさることながら、先月の台風15号が概ね600km(だいたい東京と大阪の距離)くらいの渦を巻いていたのに比べると、今回の台風19号は日本列島がほぼすっぽりとおおわれてしまうくらいの巨大な渦を持つ台風になっています。

 そんな理由もあって、台風本体の雨雲が掛かる前から大量の水蒸気が流れ込み続け、さらに大きな雨雲を発生させる事となりました。また、その台風が接近する前に、列島の上空にあった寒気が南下し、関東甲信地方から福島県地方にかけて発生していた局地的な前線とちょうどタイミングが合ってしまい、その悪い意味での相乗効果で、さらに平野部も含めて豪雨をもたらす事になっていたのです。

 ジョニーさんの住む練馬区でも、午後になってどんどん風雨が強くなって来ました。テレビで情報を収集しながら、時折りカーテンをずらして外の様子を確認します。今現在は、まだ外の明るさがあるので様子が確認できるのですが、夕方以降に暗くなってしまえば、それも出来なくなります。非常に不安です。ジョニーさんは、それから何度も何度も、何か飛んできそうな物がないかチェックする為に、目を皿のようにして薄暗くなってきた外の様子を眺めていました。

 

 『台風19号は勢力を若干落したものの、大型で強い勢力を維持し12日土曜日の19時前に静岡県伊豆半島に上陸しました。この台風の上陸直前の中心気圧は955hPaで、最大風速は40m/sです。この台風はその後速度を速めて、関東地方から福島県地方へと縦断し、13日日曜日の午後には三陸沖東部へと抜けて行く予定です』

と、気象庁は伝えています。

 窓の外では『グオォーグオォー』と、強い風が吹き始めています。雨も『バチバチバチ』と窓に叩き付ける音を響かせながら、その量をどんどん増しているようです。

 ジョニーさんは、そんな外の様子を気にしながらも、いつもより早めにベッドに入りました。明日は、道路状況がどんな風になっているか全くわからないので、少し早く家を出発する予定でいます。

『カブ吉、大丈夫かな……』ジョニーさんは、そうボソッと呟いた後、キャンプ用のコンパクトヘッドランプの位置を確認して、まぶたをそうっと閉じました。

 

 午前3時過ぎにジョニーさんはベッドの中で、ふと目を覚まします。人間というのは不思議なもので、それまで強風の吹きすさぶ音や、強烈な雨の叩き付ける音の中で寝ていると、それが普通になってしまうのです。逆にそれが無くなってしまうと、『何か変だぞ』って感じるのか、ふっと目を覚ましてしまうのです。

 

『抜けたのか……』

 

その一切のものが息をひそめているような静けさの中、ジョニーさんは外の様子に全神経を集中させます。それまで吹き荒れていた風雨が、ピタリと止んでいるように感じます。しかし、その一瞬の後、『ゴォーッ』という音とともに、強烈な風が家を揺らして行きました。

 

『まだ、若干の煽りは残っているのか……』

 

 ジョニーさんは、そう呟くとベッドから身体を起こします。ジョニーさんは、二度寝はしません。目が覚めてしまったら、そのまま起きるのが普通です。

 コンパクトヘッドランプを頭にセットして、そうっと起き上がります。まずは、家族の皆を起こさないようにしながら、家の点検をしていきます。

 ひとまず、ガラスが割れている等の問題は発生していないようです。次に、外観を確認するために、外に出ます。

 ゆっくりと玄関のドアを開けて行きます。少しだけドアを開いた状態で一度ドアを止め、外の状況とドアの具合を確認します。問題がないようなら、ドアを開いて外に出ます。

 まずジョニーさんは、カブ吉くんの確認をします。若干バイクカバーがめくれかかっていますが、問題はなさそうです。ほっとひと安心です。次に、家の外観の確認をしていきます。ヘッドランプの光量を最大にして、家の南面と東面を中心に確認して行きます。こちらも問題なしです。

 空には、普段より多くの星たちが輝いているように見えます。ジョニーさんは、カブ吉くんのバイクカバーを外しながら、シートをポンと叩きました。

 

『今日は、やっぱりカブ吉と行こう』ジョニーさんはそう言いながら、バイクカバーに付いている水滴をバサバサと払い落とした後、ささっとカバーを折りたたんで行きました。

 

  早めの食事を済ませて、ジョニーさんとカブ吉くんは午前6時過ぎに自宅を出ました。いつものように目白通りを少し上り込み、豊玉陸橋の下を右折して環状七号線の内回りに入って行きます。

 予想通り、ほとんど走っている車はありません。もちろんバイクで走っている人など、いる訳もありません。などと、思いながら走っていると、早速、西武新宿線野方駅をくぐるアンダーパスで、1台のスーパーカブ90とすれ違いました。

 お互いすれ違う瞬間に、『よくやりますな~、ご苦労様』的な雰囲気を共有させて頂きました。そんな事にも元気を頂きながら、ジョニーさんとカブ吉くんは環状七号線内回りを上馬に向けて走って行きます。

 さすがに先月の台風15号を経験しているからなのか、皆さんがそれなりに対策をして頂いたおかげなのか、道路上にびっくりするような物が飛んで来ている事はあまりありません。それでも、たまにプラスチック製のゴミ箱が車線の上を一緒に走っていたりする事もあるので、細心の注意は必要になります。先月の台風15号の時は、北千束のあたりで樹木が折れて車線を塞ぎ、週明けの月曜日だった事もあって、環状七号線の内回りは大渋滞となりました。しかし、今日は三連休の中日で日曜日です。皆さん、うまくスケジュール調整されたのか、大きな混乱は今のところなさそうです。

 出発して20分ほどもすると、もう国道246号線(玉川通り)の上馬交差点に着いてしまいました。素晴らしい速さです。そして、この交差点を右折して国道246号線を下り込めば、とりあえず厚木までは一直線です。

 実は、ジョニーさんは前の晩から神奈川県の湘南地区に行くためには、どのルートが一番確実なのかと言う事をずっと考えていました。しかし、どの道を通るにしても一般的に多摩川を渡らずに神奈川県に入る事は難しいのです。しかも、今回のように厚木の先まで行こうとすると、相模川も渡らなければなりません。

 台風の影響で二つの河川の源流域には、昨日からとんでもない量の雨が降っています。今朝早く家を出発する為に、昨晩は早めにベッドに入ってしまったジョニーさんは、『相模川系の城山ダムが緊急放流(特例操作)を実施するかもしれない』という情報は知っていましたが、その結果がどうなっているのかをまだ知りません。朝起きてからテレビをつけてはいたのですが、バタバタと支度をしながらだったので、あまりキッチリと情報を収集する事が出来ませんでした。そんな不安を抱えながらも、ジョニーさんとカブ吉くんは多摩川に架かる国道246号線の新二子橋に向かって走って行きます。

 上馬交差点を右折してから、国道246号線を走るジョニーさんとカブ吉くんの上にずっと屋根のようにいてくれた首都高速3号渋谷線が、すっと右方向に離れて行きます。国道246号線の方は、この先環状八号線瀬田交差点のアンダーパスを抜けると、もうその先は新二子橋です。

 この地点で、何の規制看板や誘導員等が出ていないので、恐らく新二子橋を渡る事は問題なく出来そうな気がします。

 信号が青に変わり、発進したジョニーさんとカブ吉くんは、3車線ある車線の真ん中の車線を慎重に進んで行きます。瀬田交差点アンダーパスは、内部でゆるやかに左にカーブをしています。その先アンダーパス出口に一つ信号があり、そこを通過すると、左方向に二子玉川駅方面に降りて行く側道と、そのまま多摩川を渡る直進2車線の国道との分岐となります。ジョニーさんとカブ吉くんは、当然直進車線をキープして走行を続けます。新二子橋は、ちょうどこの分岐点の当たりに防音壁が設置されているので、ここからではまだ多摩川の様子はわかりません。また、新二子橋は旧道の二子橋に比べると、かなり高いところを通っているので、ジョニーさんは横風に吹かれても大丈夫なように、カブ吉くんを車線の中央に置き、両足のくるぶしを使ってグッと車体を挟み込み、両脇を締めて、軽く前傾姿勢を取ります。

 橋を渡り始めて、道路は右にカーブしながら緩やかに上って行きます。進路の変更を禁止する黄色の車線表示が白の破線に変わります。それと同時に、今まで設置されていた防音壁がさっとなくなり、曲率を戻した道路はやや下りながら多摩川の対岸に向かって真っすぐに延びて行きます。

 

『うわっ……、川幅いっぱいじゃねぇかよ……』ジョニーさんは、一言そう呟いた後、絶句します。

 

そこには、普段我々が見る事のない『一級河川 多摩川』のもう一つの顔がありました。堤防の端から端までの川幅を目一杯使って、たくさんの樹々を飲み込み、薄茶色に濁った例えようもない量の水をゴォーゴォーと流し続ける、人間のコントロールが及ばない『自然河川 多摩川』の顔です。

 

 ジョニーさんは、自然に対して人間の造ったものを100パーセント信じていないところがあります。人間の英知を結集して造った物がそんなに簡単に壊れる訳はないと思ってはいるものの、でも、どこかのタイミングで自然がちょっと本気を出すと、きっとその時は壊れてしまうのだろうと考えています。

 簡単な理屈です。どんなに頑張っても人間は自然には勝てないのですから。

 

ジョニーさんは、『頼むから壊れないでね……』という思いだけで、新二子橋を渡りました。ジョニーさんとカブ吉くんが橋を渡っている間、きっと橋脚には恐ろしいほどの水流が押し寄せていた事でしょう。でも、新二子橋はガンとそれを跳ね返し、屈強な姿でそこに建ち続けます。橋を渡り終えたジョニーさんは、ほっと胸をなでおろしました。

 その後もジョニーさんとカブ吉くんは順調に走行を続け、溝口、梶ヶ谷、馬絹と次々に通過していきます。三菱車のチューニングで昔から有名なテスト&サービスを左手に見ながら宮崎台の坂道を上り、鷺沼、江田、市ヶ尾と通常なら微妙に流れが悪くなる場所も、今日はノンストレスで通過して行きます。

 相変わらずジョニーさんとカブ吉くんの周りには、数台の四輪車が走っているだけで、いつもの国道246号線とは比較にならない程の交通量しかありません。二人は更に走行を続け、東名高速道路横浜町田インターチェンジに接続する国道16号線を跨ぎ、快調に走り続けます。時おり強い風が吹き抜けて行き、二人のバランスを崩そうとしますが、ジョニーさんのライディングに大きな狂いはありません。

 国道246号線は、東京方面から厚木方面に下って行くと、ほとんどが法定速度で走行できる道路です。江田駅の手前くらいから東工大の交差点の先までが50km/h制限ですが、そこを過ぎると、また法定速度道路に戻ります。

 大山がドーンと見えて来る大和厚木バイパスの辺りまで来ると、吹きっさらしの部分が多くなってくるので、高い速度で走行中に横風を受ける事を想定しながらライディングします。大排気量の重量車と違い、小排気量の軽量車の一番の泣き所かもしれませんが、ここは我慢のライディングで乗り切ります。

 左手に神奈川県立産業技術総合研究所の建物が見えてくれば、問題の相模川まではもうあと一息です。規制を掛けるとすればこの先の『下今泉交差点』しかないので、恐らく新相模大橋を渡る事に問題はないはずです。

 ジョニーさんとカブ吉くんは、周りの四輪車と同様に若干スピードを落としながら慎重にこの交差点を通過して行きます。

 

『頼むから、何事もなく渡らせてくれよ……』ジョニーさんは再び念じます。

 

 相模川多摩川と同様に、川幅一杯に広がった茶色の濁流が、大きなうねりを伴いながら恐ろしい勢いで流れています。新二子橋に比べると、新相模大橋の方が水面に近いせいか、より自然の力や怖さを感じます。昨晩実施すると予告していた、城山ダムの緊急放流はあったのでしょうか? このタイミングで考えてもしょうがない事が、急に頭に浮かんできます。

 橋を渡るのにかかる時間は、ほんの30秒弱なのですが、異様に長く感じます。新相模大橋を渡り切り、首都圏中央連絡自動車道をくぐったところで、ジョニーさんはほっと一つ溜息をつきました。

 

 この日は、その先の渋滞の名所である金田陸橋もスムーズに通過し、厚木市内で国道129号線にそのまま入って行きます。厚木市内の交通量も、まだ時間が早いのでまばらな状態です。渋滞などもなく、淡々と走行を続けます。

 新東名高速道路厚木南インターチェンジを過ぎて平塚市に入ると、右手に富士山が見えてきます。平年であればこの時期の富士山は、頭の部分が白く化粧をしているはずなのですが、今年はまだ夏の装いです。今日もこの後は、台風一過のフェーン現象で30℃近くまで気温が上がると天気予報は伝えていました。

 

 最終目的地には、7時55分に到着しました。所要時間は、1時間50分です。練馬からここまで約65kmあるので、それなりにいいペースの走行となりました。通行経路に何の支障もなかったので、本当に助かりました。気持ち的には、かなり疲れましたが……。

 

 現地ではジョニーさんの仕事も順調に進み、15時過ぎに終了したので、その後、帰宅の途に就きます。 

 そして、練馬への最終到着は、日も暮れかかった17時30分となりました。

 

                          本日の走行 : 128km

 

 

 今月は、もし時間が取れそうならツーリングに出ようと思っていたのですが、結局仕事の調整もつかず、台風の問題もあったので、どこにも行く事が出来ませんでした。

ツーリングに出ていたら、今月の近況報告はそのレポートにしてもいいなと思っていたのですが、結局、台風レポートみたいになってしまいました。ごめんなさい。

 

 カブ吉くんの調子に大きな変化はありません。燃費は少し下がりましたが、気温の低下もあるので、それはしょうがないと思っています。

 

 それでは皆さま、少しひんやりとしてきましたが、暖かくしてオートバイをお楽しみ下さい。

 

                                    管理人

 

2019年10月末日現在 全走行距離 233,140km

(10月走行距離 1,901km  燃費 58.75km/ℓ )

月まであと、151,260km